額縁は意外と高い!
そろそろ皆に喜んでもらえるような水彩画が描けるようになり、個展でもしようかと思い始めたあなたにアドバイスを。
額をどうやってそろえるのか意外に悩むのではなかろうか。
私も初めての個展を開くとき、そうだった。(「失敗しない個展の開き方→」を参照)。
個展を開くとすれば、当然ある程度まとまった枚数が必要だ。
でも画材店に行くと、当時私が主として描いていたSM(サムホール)の水彩画用額縁は最低でも4,000円近くした。F6号はたしか8,000円くらいはしていたと思う。
この時はF0を10枚、SMを15枚、F6を15枚準備する必要があった。つまり額だけで20万を超えてしまう。それに画廊代やパンフレット作成、案内状作成・・・と考えると開催費用だけで尻込みしてしまうのもうなずけるというものだ。
そこで知り合いの画家にお値打ちの額をどこで、いくらで買ったらいいかと聞いてみた。さすがに良く知っていた。
地元大阪の画材店ではなく、通信販売の画材店だという。「額のマツエダ」だ。グーグルで検索すると簡単に出てくる。値段は普通の画材店の半額~6割ほどで買えたと記憶している。おそらくいまでも他店に対してはそのくらいの割合ではなかろうか。
額はピンからキリまである。有名な画家はかなり高価な額を「この絵はこの額で」と自分の画風に合わせて絵ごとに指定するようだ。
それでも額代も含めて画商が段取りするので、画家の懐はいたまない。(もっとも手数料をその分相当払うようだが)
しかし初めて個展を開くときは、そんな真似ができるはずもない。
出来るだけ安くしたい、2回目、3回目も使えるようにしたいと思うだろう。
私の場合は全てイメージを統一、出来るだけシンプルな額にした。 私の水彩画は比較的淡い色調が多いので枠は濃い木目、余計な飾りの無いものとした。
なお最近の額の表面材は安全性を考慮して、ガラスではなくアクリル板が入っている。
絵は額付きで売るべきか?
さて次は絵を売るときに額付とするか額別とするかだ。作家により両方あるようだが何の表示も無ければ額付で売っていることが多いようだ。
だが額付で売ると、次に個展を開くときに不足した額を買い足すことになるが、同じものがあるとは限らない。
ばらばらな額を絵にあわせて選ぶのも味があっていいのだが、コスト的には一枚一枚買い足すと送料など割高になるだろう
さらに個展を繰り返していくうちに額そのものも搬入、搬出のたびに痛んでくる。痛んだ額を売るのも申し訳ない気がするので、私は基本的に値段の横に(額別)と表示している。考え方次第だと思う。
絵の値段と額の値段?
気になるのは 額付で 自分の絵を売るときの値段設定だろう。大作家であれば額代なんて知れていると思うかもしれないが、初心者はそうは行かない。
例えばF6の額代が5000円ならば当然絵そのものがその何倍かないとバランスが取れないだろう。実は私は最初の個展の時、F6の絵を額別で15,000円で販売した。
私の絵は時間がかかるので額の3倍程度にしようと単純に思ってしまったのだ。
今考えれば、何の根拠もない。ずいぶん安い値で販売したものだと思っている。
絵の値段を考える
絵の値段はどのようにつけるべきか別の観点で考えてみた。
世の中の一流といわれるビジネスマンは会社に対して、おそらく一時間当たり1万円は稼いでいる。とすれば私の場合、F6号の水彩画を8時間程度かけて仕上げるので8万円を販売価格としてもおかしくないということになる。
そう思って巷の画廊に並ぶ絵を眺めてみると、そのぐらいの値段設定が多いようだ。
ただし画商が扱う百貨店で販売するような絵は、半分が画商の収入となるようなので、値段はその2倍となるだろう。つまりF6号は16万円となる。
ここから上は、人気次第、需要次第であり超一流画家の世界だ。
しかし絵を描き始めた以上、高みを目指すべきだと思う。
一方で日本人の平均手取り月収が28万円程度であることを考えると、F6号16万円の絵が普通の家庭に飾られるかというと、おそらくむつかしい。
つまりこのブログ(「美緑(みりょく)空間へようこそ→」を参照)で掲げた「世界中の家庭に絵を飾ってもらう」夢にはいつまでたって近づけないことになる。
そこで、私は今は作品をジークレー版画にして販売するようにしている。
ジークレー版画とは最先端のデジタル技術による現代版のリトグラフと考えてもらっていい。最近は一流の画家でもこの形式で販売しているので聞いたことぐらいはあるのではなかろうか。
ジークレー版画作成原価を考えると、F6号3万円、F8号4万円程度ではなかろうか。これであれば画家としての収入を保ちつつ、普通の家庭にも飾ってもらえるのではないかと思っている。
なお、先に私は基本的に「額別」で販売するようにしているが、「普通の家庭」だけを対象とすると、本来は額付きが望ましい。
何故なら自分で「額を選ぶこと」自体がとても負担らしいからだ。
確かに「気に入った絵」を買って「すぐ飾る」楽しみは捨てがたいだろう。今後の検討課題かなと考えている。
コメントを残す