失敗しない個展の開き方

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最初の個展 大阪心斎橋 ギャラリーA Stair

 絵が好き、ブログも作って作品をアップしている。グーグル検索に自分の名前が載るようにもなった。そんなあなた。次のステップは個展を開くことだと思い始めたのではないだろうか。賛成だ。
 もちろん絵が売れればいいが、何よりも来場者に自分の絵の感想を直接聞けるし、作品の出来栄えを肌で感じることが出来るからだ。私の経験を中心に役に立つ情報をお伝えしよう。
 私の場合、ブログにアップした絵が300枚を超えたころ、この中から厳選すれば何とか個展を開けるだろうと思った。ただ学生のころグループ展は経験したことがあったが個展の経験はなし。まずは方針を決めて慎重に画廊を探すことにした。
 一番重要なことはお客様が来やすいこと。だから駅から近いこと、それも大阪の中心部で人の多いところを必須条件とした。場所や値段はインターネットで大体わかる。一方で椅子もテーブルも無く観終わったらすぐに帰らないといけない、そんな雰囲気の画廊はふさわしくない。お茶を飲みながら絵について語り合える、長居ができる最低限の広さと設備があることも条件だ。何件か直接現地を訪れ雰囲気を確認し、やっと気に入った画廊を見つけた。場所は大阪地下鉄心斎橋駅から歩いて2分。「ギャラリー A Stair」だった。
 画廊が決まったからと言って安心してはいけない。個展を開く本当の苦労は実ここからだ。まずオープニングパーティーの段取り。お金もかかるし手間も大変だが、自分の活動をアピールする絶好の機会として是非実施したい。お勧めは画廊の人にケータリングできる業者を紹介してもらうこと。私の場合は30人分の料理を依頼した。もちろん別途お酒の段取りも必要だ。
個展での作家は何より来場者に作品説明をしなくてはいけない。だから芳名帳への記載依頼やお茶を出してくれる受付嬢をお願い(もちろん日当の交渉も必要だが)したほうがいい。

 案内はがきの図案作成、宛名書き、ポスターの作成は自分の作品をレイアウトして原稿を作り、印刷所に発注する。案内はがきは最低でも500枚必要だ。知り合いに配るのとは別に100枚ほど画廊に事前においてもらうと良い。絵が好きな人は毎週画廊を廻るので、案外事前のはがきを見て来てくれるものだ。
 印刷代も馬鹿にならないが、私はインターネット印刷で「ラクスル(https://raksul.com)」に依頼した。早めに原稿ファイルを渡すと独自のネットワーク内の空いている印刷所を無駄なく稼動させるシステムになっているらしく、他の印刷所より圧倒的に安かった。もちろん印刷代を節約するために自宅のプリンタを使用しても良いが、数百部となるとちょっと手間だ。自分の代表作品が載ることになるのでやはり専門業者に頼んで少しでも美しい仕上がりにしたい。
この際名刺も作ろう。私は「水彩画家 加藤美稲」という名刺をオリジナルデザインで作った。私が利用したサイトは「ライオン名刺」。イラストレーターの欧米サイズテンプレートがダウンロードでき、料金も安かった。( https://www.lion-meishi.com/

作品目録とアンケート。右側を切り取って回収した。

 当日の作品目録(場合によっては値段表)も必要だ。絵にふさわしいタイトルを考え(40点以上を同時に考えるのはなかなか大変だ)できればコメントを付けたい。会場の作品が目録の順番に並んでいるとさらによい。私は初個展の時その目録の右半分を各絵の評価欄とし、アンケートとして見終わったお客様に記入をお願いし、その半分を切り取って個展終了後データを分析できるようにした。  忘れてならないのが前日の作品搬入の段取り。赤帽を利用する場合、昨今はこの業界の人手不足が著しく、最低1ヶ月前に予約しておく必要がある。これらを一人で段取りしようとすると正直言って個展前2ヶ月は目の廻るような忙しさになるはずだ。

 もちろん最大の問題は個展にふさわしい作品がそろっているかどうかだ。作品の選定は慎重に、間違っても失敗作など入れてはならない。もし最初の個展の評判が悪ければ、おそらく画家としての個展は二度とない。きっとひたすらお金と労力を費やすだけの道楽個展になってしまうだろう。
 私もそう覚悟して改めて全出展作品を額に入れて見直した。すると私の絵には致命的な欠陥があることに気が着いた。一言でいうと「色鮮やかさが足りない」のだ。それはおそらくブログに投稿する絵の仕上がりを輝度の高いモニター画面でチェックしていたからだ。だから原画を額に入れてみると、額の濃い枠に対して画面全体の白っぽさがそのまま見えてしまうのだ。あわてたのは言うまでもない。淡い色調の大半の作品は大幅に手直しをした。個展直前の忙しさに拍車をかけることになったのだ。
 そうしたトラブルがありながらも2015年10月7日。なんとか最初の個展開催にこぎつけた。6日間で100人を超えるお客様に来ていただいた。初回にしてはなかなかの盛況ぶりだったと思っている。ただし正直言うとこの時のお客は99%が友人、会社の先輩、同僚、後輩ばかりで、絵だけを目的に見に来てくれた一般客はほとんどいなかった。それでも40点ほどの作品に対しそれぞれ感想をいただき、そのときのコメントが今の活動に生きていることは間違いない。しかもありがたいことに5人の知り合いが絵を買ってくれた。画家としての初めての「売り上げ」であった。(残念ながら「純利益」が出るほど世の中甘くはない)

自家製の芳名帳。個展の度に作っている。

 個展終了後はほっとして気が緩む。だが芳名帳の整理は必須だ。 仮に「売り上げ」がなくとも連絡先住所をきちんと書いてくれた人は次回の個展にも来てくれる可能性が高い。人脈も広がる可能性がある。
 そのためには芳名帳も工夫したい。市販の芳名帳は豪華な表紙と和紙に縦の罫線、筆書きを想定したものが多い。これだと若い人は記載を遠慮してしまう。また筆では長い住所も書きにくい。従って私は横書き、ボールペンで書いてもらうように自分でデザインした芳名帳を個展の度に準備している。
 住所と名前のほかにコメント欄も設けている。 ここは当人に書いてもらうのが一番いいが、帰りに作家自身が記憶に残ったことをメモしてもいいい。意外と重宝している。そして忘れてならないのが郵便番号欄。これがあると次回の案内状を送るときずいぶん楽なのだ。
 個展の回数を重ねると何度も来てくれる人、アート関連の職種の人、自分の絵を特に気に入っている人など単なる住所録以上の顧客データが出来るようになる。私はその大切なデータを貴重な財産としてパソコンで管理している。
 なおついでにアドバイスしておくとデータ整理はパソコンでしても、次の個展の案内状の宛名書きは手書きするのが常識だ。年賀状と違って「筆まめ」で宛名を印刷してはいけない。

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