失敗しない個展の開き方 VRを使おう!

VRで確認した個展の風景

 このブログの記事、「失敗しない個展の開き方」(詳細はこちら→)では、案内状、パンフレット、芳名帳、オープニングパーティーなど初めて個展を開催する人のために基本的な注意事項を描いた。今回はその後、私が知った便利な技術VR(ヴァーチャルリアルティ)の利用法、コツを教えよう。

 実は最初の個展でとても苦労したことがあった。オープン前日の飾り付けだ。その理由は2つある。一つは安い画廊代のせいもあるが、飾り付けに関して画廊の主人が全く無関心、無知識であったことだ。
 だから飾り付け作業を全て一人でする羽目になった。安くあげる学生のグループ展ならば、確かに画廊の人は何もしてくれない。だが皆で飾り付けるグループ展と違い、個展での飾り付けの責任はその作家にある。と思って一人で飾り付けを始めたが、実際にやってみると、恐ろしく効率が悪い。
 例えば一枚絵を掛ける。水平になっているか、あるいは隣の絵と高さが揃っているかなど、一枚一枚脚立から下り、離れて、チェックし、修正のためにまた脚立に上り・・・・これを延々と繰り返さねばならない。
 絵の照明も同様だ。明るさ角度の操作と絵に当たる光具合のチェックをそれぞれ全部一人で確認しないといけない。最初の個展の時は、そこまで頭が回らず、飾り付けに3時間以上かかってしまった。
 初めて個展をする方、展示に慣れた画廊の方が飾り付けに参加してくれるかどうか必ず事前に描く人することをお薦めする。
 私の場合、2度目、3度目の個展の時は慣れた画廊のスタッフが手伝ってくれた。絵の水平、間隔、高さ、ネームプレートなど適切に、素早く調整してもらいとても感謝している。

 そして今回の本題はここからだ。
 絵の配置を適切に指示するためには事前の計画が重要だ。最初の個展の時、事前に配列は決めておいた。
 だが実際に並べてみると、不都合が起きた。絵のバランスが悪いのだ。具体的に言うと、例えば人物画。
 当初から人物画だけまとめて展示しようと思っていた。だが知らぬ間に、赤い服の女性像が連続して並んでいたり、顔の向きが揃いすぎて不自然であったりするのだ。
 風景画も日本の風景と海外の風景をそれぞれまとめようと思っていたのだが、似たような構図、色調の絵が並んで、単調な展示に見えたりする。だから現地であわてて順序を入れ替えたりする必要があった。
 いずれも事前の検討不足だ。

 だが事前に全作品をチェックできる、ギャラリーと同じ大きさのアトリエがあるならともかく、普通の絵描きではそこまでの精密な事前チェックは無理だ。
 そこで考えた。幸い私には建築の知識がある。2度目の個展からは3次元の立体モデルを使って事前検討をするようにしたのだ。
 まず予めもらった画廊の図面から、3次元の立体モデルで画廊を作る。そして展示する絵の大きさの額の立体モデルを必要な枚数だけ作る。
 次に展示作品をスキャナー又はカメラで撮影しJPGファイルを準備する。そして各額のオブジェクトプロパティを開き、画像を自分の描いた絵のファイルにリンクさせる。ソフトにより若干の差はあると思うが基本の操作は同じだろう。
 パソコン上で画廊の空間と絵の配置を満足するまで徹底してシミュレーションし、配置を決める。そして最終チェックはVR用に変換したファイルをVRメガネで見ると、まさに画廊を歩くようにして配置のチェックが出来る。
 冒頭の絵はその一シーンを撮影した物だ。
 いざ飾り付けの当日はこの立体モデルから各壁面の姿を切り出して印刷し、画廊の人に渡せば、何も指示しなくても、作業が進められるというわけだ。

 VRは実によくできている。今から個展を開こうとしている人は是非試してほしい。これからの絵描きはデジタル技術にも強くなる必要があることを実感している。

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください