2.ためになる美術講座

高雄に残る和風建築のデザイン

 台湾はご存知の通り1894年の日清戦争以来第2次世界大戦で日本が敗れるまで日本の領土だった。旧日本軍の武道場などは中国にとっては負の遺産なのか、ほとんどは壊されるか、他の用途に転用されているらしい。

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もっと知りたい水彩画の魅力!水彩紙とは?

さて、水彩画を描き始めると、水彩紙の良し悪しで作品の出来栄えが変わることに気づくだろう。水彩紙の基本の性能とグレード、コスト比較についてはこちらhttps://miryoku-yoshine.com/first-watercolor-paper-to-buy/で紹介しているので、先に一読してほしい。ここでは、水彩紙をさらに極めたい方へ、あるいはプロの水彩画家を志す人のためにさらに詳しい情報をお届けする。かなり科学的、専門的、マニアックな話になるがご容赦願いたい。

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神戸の面白い美術館、博物館

用事があって出かけた先ででちょっと時間ができた。折角だからこの街の美術館でも行こうか・・・と思うことは結構あるだろう。今回は私の地元神戸の「ちょっと立ち寄るお薦め美術館、博物館」を教えよう。

▪️時間のたっぷりある方へ

 兵庫県立美術館(http://www.artm.pref.hyogo.jp/index.html)、神戸市立博物館(https://www.kobecitymuseum.jp/)へ行くと良いだろう。
 前者はJR灘駅から徒歩15分、安藤忠雄設計の現代建築、後者はJR三宮から徒歩15分、昭和初期の近代建築で特に建築に興味ある人には言うことなしだ。
 ただしこの二つはとても大きい。鑑賞時間もそれなりにかかるので、時間のない方はそれねりに覚悟して出かけよう。

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水彩画の名画に見る女性像

浅井忠 「少女」

 人物画を水彩で描きたいと思い始めた人へ

 水彩画をはじめたばかりの人で、人物画を描きたいと思う人は多いはずだ。でも人物画はデッサン力が要求されるし、肌の色や、微妙な表情や背景との関係など、考えることが多く、手間がかかるからと距離を置く人が多いのも事実だ。
私自身人物画、風景画両方とも好きだが、むつかしいと思うのはやはり人物画のほうだ。

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絵具の知識 透明水彩は何故美しい?

■透明水彩は何故美しい?

 子供の頃使っていた、マット水彩絵具(学童用半透明水彩絵具)を卒業し、初めてプロ用の透明水彩を使った時の感動は以前に述べた通りだ。( 詳細はこちら→
 下の色に別の色を重ねて塗ると、下の色は消されず、両方の色が澄んだ状態で重なり合う効果の美しさに不思議な感動を覚えたのだ。その不思議な感動は何故起きるのか調べてみた。

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レトロな和風デザイン?! 台南の林百貨店

 久しぶりに台湾を訪れた。以前行ったのは台北と台中。今回は初めての台南だ。
 事前に下調べをしたが「地球の歩き方」を初め、どのガイドブックも台湾の目玉は食べ物だという。もちろん私もそれなりに、美味しい料理を堪能したことは否定しない。
 だがこのブログは絵を描く人、あるいは好きな人のためのものなので、残念ながらそちらの情報は割愛する。

  さて、台南にはスケッチしたくなるような見所は多くある。そのうちのひとつ、レトロな和風デザインの建物、林百貨店を紹介しよう。
 場所は台南駅南西にある7本の道路が交差するロータリーから西へ5分ほど歩いた交差点の角にある。すでに夕暮れだったので私の外観写真が暗い点はご容赦願いたい。
 褐色のレンガ色、5階建ての建物が目指す林百貨店だ。1932年(昭和7年)竣工。第二次大戦のときに空襲でかなり破壊され、長い間放置されていたが、2014年にリニューアル、再び百貨店としてオープンした。
 一見して、他のビルとは趣が違うことがわかってもらえるだろうか。
 手前のビルは石張りと大型ガラスのモダンなデザイン、奥の建物はコンクリートかモルタルかはわからないが、低層のかなり古ぼけた建物だ。
 今、台南市の表通りにある建物は現代的なデザインか、終戦直後のぞんざいなデザインの建物がそのまま残っているか、二極化している気がする。
 この建物のように日本で言えば明治時代から昭和初期のきちんとした「近代建築」が見られることはとても貴重なのだ。

  設計者はインターネットでの記事によると、石川県出身の建築家で当時、台南州地方技師兼台湾建築会台南州支部長だった梅沢捨次郎とある。
 この建物を設計したのは40歳代半ば頃、建築家としては、脂の乗り切った年代だ。そしてオーナーは山口県出身の実業家、林方一だ。
 まず外観デザインを見てみよう。
  私がおやっと思ったのは外部にぐるりとバルコニーが廻っていることだ。一般に商業建築は古今、洋の東西を問わず、敷地境界いっぱいに建てることが多い。何故なら、少しでも多く商品を並べたいからだ。だから内部の面積を減らすことになる外部のバルコニーなどは本来ご法度のはずなのだ。
 しかし実は建築家としては、不特定多数の人が密集している百貨店だからこそ、火事のときの避難スペースとして外部にバルコニーが欲しいと思うのは自然なことなのだ。
 よく見ればバルコニーの手摺のデザインもかなり凝っている。設計者のバルコニーに対する熱情にオーナーが負けた・・・などと勝手に想像してしまうのは私だけだろうか。
 近づいて、建物の頂部を見てみると頂部を特徴付ける曲線デザイン、堀の深い窓。最上部のバルコニーはシンボリックな円形窓でくりぬかれている。実にユニークだ。

 一階廻りは、歩行者の通行スペースとして1スパン分外部に解放されている。台湾の商業施設全般によく見られる、この方式は日本統治時代に政府が指導した標準商業建築様式だそうだ。
 外周り列柱の足元、柱脚のデザインや柱頭いわゆるキャピタルのデザイン、梁型のデザインも凝っている。今見れば十分クラシカルだが当時では個性ある最新デザインだったに違いない。

  内部のほんのりと明るく、赤みを帯びた優しいインテリアの色調も当時のままだという。
 天井のランプのデザインも秀逸だ。最近は小型で明るいLEDを使うので、ランプの形は見せず、光の見せ方をデザインする方法が主流だが、こんなランプを意識する設計も悪くないと改めて感じさせられた。
 百貨店建築ではなるべく天井を高く見せたいので、天井を張らず梁は柱との接合部で斜めに構造的に「ハンチ」をとることが多い。これも定石通りなのだが、ハンチと柱頭を一体化した見事なデザインだ。

 最上階レストランのテラスに設けられた階段から屋上に上がってみた。
 土産店の入口の横には懐かしい赤いポスト。そして少し風変わりな鳥居と灯篭もある。エレベーター機械室もちゃんとデザインされている。
いよいよ日が暮れてきた。屋上の手摺上のランプに灯がともる。当然、やはりちゃんとデザインされていた。
「レトロな和風デザイン」・・・悪くない。案外現代的で新鮮だ。

古都 高雄の最新アートスポットとは?

 台湾の古都、高雄を訪ねた。実に活気のある町だ。到着して驚いたのは台湾国鉄と地下鉄が同時に乗入れる高雄駅の周囲は大規模再開発中。駅の周囲はほとんどが工事現場。砂煙で空気も霞んでいるくらいだ。ちなみにこの再開発、2023年完了予定だという。

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気になる美術イベント・・・六甲ミーツ・アート2019

 このイベントは2010年から毎年、秋に行なわれている。名前の通り、現代アートを六甲山の自然の中で展示することにより、人の出会いを生み出そうという試みだ。
 神戸市は近年人口減が著しい。インバウンドによる観光客も大阪や京都に比べれば寂しい状況だ。地元神戸住民として、また同じアートに携わる人間としては大いに気になるイベントである。
 実はこのイベントに参加するのは今年が初めて。私自身のリサーチ不足もあって今回、十分に堪能したとは言えないが、来年参加する方へのアドバイスも含めて「個人的」な感想を報告しよう。

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美術館で見た茶室の不思議

 大阪 中之島の東洋陶磁美術館を訪れた。北欧の有名な「アラビア」の陶磁器とマリメッコを見るためだ。この美術館はもともと陶磁器に特化した美術館なので北欧陶磁器の展示は当然なのだが、何故マリメッコなのか不思議に思う人も多いだろう。

 ちなみにマリメッコとはフィンランドのアパレル企業で、ファッションブランド名 でもある。鮮やかな色と大胆なプリント柄をデザインした商品が特徴だ。私の妻もこのブランドの 婦人服と靴が大好きだ。
 フィンランド航空の機体のケシの花(ウニッコという)模様と言えば思い出す人も多いのではなかろうか。

 実は今回この展覧会の一番の目玉は茶室とマリメッコデザインのコラボレーションだった。茶室を説明し始めるとそれだけで一冊の本が書けてしまうが、敢えて誤解を恐れず説明しよう。多少の齟齬はご勘弁願いたい。

 一般の住宅と一番違うのは、部屋の広さと、天井高さ、入り口の寸法関係だろう。基本的にスケールが小さめだ。それは茶室の目的である「主人と客が身分の隔たりなく語り合う」という濃密な空間を作るための作法と言って良いだろう。

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