2.ためになる美術講座

美術館で見た茶室の不思議

 大阪 中之島の東洋陶磁美術館を訪れた。北欧の有名な「アラビア」の陶磁器とマリメッコを見るためだ。この美術館はもともと陶磁器に特化した美術館なので北欧陶磁器の展示は当然なのだが、何故マリメッコなのか不思議に思う人も多いだろう。

 ちなみにマリメッコとはフィンランドのアパレル企業で、ファッションブランド名 でもある。鮮やかな色と大胆なプリント柄をデザインした商品が特徴だ。私の妻もこのブランドの 婦人服と靴が大好きだ。
 フィンランド航空の機体のケシの花(ウニッコという)模様と言えば思い出す人も多いのではなかろうか。

 実は今回この展覧会の一番の目玉は茶室とマリメッコデザインのコラボレーションだった。茶室を説明し始めるとそれだけで一冊の本が書けてしまうが、敢えて誤解を恐れず説明しよう。多少の齟齬はご勘弁願いたい。

 一般の住宅と一番違うのは、部屋の広さと、天井高さ、入り口の寸法関係だろう。基本的にスケールが小さめだ。それは茶室の目的である「主人と客が身分の隔たりなく語り合う」という濃密な空間を作るための作法と言って良いだろう。

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有名絵画に見るブルーの秘密

先日、高校時代の教養ある友人から突然、ラインアプリで次のような質問をもらった。

 「ところで画伯(彼は僕のことを親愛と、からかいの情を込めてこう呼ぶ)、「フェルメールブルー」はラピスラズリであるということはわかりましたが、染付けのコバルトブルーがフェルメールに与えた影響は、あるのでしようか?調べても出て来ません。ご存知ないですか?」

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戦国時代の技が生んだ日本の美とは 大津市坂本の町並み

大津市坂本の街並み

 戦国時代、城の石積みを全国各地の大名から請け負うプロ集団がいた。それが「穴太衆(あのうしゅう)」。滋賀県大津市に今でもその駅名「穴太(あのう)」が残っている。
 そして京阪電車でわずか10分程度の距離にある隣町が「坂本」である。この町は世界遺産比叡山に登る入口の町として有名であるが、穴太衆の仕事ぶりを残す「石垣の町」として知られ、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。

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桜の絵はむつかしい?

 私が知っているある画廊は毎年3月末になると「桜の絵展」を開く。TVニュースで取り上げられる桜前線の情報と連動した企画である。その狙いが当たるかどうかはさておき、各家庭では

「今年の花見はどこへいく?」

という会話が交わされるのは間違いないだろう。我家もしかり、今年は関西で屈指の桜の名所、夙川(兵庫県西宮市)に出かけ、手作りサンドイッチとワインで楽しい一日を過ごした。
 さて、そんな日本人にとって切っても切り離せない桜。画家ならそれを絵にしたいと思うのは当然で件(くだん)の画廊にも毎年多くの出展申込があると聞く。しかし実を言うと

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フランス絵画お勧めの一枚は?

絵画史においてもっともフランスが輝いたのはやはり19世紀だろう。日本では印象派が一番人気だが、

私はバルビゾン派の方が好きだ。

印象派の絵はご存知の通り光の表現が特徴的だが、私にとってはちょっと自然味が強すぎる。もう少し人間味がほしいのだ。だから印象派の少し前の時代19世紀中頃、ミレー、コロー、クールベに代表されるバルビゾン派の絵が好きなのだ。特にコローは古典的なテクニックに支えられながらも、庶民に寄り添った日常的な題材を、落ち着いたグレーの色調で、ロマン溢れる情景に仕上げてくれる。私が学生時代毎日油絵を描いていたころ一番意識していたのもコローだった。今はもっぱら水彩画を描いているが、水彩であんな絵が描けないかといつも思っている。

そんな多くのコローの絵の中で今の私がお勧めしたい絵は彼が1843年イタリア旅行の際に描いたという

「ティヴォリ、ヴィラ・デ・エステの庭園」だ。

コロー ティヴォリ、ヴィラ・デ・エステの庭園
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