皆さんは画材を入れて持ち運ぶバッグはどんなものを使っているだろうか?私は長年スケッチ旅行をしているが、未だにこれというものが見つかっていない。
いろいろな鞄をそれぞれの用途に応じて使ってきた。今回は私のその試行錯誤の過程をお話ししよう。これから絵を描くつもりの人の役に立つかもしれない。
国内の日帰りスケッチ旅に用いる鞄
スケッチの原則は「ここ!」と思った時にすぐに道具を取り出して描き始められるようにしておくことだ。そのためには、荷は軽く、一つにまとめておくのがよい。
鞄の中に入れるのはまず必要なスケッチの道具一式(「スケッチ旅行に必要な道具とは→」を参照)だ。
鞄の大きさは持っていくスケッチブックの大きさ(「モチーフ」と絵の「サイズ」の決め方は?→」を参照)が決め手になる。せっかくのスケッチ旅。人情としては成果品としてF6号くらいの大きさの絵が欲しい。
ところがご存知のようにF6のスケッチブックが入る手提げバッグはおしゃれなショップには売っていない。ましてF8サイズともなるといわゆるA3サイズをはるかに越えることになるので普通のショップには皆無だろう。絵描きが欲しい鞄を手に入れるのは初めからむつかしいのだ。
素材を選ぶのもむつかしい。ビジネス鞄は全面、あるいは補強材として牛革を使うことが多いのでどうしても重くなる。重すぎると売れないので大きなカバンは逆にマチが小さく薄くなる。
するとスケッチブックと鉛筆やペン程度しか入らず、弁当、水のボトル、カメラ、折りたたみ椅子などが入らなくなる。
そこで画材店を訪ねてみる。
確かに売っている。ナイロンやポリエステル製のスケッチブック専用と表示されたバッグだ。早速購入し、使ってみたが生地がとても薄く弱いため、スケッチ先の山野で岩肌に擦れたりするとすぐに角が破れてしまう。まったく耐久性がないのだ。いくつかサイズ別に購入したが未だに使っているものは一つもない。
しかもこの手のバッグには小物を入れるポケットがほとんどついていない。だから財布やカードなど旅先ですぐに取り出したいものがバッグの底に他の荷物と一緒に沈んでしまう。
きわめて使いにくく、皆さんにはお勧めしない。
ある時、丈夫で軽く、スケッチブックの6号が入り、しかも小物が入るポケットが付いている。こんな理想的な手提げ鞄を発見した。
ホルベインから出ている。素材はデニムで丈夫。長財布が入るチャック付きポケットと小銭、カード、携帯電話などが入る内ポケットが3つ付いている。マチも広く、飲み物なども入る。実に使いやすく長くこれを愛用していた。
海外スケッチ旅に用いる鞄
当初は海外のスケッチ旅にもこの手提げバッグを持って行っていた。だがローマで愛用のペンケースを無くす(「イタリアをスケッチする ローマ編→」を参照)という失敗をしてしまったが、その時使っていたのがこのバッグだった。
このバッグは口が閉まらない。だから水平に置くと中身が出てしまう。もちろん何事も注意深く扱えば問題ないのだが、私の性格はスケッチを始めるとと、それ以外はほとんど何も気を使わなくなる。
しかもせっかちなので一枚描き終わると、忘れ物をチェッすることなくすぐにそこを立ち去ってしまう。そして落としたことに気づき、慌てて戻っても、ご存知の通り海外で置き忘れたものは絶対に戻ってこない。
そんなことが2度、3度と続いたため、旅先にこのバッグを持っていくのはやめてしまった。掏り防止のためにも海外ではやはりきちんと口がしまる鞄が必要なのだ。
暫く新しいバッグを捜し求め、ようやく見つけたのが6号のスケッチブックが入るリュックサックだ。やはり布製、ポケットも多く、収納力も大。ホルベイン製だ(冒頭の写真左)。
国内のスケッチ旅では今もこれを使用している。
だが海外ではやはりだめなのだ。海外ではリュックは前にかけよと言う記事を読んだことがある。だがまさか自分がスリに会うとは思っておらず、油断していた。
スペインのスケッチ旅だった。気がつくとリュックの口は大きく開けられ、中の財布のお金だけ抜かれていた。しかも同じ手口で2度も掏られてしまった(「スペインをスケッチする マドリード編→」を参照)。
今は6号がぎりぎり入る布製で肩にもかけられるトートバッグ(冒頭写真右)を使っている。外に4か所、内側に2か所ポケットが付いていて、まあまあ快適だ。ただ内部には仕切りなどが全くなく、すべての道具が混ざっているのでやはり使いにくい。大きさの違うスケッチブックもペンもその時ほしいものだけさっと取り出せる…そんな理想のバッグはまだ手に入れていない。
F8号のスケッチブックを入れる時はどうする?
当初持ち運ぶバッグは最大でF6号のスケッチブックが入ればいいと思っていた。しかしやはり8号も描きたいと思うことがある。そんな時はどうするか?
先のトートバッグもリュックもF6号までしか入らない。やむを得ず、8号のスケッチブックを入れる専用のナイロンバッグとその他の画材、荷物を入れるリュックとは別に持ち運んでいた。
が、やはり二つに荷物が分かれるのでスケッチに出かけるには邪魔でしょうがない。
そこで最近発見したのが、やはりホルベインから出ている、「アートキャリー」。F8号のスケッチブックがぴったり入る布製のキャリーバッグだ。
車輪も大きく持ち運びにとても楽だ。今のところ快適で国内の旅はこれからはこれにしようと思っている。
ただしこのキャリーは折りたためないので、海外に持っていくのは困難。手荷物で機内に持ち込むのは大きすぎ、預ける荷物にカウントされるには軽すぎてしゃくだ。中途半端なのだ。
妻には「鞄が多すぎる!」といつも叱られているが、まだもう少し私の試行錯誤は続きそうである。
[…] 「絵描きが愛用する理想のバッグとは?→」 […]
[…] P.S.今回はスケッチ旅に便利な基本的な用具について書いたが、このブログでは以下のような関連する記事も書いている。興味ある人は参照してほしい。■カテゴリ「スケッチの旅海外編→」「スケッチの旅日本編→」■水彩画で使うペン!あなたならどれを選ぶ?■海外スケッチの旅 5つの心得■絵描きが愛用する理想のバッグとは?■水彩画入門!これだけ揃えれば十分? […]