白川郷の畦道を描く

ご存知、白川郷の風景である。が、私が選んだこの構図、観光ポスターなどではあまり見たことがない。

おそらく、手前の一軒家の保存状態があまり良くないことと、奥左の建物が、実はお寺であり、「民家」の生活を謳う観光的建物ではないせいではなかろうか。

だが水彩画の題材としては、どちらもむしろ好ましい。村の生活感がよりリアルに表現されるからである。

さらに左手の山に向かう坂道が「山村」であることを暗示してくれる。観光ポスターにならなくとも、私にとってはお気に入りの構図である。

さて実は今回の作品で試してみたことがある。元来私はペンで輪郭を描き、薄く透明水彩を重ねる淡彩画を中心に描いていた。

つまり光や色よりも「輪郭」に重きを置いていた。だから以前にこのブログに載せた白川郷の水彩画(「ペンと水彩でスケッチ!白川郷合掌造り→」を参照)はいずれも、重なり合う民家の屋根の面白さを描いたものだった。

この絵でも茅葺屋根はもちろん大切なモチーフであるが、主役ではない。私が今回一番強調したかったのは、家屋と家屋の間のスペース、畦道である。この道には特に面白い形も輪郭もない。しかしある意味農村の主役に違いない。

だからいつもなら明るく描く家屋の壁面の明度も彩度も抑え気味にした。逆に畦道の周辺は明るく、ほとんど水彩紙の白をそのまま残し、光輝く道のイメージを表現した。

私の新しい試み、いかがだろうか?ペン画とは別の味が出たのではないかと思っている。皆さんの意見をお待ちしている。

P.S.
スケッチ旅行のノウハウを知りたい方は下記の記事を参考にしてほしい

P.P.S.
この作品は加藤美稲水彩画作品集→に掲載している。詳細表現を研究したい人は参考にしてほしい。
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