ペンと水彩でスケッチ!白川郷合掌造り

白川郷 作者:加藤美稲

 以前の投稿で富山県相倉(あいのくら)、菅沼の合掌造りの絵を描いた(詳細はこちら→)。今回はいよいよ世界遺産でもある岐阜県白川郷の合掌造り集落を描く。

 まず「合掌造り」の基本を説明しておこう。通常、日本の家屋の勾配屋根は梁の上に高さの異なる柱(束)を立て、それをつなぐ材(母屋)に斜めに垂木を渡すことによって造られる。
 それに対して、合掌造りは梁の上の柱(束)がなく、梁から最上部の棟木に向けて斜めに「人」形に屋根材をかけて作られる。
 しかも屋根の角度は最大60度で、高さは2~3階分ある。つまり通常の家屋の上に巨大な無柱空間ができている。
 この空間は、本来なら貧しい山奥の農村に養蚕という産業を可能にし、人手とこの文化を維持する経済力を提供した源であったともいえる。
 私は「合掌造り」は単に建築の様式美によって世界遺産になったわけでなく、山村の経済と文化を育んだ遺産として認定されているのだと理解している。

 さてこの白川郷は合掌造り家屋が約60棟、世界遺産登録面積だけで45.6haもある。相倉や菅沼の合掌造り集落とは規模が比べものにならないくらい広大な村落なのだが、田畑も比例して大きく、やはり民家は散在し、近くで見る限りでは数棟を画面に収めることさえ難しい。

 私が村を一望する冒頭の絵を描けたのは、村はずれの山の頂まで足を運びスケッチしたからだ。
 実を言えば私が描いたこのポイントは、ガイドブックにも記載された村の観光スポットになっている。
 前日にこの場所を訪れたとき、凄まじい人混みで、絵など描けそうもないことを知った私は、翌早朝、観光客のいない時間にこの場所に陣取り、スケッチブックを広げたのだ。
 この絵の大きさはSM(サムホール)。本当は6号に描きたかったのだが、この画面の密度で仕上げ、完成させるまで、他の観光客を無視し続けることに気が引けたからだ。
 着彩についても少し触れておこう。皆さんご存知のように、透明水彩画の場合は油絵のように、自由に修正ができない。一度シャープな濃い色を載せると、簡単にはその筆跡は消せないし、二度とそれ以上明るくはならない。
 だから塗り始める前に、自分の完成イメージをある程度固めることが大切だ。
 私がこの絵に色を入れる前に考えたことは、背景となる山並みの広がりは優しく、合掌造り家屋はリズミカルにシャープに表現しようということだった。
 だから背景の緑色は筆にたっぷりと水を含ませ、ウォッシュ技法でにじみとぼかしを使って柔らかな表現をしたのに対し、合掌造り家屋は水分を減らし平筆でさっと塗り、ペンのシャープな線を活かすようにしている。

 白川郷の合掌造りは数が多いだけでなく、巨大である。その威容は単体で十分に絵になると言っていい。
 しかも村の中には同じ屋根様式を用いた寺社仏閣もある。合掌造りの文化が根付いているのだ。村を歩けば、誰もがスケッチしたくなる場面が次々と現れる。
 今回のスケッチ旅は神戸から石川県金沢を経由し富山県相倉、岐阜県白川郷、そして愛知県の名古屋経由で帰るというあわただしいスケジュールだった。本数の少ないバスの制約も受け、実質のスケッチ時間はそれほど確保できていない。しかしはじめてみる合掌造り村落の風景はに感動し、気がつけば8枚のスケッチを残していた。充実した旅だったと自分では満足している。

 水彩で「合掌造り民家を描く」・・・皆さんも是非チャレンジしてほしい。

p.s.私の描いた水彩画はこのブログの(加藤美稲作品集→)に掲載している。是非見て欲しい。

SNSでもご購読できます。

「美緑(みりょく)空間アートギャラリー」メンバー募集中(登録無料)

美緑(みりょく)空間アートギャラリー
メールアドレス  *

コメント

コメントを残す

*

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください