城を描くのは難しい?松山城二つの顔

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 日本の歴史、文化にそれほど興味のない人でも城好きな人は多いと聞く。日本のすべての名城を巡る旅のグループもあるらしい。私はそれほどではないが、水彩画のモチーフとしては寺や民家とともによく描いている。

 今回は四国愛媛県の松山城を取り上げようと思う。

◾️松山城の歴史

 松山城を作ったのは秀吉子飼いの武将、「賤ヶ岳七本槍」の一人加藤嘉明だ。家康にとっては本来外様大名であったはずなので、のちに東北地方、会津に転封されている。

 その後、西国の抑えとして、徳川家につながる松平定行が城主となり以後明治まで松平藩がこの城を治めていた。

 現在の天守閣は江戸時代末期1854年に火災から復旧し、再建したものだそうだ。城全体としては明治以降もたびたび、火災にあったようであるが、他の大半の城のように、鉄筋コンクリート造に改築することなく、その都度全て木造で復旧した、貴重な遺構である。

◾️場所とアクセス

 松山城の天守は小高い山の上にある。二の丸が平地に近いところにあり、平城と言っていいだろう。松山市の中心地とはそれほど離れていない。観光客は市電を利用しているようだ。

 「小高い」と書いたがやはり自分の足で登るのは絵を描くのが目的であれば時間がもったいない。おすすめは天守の東側からアプローチするロープウェイを利用することだ。

◾️ベストアングルは?

 ロープウェイを降り、さてスケッチブックを片手にいい構図を探すのだが、門を潜ると意外に天守が見えない。おそらく城の守りを第一に考えているからだろう、道は曲がりくねり、塀と大きな木々が視界を遮る。目に入るのは土壁、瓦、強固な門のディテールばかり。

 もちろんそれらもそれなりに絵にはなるとは思うが、「これぞ松山城」という城全体をイメージする構図にはなりにくい。

 などと考え城の裏側に回るとやっと広場らしいスペースが現れる。ここから見るとなんとか城の雰囲気がわかる。そして何より「石垣」が美しい。ここでスケッチブックを開き、なんとか一枚スケッチした。いい水彩画になりそうだ。

 普通の観光客はこのまま帰途につくのだろうが、実は私は松山には仕事で何度か通った経験があり、若干の土地勘がある。

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 だから絵を描くのに適した場所がもう一箇所あるのを以前から知っていた。それは天守の西側(ロープウェイとは反対側)の広い公園だ。そこから天守が見えるのだ。しかも山の緑を背景に二の丸の建物も見えるという実に贅沢で、いいアングルなのだ。是非ここで2枚目のスケッチをすることをおすすめする。

 ちなみにこの公園には愛媛県美術館もある。私が訪れた時、ちょうど日本画家でもあり水彩画家でもある山口晃氏の展覧会が開催されていた。

 彼の絵を好きな人も多いと思うが、あの精緻で少しコミカルでかつ美しい絵を十分に堪能することができた。事前に美術館の催し物をチェックしておくといいかもしれない。

P.S.

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