山陰の小京都「津和野」を描く

私が「古き良き日本の風景」を描くために、国の指定する「重要伝統的建造物群保存地区」を巡って旅していることはトップページの「美緑(みりょく)空間へようこそ→」に記した通り。
今回は山陰の小京都ととして有名な「津和野」を紹介しよう。

津和野とは?

この町が国の指定する「重要伝統的建造物群保存地区」に指定されたのは平成21年(2009年)なので第一回選定の南木曾町「妻籠」や京都「祇園」の昭和51年(1979年)に比べるとかなり新しい。

選定理由は3つの基準「歴史的意匠」「地割の保存」「「地域的特色」の内の2つ目、「地割」だという。

具体的に言うと城下町の北側が商人地、南側が武家地である。
通常、かつての城下町は明治時代の荒波に飲まれ、武家地は真っ先に霧散する。だから残るのはたいてい商業地だけである。
しかしこの町は両者が見事に融合して生き残っている。確かに非常に珍しい例だと思う。

津和野へのアクセス

「津和野」は島根県の西端、しかもかなり内陸部にある。だからとても行きにくい・・・と思っていたのだが、人気の観光地だけあって、思ったよりもアクセスはよい。

私の地元神戸からは、新幹線で新山口まで行き、特急スーパーおきを使うとJR津和野駅まで約4時間で行ける。朝6時に家を出れば10時には「津和野駅」に降りることができ、十分スケッチができるというわけだ。

津和野の町並み

津和野の城下町はJR津和野駅の南側に広がる。地図で見ると津和野城跡までは、直線距離で2キロ、実際には4キロほどか。
津和野城跡ははるか山上にある上、城は現存しない。保存地区の範囲も商業地である「本町通」と武家地である殿町通りを中心とする1Kmほどの町並みに納まっている。

今回はその保存地区を北から順に紹介しよう。

  • 本町通り三丁目~2丁目

津和野駅に近い北側のゾーンである。ところどころに古い民家はあるが、その両隣は普通の民家、あるいは新しい住宅が並ぶ。町並みとしては統一されているとは言い難い。

特に②は蔵のある造り酒屋、③は登録有形文化財の住宅、商家でとても趣がある。
しかしご覧のように写真を撮ると新しく建てられたビルが視界に入ってしまい、雰囲気を壊してしまう。残念だ。

  • 本町通り二丁目~1丁目

このあたりは江戸時代の商家の雰囲気を醸し出している。オレンジ色の石州瓦、白い漆喰、茶褐色の木羽目の外壁が背景の紅葉した山並みと良く調和している。
是非このゾーンでスケッチすることをお薦めする。

  • 本町通り1丁目~殿町通り

しばらく歩くと路地ではなく比較的大きな交差路が現れる。幸いなことにこのゾーンに現れる建物はどれも保存状態が良い。また古い城下町には珍しい「カトリック教会」が隣接している。

これらを含めどの方向から見てもそれなりに絵になりそうだ。「山陰の小京都」の面目躍如たる風景である。

  • 殿町通り

ここまでは商家の町並みだったが、この交差点から南は武家のゾーン。ちょっと雰囲気が違う。

見所は現在や津和野町役場として使われている建物と再建された旧津和野藩校「養老館」だ。現在も武道館して使用されているようだ。

この建物の足元の水路の中を覗いてほしい。津和野の観光ポスターによく登場する「鯉」が泳いでいる。

水路は川の水を引き込んで作った人工的なもの。屋根に落ちた雨水もこの水路に落ちる。そして鯉はかつては非常食として養殖されていた様である。
先人の知恵が町に生きている。これが津和野の魅力だろう。

P.S.
今回は絵描きの目で見た津和野を写真で紹介した。次回は実際の水彩画作品を紹介するつもりである。自分で絵を描く人は是非ご覧いただきたい。
なおこのブログの参考記事は以下の通り。興味のある方は覗いてみてほしい。


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