ペンと水彩で描く山寺の風景 出石の達磨寺

願成寺
山門前の達磨の木彫

山寺の風景を描く

 今日は兵庫県豊岡市出石町のスケッチだ。観光客には「出石そば」が有名だが、趣ある町並みは重要伝統的建造物群保存地区に指定されている。

 かつての出石城の城下町で今は城跡だけがある。観光案内には「但馬の小京都」と記されている。

 私の地元神戸から片道2時間、何とか日帰りでスケッチ旅行できる距離だ。この日はゴールデンウィークで気候も良く、絶好のスケッチ日和だった。

使用した道具は?

 まず冒頭の水彩画の説明をしておこう。この寺の名は願成寺。別名「達磨寺」という。寺の門の前に2体の達磨の木彫があることから名づけられたという。

 絵を描くのに使用した道具はいつもの0.3mmの油性サインペンではなく、イラスト用のペン(Tachikawaのラインマーカー)だ。このペンは先が万年筆のようになっていて、線の強弱がつけやすい。説明書きには太さ0.5mmとあるが弱いタッチで描けば0.1mmくらいでも平気だ。(水彩画で使うペン!あなたならどれを選ぶ?→を参照)

 今回はなぜサインペンではなく、イラストペンを使ったかというと、屋根や軒、欄干周りの木組みが細かく、サインペンでは滲んで表現できないと思ったからだ。

 絵具は透明水彩。いつものウインザーニュートン製だ。(透明水彩入門! 絵具とパレットの使い方を知っている?→を参照)
 対象が単体の山門なのでスケッチブックの大きさはSM(サムホール)とした。(「絵画とサイズのエピソード→」を参照)

透視図法を知っている?

 建物を中心とする絵を描く場合はやはり透視図法をマスターしておく必要がある(「鉛筆はいらない!下書きしない風景画の描き方」を参照)。一番大切なことは、自分の目の高さがどこかということ。

 そこが水平線になるので、屋根や欄干やすべてのパースペクティブな線はその水辺線上に集まる。この絵の場合は階段を登り切った段の鼻先のラインがスケッチブックにおける水平線だ。

 この絵は2点透視で左側、右側それぞれに焦点があるが、いずれも画面からはみ出している。各水平線をいちいち焦点と結んでいてはどれだけ時間があっても足りなくなるだろう。

 私の場合は何本か目印となる代表的なパースラインを先に引いておき、あとは高さ方向を半分、またその半分と記しをつけておいて、描くときの目安にしている。

 この時、「下書きはしないのか?」という質問をよく受ける。私はよほど複雑な文様のある建物をそのまま描くとき以外は下書きしない。この時も鉛筆などの下書きはしていない。

 パースの目安となる線も実はペンで直接描いている。ただし端から端まで一気に引かず、ところどころ切るようにしている。何故かというと、そのパース線がそのまま屋根や軒の線になる場合はいいが、実際には使わない線の場合、つながった線は「まちがった」線に見えて気になることがあるからだ。

 逆に言うと切れた線は多少間違っていても、気にしなくていいい。人間の目は正しい方の線を自動的に認識してくれるからだ。(「誰でもできるデッサン練習法とは→」を参照)

グリザイユ画法を使う

 色塗りは先にプルシャンブルーで明暗をとり、上に葉の緑、柱や梁の茶色などを塗っている。軒下には最初に入れた影のブルーが残っているのがわかるだろうか。(水彩画にふさわしいグリザイユ画法とは」を参照)

町並み保存の現況は?

 私は出石でこの「達磨寺」を描いたのだが、本当は「重要伝統的建造物群保存地区」らしい城下町の町並みが描きたかった。

 しかし残念ながら保存状態が良くない。それは朽ちた建物を放りっぱなしにしているという意味ではない。
 むしろその逆。新築の土産物屋や蕎麦屋が大きな看板を掲げずらりと並んでいる。伝統的な建物意匠を検証することなく、勝手に建てられているようだ。

 左が有名な「 辰鼓楼 」。観光ポスターにもよく掲載されている、この町のシンボルだ。 「家老屋敷」「出石城跡」も単体としてはそれなりに保存されているのだが、その周辺がお粗末だ。 周囲の色に合わせて表面だけペンキでごまかした安易な改修が目立つ。

 そんな中で唯一、伝統的な建物が3軒並びそれなりに城下町らしく見えた場所が右の写真である。(もっともその隣の中途半端な新築民家風建物が気に入らなかったのでここもスケッチしなかった)

 町中を足を棒にして歩き回っても、いい構図が発見できず、山の緑陰で一休みしようと腰かけた時に出会ったのが冒頭の風景だったのだ。

P.S.
私の描く水彩画について下記に基本的な記事をまとめている。参考にしてほしい。
■ペンと透明水彩を使う本格的な風景画の描き方は「ペンと水彩で描く風景画の魅力とは」を参照。
■透明水彩の基本を知りたい方は「色塗りの基礎的技法」を参照。
■透明水彩の正しい着彩手順を知りたい方は「何故上達しない?知っておきたい水彩画の正しい着彩手順!→」を参照。
■ペンと透明水彩による風景画の制作プロセスを具体的に知りたい方は「ペンと水彩で描くミラノ大聖堂→」を参照)。
スケッチ旅行のノウハウを知りたい方は下記の記事を参考にしてほしい
スケッチ旅行に必要な道具とは
ここを描きたい日本の風景!
スケッチの旅日本編

P.P.S.
私の水彩画は(加藤美稲水彩画作品集→)に一部を公開している。興味のある方は覗いてほしい。

P.P.P.S.
私の絵描き活動全体については(トップページ→)で紹介しているが、同じ目的で活動してくれる方も募集(現在システム構築中)したいと思っている。興味ある方は参加してほしい。

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