透明水彩入門! 絵具とパレットの使い方を知っている?

私が使用しているウィンザーニュートンの絵具24色セット

 これは私の愛用の絵具セット、ウィンザーニュートンの固形絵具24色セットである。
 汚くて申し訳ないが、透明水彩初心者のためには、使い込んだ状態の方が、わかりやすいだろう。今回はその24色の、あるいはその混色の、さらにパレット上での使い方を具体的に紹介しよう。

 まず、これからこの固形絵具セットを購入しようとする人のために、とある画材店のホームページで現在のウィンザーニュートン24色セットの絵具を調べると以下の通りであった。
 若干私が愛用しているものと違うようだが、欄外に「在庫の有無により、同系色に変わることがある」と記してあるので、多少の差異は理解の上、読み進めてほしい。

■黄色系
730 ウィンザーイエロー
347 レモンイエロー(ニッケルチタネイト)
016 オーレオリン
■橙系
724 ウィンザーオレンジ
■赤系
726 ウィンザーレッド
466 パーマネントアリザリンクリムソン
502 パーマネントローズ
■紫系
733 ウィンザーバイオレット(ディオキサジン)
■青系
137 セルリアンブルー
707 ウィンザーブルー(グリーンシェード)
263 フレンチウルトラマリン
321 インダスレンブルー
322 インディゴ
■緑系
719 ウィンザーグリーン(ブルーシェード)に変更
447 オリーブグリーン
503 パーマネントサップグリーン
■茶系
744 イエローオーカー
552 ローシェンナ
074 バーントシェンナ
554 ローアンバー
076 バーントアンバー
■無彩色
465 ペイニーズグレー
331 アイボリーブラック
150 チャイニーズホワイト 

 まず私は原則としてアイボリーブラックとチャイニーズホワイトは使わない。特に固形絵具で白は使わないのでパレットから外して好みの色を追加して使っている。
 まずパレットの固形絵具の並びを見てみよう。上の写真で上の列は左から黄色系、橙系、赤系、紫、青系。下の列は左から緑系、茶系、黒と並ぶ。
 皆さんはこの並びを見て、不思議に感じないだろうか?
 以前「ためになる美術講座」の中で水彩絵の具の科学について触れた(詳細はこちら→)。その記事を思い出してほしい。
 つまり太陽の自然光は波長の長いものから短いものへ7色(赤橙黄緑青藍紫)の光に分けられる。そして各波長のうち長い波長を反射する絵具が赤色であり、中間の波長を反射する絵具が黄色であり、短い波長を反射する絵具が青色になる。 
 そしてこの3色を均等に混ぜると黒になる。私が黒は使わない理由はここにある。要らないからだ。
 そして7色のうち赤、橙、黄、緑、青、紫と隣合う色を混ぜてできる中間色を円形に並べると12色環になる。
 これら3原色と12色環の存在とパレットにある絵具の配列を比べて私が疑問に思った理由は2つある。
 一つは必ずしも混色し易い順に並んでいないことだ。原則的に色相が似通っている色が近い方が使いやすい筈だ。例えば黄色と緑とそれらを混色してできる黄緑は木々を描くときに頻繁に利用する筈だ。
 だから黄系の絵具と緑系の絵具は近い方がいい。しかしこのパレットでは緑は下段、黄は上段と分かれている。
 もう一つは12色環にない茶系の絵具が他の系統の色よりも多く、何色も揃っていることだ。

 この理由は使い込んでくるとだんだん理解できる、私の理解は以下の通りだ。
 まず上段に配置してあるのは赤、青、黄の絵具の3原色とその類似色なのだ。黄色は3原色だが緑は3原色ではない。黄色と青を混色するとできる。
 だから緑は上段にはないのだ。ただし現実的には、例えば野原を描くときに大量の黄緑をいちいち黄と青を混色していては大変だ。だからすでに混色した緑がある。しかもパレット状では黄と緑は上下に分かれてはいるが同じ一番左にまとめられているので、それなりに近接性は確保されている。

 次に茶系が多い理由だ。茶は先に述べたように、3原色にも12色環にもない。茶色を作るには赤と黄色に黒を混ぜる必要があるのだ。彩度が高い場合赤と黄の混色は橙になる。それに黒が混ざり、明度が下がると茶色になるのだ。
 つまり上段は色相を作り出すときに使用する色、下段は明度を下げる時に使いやすい色と考えられるのだ。だから下段の右端にあったのが黒、その隣がグレーであるのもうなずける。
 言い換えれば明るい基本色は上段で混色して作り、影を作るときは下段の色を混色して使うのが論理的、効率的だと言うことだ。そう考えるととてもよく考えられた配置だと思う。(ただしこの理由はあくまで私の推測であり、ウィンザーニュートン社に確認したものではない)

では具体的に私の絵具とパレットの使い方を述べよう。
■風景画を描く時(私の風景画の描き方についてはこちら→
 通常はまずペンで描いた線の上にプルシャンブルーでグリザイユを施す。24色に最初から入っているブルーはウルトラマリンブルー、ウィンザーブルーのようだが、両者ともやや鮮やかすぎて、濃い影の部分に使うと違和感がある。だから私はプルシャンブルーを買い足して使っている。
 最近は絵によっては、さらにウィンザーバイオレットを少々混ぜてグリザイユに使用することがある。パレットの右上のゾーンがその混色の場所だ。
 そして右上のブルーゾーンはその他に緑を混ぜて、空の色、川や海の色を作っている。
 風景画でよく使うのはやはり緑系の色だろう。こちらはもっぱら左下のゾーンで混色している。先程述べた下段パレットの原則通り、右に行くほど明度の暗い混色をしている。黄緑はサップグリーンに上段のウィンザーイエローを混ぜて作り、影となる濃いグリーンはサップグリーン、オリーブグリーンをベースに明度に応じて茶系の絵具を混ぜている。具体的に言うと同じ緑陰でも明るめの部分はローシェンナーを、暗めの部分はローアンバーを混ぜて作っている。
 樹木については、茶系の色が結構揃っているのであまり混色しない。明るい木はイエローオーカー、赤っぽい木はバーントシェンナーやバーントアンバーを、暗い木はローアンバー、セピア(この色も買い足している)を中心に使い分けている。
 パレット左下に若干赤色のゾーンがあることに気づいた人はなかなか鋭い。これはグリーン系に茶系を混ぜるだけではまだ影が明るすぎる時がある。そんな時グリーンの補色である赤を混ぜると一気に黒に近くなる。そのためにここに赤を置くゾーンを作っているのだ。

■人物画を描く時(私の人物画の描き方についてはこちら→
 私が描く人物画はまず鉛筆で明暗を取り、それから固有色を重ねてゆく。風景画のようにプルシャンブルーで完全にグリザイユを施すことはしない。
 なぜかと言うと、特に女性の白っぽい肌を描く時は下地のプルシャンブルーがきつすぎるからだ。
 鉛筆ですでに微妙な明暗を施してあるので、大切なのはベースとなる肌色だ。そこで私のパレットでは肌色専用ゾーンが確保してある。
 風景画を描くときにあまり使っていなかったパレットの左上のゾーンだ。
 一番左上は肌色の明るい部分を、ウィンザーイエローとパーマネントローズを混ぜて作り、その右隣を肌色の暗い部分としてパーマネントアリザリンクリムソンとウィンザーイエローディープ(これも後からの買い足し)とプルシャンブルーを混ぜて作っている。
 そしてもう一色買い足した大切な色がある。それは「ローズドーレ」というピンク色だ。これは私にとって人物画の顔を描く時に必須の色だ。
 通常ピンク色が欲しいときは、赤色(例えばパーマネントローズ)を水で薄めれば良いとされる。
 だが私の場合はその方法ではだめなのだ。なぜかというと先に述べたとおり下地全面に鉛筆線を施すので、頬や唇の赤み、服のピンクなどを描くとき、水を加え過ぎると下地の鉛筆のグレーが出て暗くなりすぎる。かと言って赤絵具の水を減らすと「ピンク」ではなく、「赤」になってしまい、厚化粧したような顔になってしまう。
 それに比べこのローズドーレという絵具は、彩度の高いピンク色でかつ透明度が高い。だから変に微妙な水分調整する必要もなく、下地の肌色を生かしながらほんのりと赤みを加える時にとても重宝しているのだ。

 もちろん絵によってはさらに多くの混色が少しづつ発生する。離れたパレットゾーンで作った色を筆先に少しだけ混ぜて塗ることもある。この辺りのテクニックは一言で説明はできない。修練、経験が物を言う。
 どんなにいい道具を揃えても、透明水彩の絵の出来を直接左右するのはパレット上での絵具と筆の操作だ。
 今回はあくまで「私流」の使い方を伝えた。だが描く対象によっても、あるいは個人の好み、得て不得手もあるかも知れない。
 それでも描き続けることによって、より満足できるものになるだろう。頑張って欲しい。

 トップページでも紹介しているが、いずれ「美緑空間アートギャラリー」のメンバーを募ろうと思っている。今回は「修練」「経験」という言葉を使ったが、メンバー間でならばより具体的なアドバイスができると思っている。
 希望者は是非登録してほしい。(現在は具体的システム考案中。もうしばらく待ってほしい)

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