絵具の知識 透明水彩は何故美しい?

■透明水彩は何故美しい?

 プロの水彩画家が描く水彩画はなぜ美しいのだろう。もちろん絵の才能があるから。だがそれよりももっと直接的、絶対的な差がある。

 それは子供の頃使っていた、マット水彩絵具(学童用半透明水彩絵具)ではなく、プロ用の透明水彩絵の具を使っているからだ。

 まず発色がよく美しい。透明感がある。どういうことかというと、マット水彩絵の具は絵具を重ねると基本的に下の絵具は消えてしまう。

 しかし透明水彩絵の具では下の色は消えず上に塗った色と澄んだ状態で重なり合うということだ。特に水彩紙の上に塗ったときの美しさには不思議な感動さえ覚える。今回はその感動は何故起きるのか調べてみた。

 しかし実は調べれば調べるほど、「光」と「色」の諸問題は奥行きが深く、私も完全に理解できたとは言い難い。皆さんも疑問に思ったら自分で調べてみると良い。今回私がこの原稿を書くにあたり手にした参考文献は以下のとおりである。

■絵具は無色である?

 「そんな馬鹿な!」と思わないように。絵に描かれたさまざまな色を何故感じるかかというと、実は絵具に色がついているからではないのだ。その理由を説明する前にまず光と色の基礎知識を説明しておこう。

 ご存知のように私たちが光と感ずるものは電磁波であり、波長の長さによってX線、紫外線、可視光線、赤外線などに分かれている。このうちおよそ400~700nm(ナノメートル、10のマイナス9乗メートル)を可視光線と呼んでいる。

 可視光線は波長の長い赤から順に橙黄、緑青、藍、紫まで一般に7色と呼ばれる順に並んでいる。波長が短いほどエネルギーが高い。従って、紫の光はは赤い光よりもエネルギーが高く、紫外線はさらにさらにエネルギーが強い。日焼けは紫外線の高エネルギーによることはよく知られている通りだ。

 全ての波長の可視光線が私たちの目、具体的には網膜に届くと、白い光を脳が感知する。一方波長の短い光が何らかの理由で目に届かなくなると、残った波長の長い光が網膜に写る。その波長の光を脳が「赤い」と感知するのだ。夕日が赤いのはこれが原因だ。決して太陽が赤いわけではない。

 さて絵の色について説明しよう。網膜に映る光の波長を感知して色を判断する仕組みは同じだ。だが水彩画の色は太陽光のような直接光ではなく紙面からの反射光だ。光はその反射する物質によって様々な波長の光を返す。その結果網膜に映った短い波長の部分を青に、長い波長の部分を赤と認識するのだ。

 そろそろ冒頭の疑問に答えよう。絵具自身は顔料の集まりであり、顔料は鉱物元素や炭素原子で繋がった有機化合物であり、それ自体に色はない。
 元素の結晶、分子レベルの組成の違いにより特定の波長光を吸収し、その他の波長光は通過または反射させる。結果として網膜に届いた波長の光を固有色として認識するのだ。

 しかし、この仕組みを知っただけでは、「透明」水彩の美しさは説明できない。これを理解するためにはさらに絵具の「透明」と「不透明」の基本を理解する必要がある。もう少し詳しく説明しよう。

■かつては不透明絵の具しかなかった

 歴史的にはアルタミラの壁画も中世教会のフレスコ画も、テンペラ画も全て顔料が絵の表面に露出する「不透明」の絵具を使って描いていた。

 複数の色を重ねると常に最上層の顔料が特定の色を吸収して反射光を返す。上層の顔料層が厚いため、下の顔料層に光は届かない。
 従って、透明感は無い。どれだけ色を重ねても最後の一層しか見えないとなれば。画家としては物足りなさを感じるであろう。

■油絵の透明感は何故生まれるか?

 その意味で15世紀に誕生したといわれる油絵は画期的だった。まず顔料を展色剤である油に混ぜることによって得られた粘性により、支持体(キャンバス、紙など絵を描く対象物)に顔料を薄く塗ることができるようになった。

 それまで顔料の厚みに遮られて下層まで届かなかった光が下の層まで届くようになったのだ。

 上層の顔料により特定の波長を吸収され、下の層に届いた光は下層の顔料によりさらに別の波長の光を吸収して反射光を顔料の間に充填されている油の中を通り抜けて私たちの目に届く。

 具体例を示そう。上層に赤(長波調帯を反射)を、下層に黄色(中波長帯を反射)が塗られているとしよう。光はまず赤の層で短波長の光を吸収される。そし黄色の層で短波長(青系)及び長波調(赤系)の光を吸収される。すると吸収されずに残った波長は橙色の波長となる。

 同様に黄色の層の上に青の層を重ねると、緑色の波長の光が残る。その光が私たちの網膜に届くというわけだ。

 先に述べたの光は2層目の絵具層底面で反射したものだが、「透明」を演出する光は実は他にもある。

■絵の表面で反射する光。この光は主に表面の粗さで決まる。磨いた表面であれば全波長がそのまま反射するので鏡に写った像が目に届く。いわゆる「艶」として表現される光。粗面であれば全波長が乱反射し目には白く映る。

■1層目の底面で反射する光。赤い光である。表面で反射した光より暗い。
■1層目も2層目も通過して支持体(キャンバス)の面で反射する光。白だとすればどの波長も吸収しないので橙色の光を返すが、支持体面までとどき、さらに表面まで反射光を返すのでエネルギーを各所で吸収され、暗い光となる。
■最初からどの層の顔料にもあたらず、油の中を通過して支持体(キャンバス)面で反射し目に届く光。顔料によってどの波長の光も吸収されないので、白く、比較的明るい光を返す。

 このような油絵による深みのある「透明な」絵の具効果を知った画家はもはやテンペラ画やフレスコ画は描かなくなる。通常「私は画家はである」という時は「油絵を描く」ことと同義であるのは、このような歴史があるからだ。

■そして透明水彩が誕生した

 長く使われてきた水性の絵具としてはテンペラが挙げられる。これは顔料を展色材である卵で溶いたものだが、腐敗しやすいなどの欠点があるため、17世紀頃から展色材にアラビアゴムを用いたものが使われるようになった。

 これがガッシュと呼ばれる不透明水彩である。ただし耐久性があまりなく、あくまで下絵としての利用が主だった。
 しかし18世紀後半、イギリスで画期的な「透明」水彩絵の具が売り出された。現在美術館の目録に正式に「water  color」と記されるのはこの絵具のことである。

 何が画期的であったかというと、絵具が工業的に完成品として大量に市販されたということである。それまで画家は顔料と展色材を混ぜ、絵の具を自分で作っていた。それが同じ品質のものがいつでも好きなだけ苦労なく手に入るようになったのだ。

 さらにそれまでは貴重な天然の鉱物資源からしか入手できなかった顔料と同じ色合いの絵具が、有機化学の発達により人間の手で工場生産できるようになったのだ。
 そして19世紀になるとチューブ入りの絵具が市販され、使い勝手の良さから、透明水彩絵具は画家だけでなく市民の間にも広がるようになる。

■透明水彩は何故透明感があるのか?

 ガッシュは顔料を厚く重ねる技法で使用されたため、展色剤のアラビアゴムの配分比率は少なかった。そして表面の層の顔料が反射光の波長を決める不透明な絵具であった。

  一方この時誕生した透明水彩絵の具はアラビアゴムを30%以上配合していた。そのため絵の具を水に溶いて紙に塗ると、顔料分子がまばらに分散して、その間から支持体の紙の白の光(全波長の光の混合)を反射するようになる。

 特定の波長の顔料からの反射光と紙の反射による白色光が混合した光はガッシュよりも透明感を感ずるという訳だ。
 そしてさらに重要なことはアラビアゴムの粘性により絵の具層を薄く重ねることができ、先に述べた油絵の仕組みと同様の透明性を得ることが出来るのだ。

 多層の絵の具による複雑な波長の吸収作用を経て、アラビアゴムから外へ出た光は紙の反射による白色光と混ざり、透明水彩絵具独特の「透明感」を生み出すことができたのだ。

■透明水彩の美しさを演出するテクニック

 「透明水彩絵の具」が「透明感」を出す基本的な仕組みを知ると、以下のようなその特徴をさらに活かすテクニックがあることに気づく。

■透明絵具と不透明絵の具を使い分ける。

 実は絵の具、顔料自体にも「透明度」の差がある。透明絵具は顔料の中を透過する光エネルギーが多く、不透明絵具は透過するよりも反射する光エネルギーのほうが圧倒的に多い。つまり不透明度の高い絵の具を下に、透明度の高い絵の具を上に重ねた方が、同じ重ね色でも明るい光が得られることになる。

 一般に黄色系の顔料は黄色以外の波長光は吸収するが黄色の波長はほとんど100%反射する。つまり私たちの目には明るい黄色が映る。それに対して緑系の顔料は緑の光を反射するが、透過光も多い。透過した光は下の層の色にまた特定範囲の波長光を吸収された黄緑色の反射光となって私たちの目に入る。

 カドミウムイエロー(不透明度高い)の上にサップグリーン(透明度高い)を置いてみるとこの効果がよくわかるはずだ。
 ちなみに両方の絵具をパレットで混色し塗るとどうなるのか?重ねとどう違うのか?と疑問に思うかもしれない。
 この疑問にははっきりした実験結果が出ている。パレットで混色した「黄緑色」はその特定波長の光だけが目に届く。

 一方黄色に緑を重ね双方の特定波長だけを吸収した光は、残った波長全ての混合光として目に届くので、同じ「黄緑色」でも波長の範囲が広い。つまり緑寄りの光も、黄色寄りの光もそれぞの明るさで混じっている。したがって混色した黄緑色よりも深みが出るというわけだ。

線描を活かす

 もう一つ私が不透明水彩を使わない決定的な理由がある。私の風景画作成プロセスは、ペンによる線描がポイントだ。不透明水彩は上に絵具を塗ると苦労して描いたペンの線さえも隠してしまうのだ。(ペンと水彩による風景画の描き方はこちら→

 一方透明水彩は紙面まで光が届くので、ペンの部分で全ての波長を吸収し、白い面では届いた色の光をそのまま反射させる。したがって重ねた深みある透明色と純粋な黒が共存したまま目に届く。

にじみの効果と透明感の共存

 透明水彩画にはさらに油絵では表現できない効果がある。たっぷりと水を吸った紙に絵具を落とすと紙の繊維に吸収される過程が滲みとなって表現される。
 この現象を利用してしばしば紙の白色光を生かした、美しい形状の、ムラのない混色を行うことができる。キャンバスに絵具が染み込むことがない油絵には不可能なテクニックである。

P.S.
今回の記事は絵具の基礎的な性質について書いた。同様に美術の基礎的な知識について「ためになる美術講座→」にまとめている。今日ものある方は読んでほしい。特に今回の記事に関連する記事は以下のとおりである。合わせて参考にしてほしい。

■「水彩画入門色塗りの基礎技法を覚えよう!→
■「水彩画の基本!知っておきたいグリザイユ画法と絵具の透明度→」
■「透明水彩入門!絵具とパレットの使い方を知っている?→


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20件のコメント

[…]  そんな時、頼りにするのは世に多くある「名画」ではなかろうか?油彩画ならあなたもそんな名画をいくらでも知っているだろう。フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」ダビンチ「モナリザ」なルノワール「イレーヌ嬢の肖像」・・・。ルネサンス絵画、印象派の絵画、とにかくヨーロッパの絵画で人物画を探すのに苦労はいらない。私が人物画を描きたいと思ったきっかけも油絵の「名画」だった(詳細はこちら→)。 でも水彩画で有名な人物画はあるかといわれると、よほど美術史を専門に学んだ人でないと知らないだろう。 もちろん私も知らなかった。学生時代以来再び絵を描こうと思ったものの、その手段を水彩画にしぼることにためらいがあったのは、実は「人物画を(油絵に負けないレベルで)水彩で描けるか」という不安があったからだ。  そこで水彩画の名画で人物画がないか調べてみた。 まず通常に美術館で記される「watercolor」はいわゆる透明水彩のことで、世にに広がったのは19世紀初頭、それも主にイギリスからであるらしい。(水彩絵具の詳細についてはこちら→) 基本的に油彩画に比べて歴史が浅いのだ。そしてそれを日本に広めたのは幕末~明治にかけて、イギリス人で特派記者兼挿絵画家のチャールズ・ワーグマンとイタリア人フォンタネージだという。そしてワーグマンから教えを受けたのが高橋由-や五姓田義松(ごせだ よしまつ)。フォンタネージから教えを受けたのが浅井忠だったらしい。 私が調べたところでは高橋由一はやはり油絵が有名で、彼の水彩画の作品は特定できなかった。 五姓田義松 (ごせだ よしまつ) は最近でこそ有名のようだが、一般の知名度はいまひとつ。 そこで浅井忠にしぼって調べてみると昭和57年に「日本水彩画名作全集」が第一法規から出版されていた。その第一巻が浅井忠だ。ずいぶん古い本なので当然普通の書店にあるはずもない。そこでインターネットで調べるとありがたいことにamazonで古書が売っており、さっそく購入した。 […]

[…]  水彩画の絵具と色について、このブログで以下のようにいくつかの記事を書いた。水彩画入門!プロが選ぶ絵具は?絵具の知識 透明水彩は何故美しい?有名絵画に見るブルーの秘密 しかし実は色彩の科学はかなり奥が深く、記事の中で書ききれなかった部分、あるいは記事を書いた時点ではわからなかったが、その後解明できたこと、そして私の中で未だに解決していないことなどがある。 ここでは、さらに深く「色彩」について私が調べた興味深い事実をお伝えしようと思う。参考にした文献は以下の通りだ。さらに自分で調べたい方は参考にしてほしい。・世界史を変えた新素材 佐藤健太郎・いやでも物理が面白くなる 志村史夫・絵具の科学 ホルベイン工業技術部・絵画技法と画材の話 第64回日府展関連事業 市民講座 佐藤勝明・画材の博物誌 森田恒之・水練顔料に関しての考察 東京学芸大学リポジトリ 速水敬一郎ほか・光と色彩の科学 齋藤勝裕 […]

[…] P.S.絵具についてはとても科学的な説明がいる。例えばコバルトブルーはなぜ青く見える?透明色と不透明色があるのはなぜか?水彩画と油絵の表現の違いはなぜ起こる?こんなことを疑問に思ったことはないだろうか?私自身とても興味があったので整理してみた。是非読んでみて欲しい→こちら […]

[…]  まず私は原則としてアイボリーブラックとチャイニーズホワイトは使わない。特に固形絵具で白は使わないのでパレットから外して好みの色を追加して使っている。 まずパレットの固形絵具の並びを見てみよう。上の写真で上の列は左から黄色系、橙系、赤系、紫、青系。下の列は左から緑系、茶系、黒と並ぶ。 皆さんはこの並びを見て、不思議に感じないだろうか? 以前「ためになる美術講座」の中で水彩絵の具の科学について触れた(詳細はこちら→)。その記事を思い出してほしい。 つまり太陽の自然光は波長の長いものから短いものへ7色(赤橙黄緑青藍紫)の光に分けられる。そして各波長のうち長い波長を反射する絵具が赤色であり、中間の波長を反射する絵具が黄色であり、短い波長を反射する絵具が青色になる。  そしてこの3色を均等に混ぜると黒になる。私が黒は使わない理由はここにある。要らないからだ。 そして7色のうち赤、橙、黄、緑、青、紫と隣合う色を混ぜてできる中間色を円形に並べると12色環になる。 これら3原色と12色環の存在とパレットにある絵具の配列を比べて私が疑問に思った理由は2つある。 一つは必ずしも混色し易い順に並んでいないことだ。原則的に色相が似通っている色が近い方が使いやすい筈だ。例えば黄色と緑とそれらを混色してできる黄緑は木々を描くときに頻繁に利用する筈だ。 だから黄系の絵具と緑系の絵具は近い方がいい。しかしこのパレットでは緑は下段、黄は上段と分かれている。 もう一つは12色環にない茶系の絵具が他の系統の色よりも多く、何色も揃っていることだ。 […]

[…]  町が何故赤いのか。別に奇抜なことを考える建築家がいたわけではない。赤い屋根は地元の粘土を使った「石州瓦」。外壁の板材、建具、格子に至るまで塗り込めた赤はこの町の名産である「ベンガラ」だ。 その土地の材料だけで素直に作るとこんな町が出来たというわけだ。町が栄えた理由は江戸時代に遡る。当時インドのベンガル地方から輸入していたため「ベンガラ」と呼ばれた高価なこの材料が、吹屋の銅生産の副産物としてできることがわかった。 時の聡明な有力者がこのベンガラの商品化を図った。吹屋のベンガラはたいそう品質が良く、瞬く間に日本中で大ヒットしたらしい。 こんな僻地にもかかわらず、豪商らしき邸宅が並ぶ、大きな町が昭和の初期まで維持できたのもこのベンガラのおかげだった。 しかし、以前このブログでも触れたが、「絵具」「顔料」の類は天然に取れるものはとても高価で、工業的に合成された製品にコストも品質も及ばない。(ブログ記事はこちら→)しかも肝心の銅山は昭和47年に閉鎖されてしまった。山間で他に産業もない町が寂れるのは必然なのだ。 […]

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