水彩画入門!美しいグラデーションの作り方

 皆さんは「グラデーション」とは何か知っているだろうか?

 「徐々に色が変わること」…正解だ。水彩画で風景を描くときには「滲み」や「ぼかし」と同様に必ず必要となる重要なテクニックでもある。

 滲みとぼかしについでは別の記事、「水彩画入門 色塗りの基礎技法を覚えよう!→」を参照してもらうことにして、今回は透明水彩による美しいグラデーションを作る方法を考えよう。

目次

1.グラデーションとは何か?

2.彩度のグラデーション
 2.1純色から黒色へのグラデーション
 2.2純色から白色へのグラデーション

3.色相のグラデーション
 3.1色環の近い色のグラデーション
 3.2色環の反対色のグラデーション

4.明度のグラデーション

5.美しいグラデーションの作り方
 5.1単色のグラデーション
 5.2複数の色のグラデーション

6.まとめ

■グラデーションとは何か?

 先に述べたようにグラフィックデザインで使う「グラデーション」とは色が徐々に変わる表現のことだ。だから原則的には配分の違う絵具を作りぼかしながら徐々に塗っていけばいい。

 ご存知のように色の三要素には明度、彩度、色相がある。原理的にはそれぞれのグラデーションが可能だが、透明水彩の場合は少し事情が違う。順に説明しよう。

■彩度のグラデーション

 彩度とは色の鮮やかさのこと。簡単に言えば白や黒など無彩色の混じる度合いのことだ。これには以下の2つの場合がある。

■純色から黒色へのグラデーション

 例えばオレンジ色に黒を混ぜてゆくと茶色になり最後は真っ黒になる。油絵ならば純色に徐々に黒を混ぜて塗ればいい。

 だが透明水彩の場合は黒を混ぜると色が汚く濁ってしまう(「絵具の知識 透明水彩は何故美しい?→」を参照)。色の境界をいかにうまくぼかしたところで、美しいグラデーション期待できない。

■純色から白色へのグラデーション

 透明水彩の最も美しい表現の一つだ。逆光の作品は大抵このパターンだ。直射光が白、離れるに従い徐々に反射光の純色に変わる。

■色相のグラデーション

 異なる色相の色が徐々に混じり合うパターン。原理的にはどんな色でもグラデーション可能だが透明水彩の場合は注意が必要だ。

■色環の近い色のグラデーション

これも透明水彩の最も美しい表現だ。例えば草原の黄緑から緑へのグラデーションなどだ。

■色環の反対色のグラデーション

 例えば黄色と紫など、補色同士のグラデーションだ。論理的にはあり得るが水彩画では、やはり美しいグラデーションにはならない。

 何故なら補色が混じるとグレーになる。つまり濁った色同士の組み合わせになるからだ。

■明度のグラデーション

 無彩色の白から黒へのグラデーション。これも濁った色同士の混色であり、透明水彩では美しいグラデーションにはならない。

■美しいグラデーションの作り方

 上述の分類で明らかなように、透明水彩で美しいグラデーションを作るには無彩色、黒との混色を使わないことだ。だから以下の2つのパターンをマスターすることを考えればよい。

■単色のグラデーション

 先に説明した純色から白へのグラデーションだ。これは水彩画の基本テクニックと言っていい。だが実は広い面積を美しいグラデーションで塗るのはとても難しい。

 先に必ず失敗するやり方を示そう。

・乾燥した紙に濃い色を塗る(ウェット オン ドライ)。
・画面上に水を足して徐々に色を薄くしてゆく。
・最後は水分たっぷりの状態で紙の白を見せる。

 一見、良さそうだがこの方法は以下の問題がある。
 第一に最初に乾燥した紙に色を塗ると、必ず筆跡が残る。グラデーションには筆跡は禁物だ。

 第二に、一旦塗り終え、乾き始めた状態で上に新しい塗りを施すと、新しく置いた筆の方が水分が多いので、バックランが生じ、そこに他の部分と違うにじみが生じる。つまり必ずムラになってしまうのだ。

 正しい手順は以下の通りだ。

・まず紙に刷毛で水を引き湿らせる。

・水分と絵具をたっぷり含ませた筆で一気に濃い目の色を塗る。

・紙の端まで塗ったら、同じ筆で、筆先の絵具をティッシュで少し拭い、次のストロークを塗る。紙に含まれる水分は均等なので絵具量が少ない分先のストロークよりも薄い色になる。先のストロークとの境は勝手に馴染んでくれる。これを繰り返す。

 そして最後は何も塗っていない部分に向け、紙を傾けると、紙の水だけの部分に向かって薄く滲んだ色が広がっていく。ストローク間の濃さの違いもこの時馴染ませる。紙の白が絵具で覆われる前に絵を水平に戻す。

 あとは乾くまで放置する。この手順で塗ったサンプルが下図である。

 この時の注意点は2つある。

 使用する筆は水の含みがよい筆であること(「レンブラントの水彩用オーバル筆を使ってみた!→」を参照)。紙の端まで行かないうちに絵具がなくなると、新しい水分配合の筆で塗り継ぐことになり、ムラが出来やすいからだ。

 最後に絵を傾ける時は、白く残したい部分のやや手前で絵具を止めておくことだ。

 絵具は塗り終えた後、乾くまでの間に白い部分に向かって勝手に広がってゆく。気がついたときには紙の白の部分まで塗りつぶされてしまう可能性があるからだ。

■複数の色のグラデーション

 実は上記の「単色のグラデーション」は自然界にはほとんど存在しない。風景画を描くときは、複数の色のグラデーションを同時に表現する必要がある。

下図の私の作品の空の表現を見てほしい。

 使っている色相は黄色、オレンジ、ブルーなどでそれぞれ水平線に近づくほど薄くなるようグラデーションを施している。

 水平線に向かって徐々に明るくなるグラデーションは先の方法の通りに各色で繰り返せば良い。

 問題は複数の色相間のグラデーションだ。この表現方法は2種類ある。

 一つは同時に色を塗り境界を紙と水に任せて滲ませる。もう一つは先に一つの色のグラデーションを作り、乾いてから次の色のグラデーションを重ねるという方法だ。

 前者は短時間で済むが、各色の(純色から白への)彩度のグラデーションがコントロールができない。

 そこでこの絵では後者の方法を採用している。具体的に説明しよう。

 まず水平線に向かって徐々に白くなるよう黄色でグラデーションを施す。そこで一旦完全に乾燥させる。

 次に同様にオレンジのグラデーションを黄色のゾーンに向かって白くなるようグラデーションをかける。すると上部はオレンジ、下部は黄色が浮き出るグラデーションとなる。

 再び完全に乾燥させ、次にブルーをオレンジのゾーンに向かって白くなるようにグラデーションをかける。すると上部は青く、オレンジと重なる部分はオレンジが浮き出てくる。

 こうすると空の上方から水平線に向けて青~オレンジ~黄~白という実際の空に近い自然のグラデーションが表現できる。

■まとめ

 「グラデーションのテクニック講座」いかがだろう?

 始めに水彩画のグラデーションは美しいが難しいと述べた。だが実は保水性のある水彩紙と筆、透明度のある絵具を作品の各制作過程で正しく使用すれば、あとは紙の水分と絵具のコラボレーションが美しいグラデーションを勝手に作ってくれるとも言える。

 あなたの次の作品には是非「美しいグラデーション」を表現してみてほしい。

P.S.
このブログでは文章中にリンクを張った以外にも以下のような関連するテーマの記事を書いている。興味ある方は参照してほしい。

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■カテゴリ「絵画上達法→
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水彩画入門!始めに買うべき道具は?
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