固形水彩絵の具の使い方

 皆さんは今、どんな絵具「水彩画を始めた人へ!プロが選ぶ絵具とは?→」を参照)を使っているだろうか? 

 オーソドックスなおすすめとしては入手しやすい国産のホルベインチューブ入り18色だろうか?

 だが私が普段使っているのは上の写真のウィンザーニュートンのパレット付き固形絵具だ。何故わざわざと思うかもしれない。
だが今回はその理由を説明したいと思う。

  1. 固形水彩絵の具とは
  2. 固形水彩絵の具のメリットとデメリット
  3. 固形水彩絵の具の使い方
  4. 固形水彩絵の具、こんな使い方もある
  5. まとめ

■固形水彩絵の具とは

 基本的な絵具の成分はチューブ入りのものと変わらない。小さな四角い樹脂製の箱に入れて固めたものと考えていいようだ。絵具の色数はホルベインはチューブ入りは108色あるが、固形絵具は59色と少ない。

 一方で私が愛用するウィンザーニュートンの固形絵具はチューブ入りと同じく全96色である。

 その画家の画風にはあのメーカーのこの色という絵具があると聞くように、選択肢は多い方がいいには違いない。

 だが少なくともこれだけ色数があれば固形絵具だけで十分な色がそろうと考えていいだろう。

■固形水彩絵の具のメリットとデメリット

・メリット

 もちろん持ち運びのしやすさと使いやすさだ。絵具とパレットを別々に揃える必要もないし、絵具をパレットに出す必要もない。筆先に水をつけて、固形絵具に触れればすぐに溶けて色を塗ることができる。

 パレット上の絵具の配置も最初から使い易い合理的な配置になっている。(「透明水彩入門! 絵具とパレットの使い方を知っている?→」を参照)。

 固形絵具の詳細な製法はわからないが、制作プロセスでプレスしているため「濃い水彩」になっているという。だからチューブ入り絵具よりも減りにくいとのことだ。確かに私も実感として、「随分長持ちしているな」と思っている。

・デメリット

 チューブ入りの場合は広い面を塗る時、パレットの広い面にいきなり絵具を出して直接水に溶かし、使うことができる。

 だが固形絵具の場合はまず筆(「水彩画入門!弘法は筆を選ぶ?→」を参照)に水を含ませ、固形絵具を溶かし、パレットでさらにそれを展開しなければならず、余計な手間がかかることだ。

 もう一つのデメリットは破損しやすいということだ。確かに持ち運びに便利なのだが、絵具が減ってくると、中央部が窪み、周囲の樹脂ケースとの接触部分が薄くなる。すると持ち運んでいる最中のちょっとした衝撃で絵具が破損し、パレット内に散ってしまうことがある。

 現地に着き、いざ描こうとしたら絵具が飛び散って殆ど無かったということが何度かある。

■固形水彩絵の具の使い方

 固形水彩絵の具はまず水で溶かさないと、使えない。したがって私は絵を描き始める前にまず、パレット内の全部の固形絵具を筆の穂先で軽く溶き、水で湿らせておくようにしている。

 そうしないと、描いている最中のタイムリーな混色ができないからだ。ついでに付け加えると、最初に絵具を溶くときの筆は樹脂ケースの縁も一緒に擦ることになるので痛みが早い。だから私は使い古した筆、ナイロン筆(「水彩画の道具、ナイロン筆の面白い使い方→」を参照)を使用する様にしている。

 あとは固形絵具だからといって通常の水彩画の描き方と何ら変わるところはないない。発色もいい。

 広い面積を塗る場合は固形絵具はやや不便であると書いた。そんな時のために私は百円均一店で買った小皿を利用している(「百円均一店で揃える水彩画の道具!→」を参照)。特に下塗り、平塗りをするときなどは、先に固形絵具から濃い目の絵具をその小皿にこすり取り、多めの水で十分に溶かし、太めの筆で一気に塗ればいいのだ。

■固形水彩絵の具、こんな使い方もある

 実は私自身、最近チューブ入り絵具を併用し始めた。理由は二つある。
一つは、シュミンケホラダムの絵具が使いたくなったからだ。

 とりあえず必要なチューブ入り絵具を買ったのだが、やはり他の固形絵具と別に持ち運ぶのが手間だ。

 そこで、空になったウィンザーニュートンの固形絵具のケースにシュミンケのチューブの絵具を入れ、乾燥してから使用してみた。濃度が低いのではと心配したが、そんなことは全く無かった。

 おかげで今は固形絵具のパレット内の樹脂ケースにウィンザーニュートンとシュミンケが混在している状態である。非常に使い勝手がいい。

 もう一つはこの要領で、無くなりかけたウィンザーニュートンの固形絵具の上にチューブ絵具を足すという方法を思いついたからだ。

 こうすると、中央が窪み、絵具が少なくなった時の破損しやすさという先に述べた固形絵具の欠点を補うことができる。固形絵具を徹底的に使い尽くすという意味ではおすすめの方法だ。

■まとめ

 今回は私が普段使っている固形水彩絵の具について書いた。携帯性を重視する屋外スケッチ派にとって心強い道具であることは間違いない。少しでも皆さんの参考になれば幸いである。

P.S


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