人物デッサンを始める人へ 「ポーズ」にこだわろう!

 人物をデッサンする時に大切なことは何だろう?
道具→?心構え→?テクニック→?・・・もちろん全部大切だ。だがそれらは描く人、つまりあなたの段取りまたは普段の努力で何とかなるものだ。
 しかし実は描き手の努力では何ともしがたい部分がある。それはモデルさんの「ポーズ」だ。

 あなたが人物画なりクロッキーをしたいと思ったとしよう。家族に創作意欲を刺激してくれるモデルがいれば素晴らしいが、通常はそんな恵まれた人はいない。だから大抵はカルチャーセンターに通うことになる。

 人物画教室に来てくれるモデルさんはプロなのでそれなりの表情をしてくれるし、スタイルもいい人が多い。自分では段取りすることもない。
 モデル代を参加者で分担することになるので何より安くつく。それはすなわち同じ予算で多く描けるということであり、練習量が必要な初心者には何よりだ。
 だが、何事もいいことばかりではない。不満もあるはずだ。それが「ポーズ」だ。

 クロッキーの場合は時間が短いので、上の図のように動きのあるポーズをとってくれる。それなりに描きがいがあるというものだ。

 もっとも同じクロッキーでもモデルさんいよってかなり差がある。上のモデルさんは元バレリーナだという。だから体も柔らかく、アクロバティックなポーズも取れる。私がいままで描いてきたモデルさんの中でも最高にいいモデルさんだった。通常はこんなポーズは取れない人が多いはずなので期待しすぎないよう、お断りしておく。(人物クロッキーの描き方についてはこちら→

 だが人物画、肖像画となると、長時間同じポーズ取るので、それほどアクロバティックなポーズは取れない。どうしても、モデルさんが疲れにくい、おとなしい、ポーズになる。

 しかも大抵、衣装もモデルさん任せ。すると本人は頑張って可愛らしい衣装を選んでくるのだろう。例えばフリルのついたブラウスにたっぷりとプリーツの入ったスカートだ。
 そんないかにもお嬢様らしい衣装だとポーズはさらに限られてしまう。

 上の絵はその典型だ。目鼻立ちが整い、スタイルもいい。可愛いモデルさんで、本来なら何も文句もないはずだ。だがとったポーズははっきり言えばただ立っているだけ。全く面白味がない。

 もちろん絵としてはそれなりに工夫を凝らして作品に仕立てたつもりである。白と赤の衣装は相性のいい配色だ。これを生かすには背景にあまりいろいろな色を入れないほうがいい。だからこの時はわざと無彩色に近い背景とした。この絵は個展にも出品したが評判も上々だった。
 ・・・しかし、やっぱり絵描きの創作意欲を満足させてくれるポーズではなかった。残念だ。

 どうもモデルさんには相性というものがあるようだ。上のモデルさんは、実は私の最初に売れた人物画(私の人物画が売れた訳→)のモデルさんと同じ人だ。

 何故だかわからないが彼女がポーズをとるとほとんど一瞬で私の創作意欲にスイッチが入るのだ。この時もそうだった。かるく長椅子に腰を載せ、足をやや広げたリラックスしたポーズ。けっして奇抜でもアクロバティックでもない。むしろ先のお嬢様ポーズより楽なポーズだ。それなのに、手足の開き方、体の傾け方、表情に至るまでぴたりと絵になるのだ。

 この絵はF6号のスケッチブックだったので、本当は体全体を納めるには画面がやや小さい。最近の私は人物の表情を重視して描くので、F6号の場合は上半身だけを描く場合が多いのだが、このポーズを見た瞬間、迷うことなく全身を描こうと思った。

 実はこのデルさんの服装も先のお嬢様モデルと基本構成は変わらない。白いセーターとブルーのスカート、シンプルな構成だ。白を強調するために背景は無彩色に近い色とし、斜めにすらりと伸びた足を強調すべく画面にグラデーションを施している。

 F6という紙面の物理的な制限で顔の表情がこれ以上描き込めないのが残念なのだが、インスタグラムに投稿したら、「いいね」の数がとても多かった。「ポーズ」の面白さがその差に現れているのではないかと密かに思っている。

P.S.
今回は人物画の「ポーズ」について書いた。当然人物画にはほかにも多くの要素がある。関連する記事を下記にまとめたので興味ある方は参考にしてほしい。

私の人物画の描き方についてはこちら→

顔のデッサンをするときの注意点はこちら→

手のデッサンをするときの注意点はこちら→

人物デッサンの具体的なプロセスについてはこちら→

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