素描をデッサンだけで終わらせない!私の人物画作法とは

素描って何だろう?

 「素描」を「大辞林」で調べると「鉛筆や木炭などの単色の線で物の形を表した絵。本来は創作の予備的な下絵として描かれた。また、彩画と対比されることもある。デッサン。」

 つまり素描=デッサンを一生懸命練習しても、どうやらそれは将来描く本作(彩画)のために捨てられる運命にあるものらしい。

 上図はアングルの作品「ベルヴェーズ・フーロンの肖像」だ。1981年アングル展が初めて日本にやってきた時の展示会カタログからの抜粋だ。(そのカタログはアングルファンであった私の宝物だ)左は油彩画、右は鉛筆デッサン。まさに下図として描いたもののようだ。

 だが、この定義は大作家、一部の職業画家に対してあてはまるものの、大部分の初心者を含む絵描きにとっては、モノクロのデッサンもできれば作品として飾りたいはずだ。

風景のデッサンを作品にする方法は?

 だから私の風景画は通常下書きになるデッサンの線をペンで描き、その上に透明水彩を重ねればそのまま作品になる描き方を続けている(「ペンと水彩で描く風景画の魅力とは→」を参照)。

ペンによる人物のデッサンは作品になるか?

 もちろん人物デッサンでもペンの線を活かして水彩画の作品にならないかと試行錯誤してみた。

 左はクロッキー帳にペンで人物デッサンしたもの。自分では悪くないと思っている。絵になりそうだ。だがクロッキー帳に水彩絵具は塗れない。そう思って水彩紙にペンで人物デッサンし、着色したのが右の絵だ。

 イラストとしてはまあまあか。しかし残念ながら、私は気に入らなかった。何故なら着彩したとたん、ペンの線が水彩の淡い色に対して相対的に強くなりすぎるからだ。水彩絵具を塗った顔の表情も光と影もほとんど鑑賞者に意識されなくなってしまうのだ。

 そう悟って以来、「イラスト」と割り切る場合を除き、ペンで描いた人物画を彩色して作品にしようとする試みはやめてしまった。

鉛筆による人物デッサンを作品にする方法とは?

 ならば鉛筆デッサンに彩色を施して、作品にすれば良いと思うだろう。事実過去の大作家にもそれらしき作品はある。

浅井忠「待合室」

 例えば浅井忠の鉛筆の線を残した人物画がある(上図)。だがよく見ると、それらは色数も少なく、大きさも小さめだ。やはり彩色画の下絵または単なる記録、挿し絵、イラストの類に見える。本人も「作品」としてはみていなかったのではなかろうか。

 その理由は、おそらく風景画の時は画面のアクセントになり得たデッサンの線が人物を描くときには邪魔になるからだろう。だから今でも、特に透明水彩の世界では人物画の鉛筆線は残さない手法が主流なのだ。

 私のこの悩みを解決してくれたきっかけは、全くの偶然から起きた。それは私がモデルを求めて通っていた、人物画教室のプログラムの変更だ。
 それまではモデルさんのポーズは20分×4回。休憩時間を含んで2時間で完成させなければならなかった。

 だから鉛筆の下絵に使う時間はせいぜい30分程度しか取れない。着彩に時間をかけたければ、鉛筆デッサンにかける時間はさらに短かくなり、どうしても人物の輪郭線だけを拾うようになる。

 左の絵の鉛筆のデッサンはせいぜい20分、右はそれなりに時間をかけたが、それでも40分程度だったと思う。そのあと水彩で着彩したがいずれも基本的には輪郭線として使用しており水彩作品とは言い難い。

私の人物画から「線」が消えた!?

 ところがある時から、1日20分×4回を2日に渡って描くことになったのだ。そうすると事情は変わる。

 元々デッサン好き(「鉛筆デッサンが教えてくれるもの→」を参照)、特に鉛筆の線が醸し出すグレーの色調に惹かれていた私は、最初の4回を気がつくと鉛筆デッサンだけにあてていた。そしていつのまにか輪郭線にこだわらず、画面全体を鉛筆のグレーの階調で表現するようになっていたのだ。

 こうして私の人物画から「線」が消えた。つまり鉛筆は下書きでなく、面を表現する下塗りになったのだ。そして私の描く人物画は鉛筆によるグレーの下塗りに透明水彩で彩色して仕上げるという手法をとるようになったというわけだ。

 それなら、ただ鉛筆デッサンの上に水彩を塗ればいいのか?というと実はそれほど単純ではない。
 そもそも「鉛筆デッサン入門」の教本や、インターネットの「デッサン教室」を覗いても、内容にはかなりばらつきがある。

 とある教本によれば、最初に紙を痛めない2B程度であたりを取り、次に濃い部分を4Bで描き明暗の基準を固める。そして2Hから2Bで中間の色を描いてゆき、最後に明るい部分を3Hで描き込むとある。

 あるいは別のネットのデッサン教室では最初から最後まで6Bを使い、濃い薄いは筆圧と芯の角度のみで調整する。影は綿棒でぼかし、一番濃い影は、最後に入れるなどと描いてある。

 描く順序を見てみると、全体を少しずつバランスをとりながら描くという正論の他に、まず大事な部分を最適の明暗バランスで描き、その階調を全体に広げるという指導もあった。

 これらを見る限り、どうやら正解というものはなさそうだが、ばらつく原因は同じ鉛筆デッサンを描いていてもその目的が違うからだと思う。
 目的とは多分以下の4つに分けられそうだ。順番に説明しよう。

①練習

 純粋に「練習」用デッサンのこ。結果としての出来栄えよりも、対象を正確に観察することを目的とする。したがって明度については特に忠実に、暗い部分は相当に濃い鉛筆で表現することになる。


②彩色の下絵

 デッサンの当たりをとることが中心で輪郭線の正確さが要求される。光の位置とバランスは計画するが、明度表現は絵具に委ねる。


③販売用鉛筆画(似顔絵)

 まずスピードが要求される。したがって濃い鉛筆の強弱とぼかしが中心となる。対象の表情を綺麗に仕上げる必要があるので、明るい面にはほとんど鉛筆線を入れない一方でポイントとなる目や口元は濃い鉛筆で魅力を強調する。


④水彩画の下塗り

 これが私の使う鉛筆デッサンだ。敢えて「塗り」と記したのは、鉛筆の線を無数に重ね、グレー色の面を作ることで透明水彩の下塗りとするためだ。 この「水彩画の下塗り」デッサンはもちろん基本の素描の定義に対して何ら変わるところはない。

 ただし私の人物画作法における「透明水彩の下塗り」とするために注意すべき点がいくつかある。それを記しておこう。

私の人物画作法とは? 道具編

①鉛筆

・種類と濃さ
 4HからH、HB、F、Bから4Bまで合計10本を準備する。あまり安い鉛筆は水彩紙の凹凸に紙に引っかかって紙を傷める。

 ステッドラーなど輸入高級品もあるが、私は三菱ハイユニを使っており、十分満足している。鉛筆画を専門とする画家は6Bくらいまでの鉛筆を揃えるらしいが、あまり濃いものはその後、透明水彩を載せても色味が見えなくなるので、4Bで十分だろう。

・使い方
 鉛筆削りは使用せず、ナイフで削ろう。なぜかと言うと先端を徹底的に細くする必要があるからだ。
 先に「線ではなく面を表現する」ために鉛筆を使うと書いた。なんとなく先端が丸まったまま描く方が、面を表現しやすいと思うかもしれないが、そうではない。
 先を丸くした鉛筆の線は紙に定着しにくいせいなのか、後で水彩色を塗ったときに、鉛筆の粉が画面を汚すのだ。

②練りゴム

 消しゴムはダメ。理由は二つある。まず消しゴムは紙を傷める可能性がある。そしてこちらの方がより重要なのだが、練りゴムは消すのではなく、鉛筆の黒に対して、白い線を引くために使う。

 手の中で練りゴムの形状を変えれば、自由な太さの白い線が引ける。消しゴムはそれができない。線の消え方は消しゴムの接触面にできる偶然に任せるしかないからだ。

③紙

 素描、デッサンと割り切れば、安く薄い紙で良い。しかし今は水彩の作品として仕上げることを考える。後に透明水彩を施すことを考えると、表面の強さは最高級のものがいい。

 やはりアルシュシ紙は最高だ。私は少しコストを抑えるために、ファブリアーノ紙、アヴァロン紙も使っている。
 以前は安くて丈夫なラングトン(パルプ100%)を使っていたが、やはり何度も鉛筆と水彩を重ねると、表面が傷んで最後は毛羽立ち、美しい色が発色せず、不規則に滲んで黒ずんでくるようだ。(「水彩画入門!始めに買うべき道具は?→」を参照)

私の人物画作法とは? 全体構成編(重要!)

 上図3枚はトップページにある人物画作品3枚の下塗りとなった鉛筆デッサンだ。ただし通常の鉛筆デッサンの練習と違い一工夫必要だ。

 何故なら、石膏像のデッサンをするときは、光の当たり方だけを考えて鉛筆を使えば良い。だが後から水彩を施すことを考えると、光のバランスと同時に各所の素材の色のバランスを考える必要があるのだ。

 具体的に説明しよう。私はモデルさんの肌の色、顔の角度と光の方向、服装の色、背景の色を総合的に判断してパーツ毎に使う鉛筆を大まかに決めている。

 例えば、人物の肌色を3H、服をH、髪を2Bと決めるのだ。すると、肌の明るい部分は4H、暗い部分は2H、服の明るい部分は2H、暗い部分はF、髪の毛の明るい部分はB、濃い部分は3Bとそれぞれ3段階の破綻のない明度設定ができる。

 こうすると初心者の鉛筆デッサンにありがちな明度の破綻がない。一生懸命顔の影を描いていると、いつに間にか顔に髪の毛より濃い部分ができてしまうというようなことは避けられるのだ。

 背景も同様だ。仮にHBを基本としておけば、髪の2Bよりも明るく肌の3Hよりも濃い。人物と背景が同じ暗さで混じってしまうということが避けられるのだ。
 さらに、私の経験上のコツを言えば、練習用の鉛筆デッサンと比べるとやや暗部を明るめにしておく方が良い。上に透明水彩を重ねたとき、鉛筆が濃すぎると美しい色味が見えなくなってしまうからだ。

 一方で画面の色調を落ち着いたグレー色に保とうとすると、顔の明るい部分にも薄い鉛筆の線が被さっていたほうがいい。私はいわゆる紙の白地を残すのは人物の鼻の頭のハイライト部分だけだ。

 この方法で制作した鉛筆デッサンならばその上に肌色、服の色、背景の壁色など素材色を重ねるだけでも、それなりに立派な人物画として作品になるはずだ。
 デッサンの練習しながら額に入れて飾れる作品が出来上がる・・・初心者にとってこれほど有用な方法は無いだろう。是非試してほしい。

P.S.
今回は人物画の基本のプロセスについて描いた。しかしある程度自信が出来た人は、当然その先が知りたいだろう。下記のように、いくつか記事を書いているので興味ある方は参照して欲しい。

■カテゴリ

■基礎編

■応用編

P.P.S.
 当然ながら、人物画は奥が深い。下塗りができただけで、魅力的な絵とはならない。特に透明水彩は下の鉛筆によるグレー色の生かし方でその後の効果は大きく変わる。
 最後のコメント文で「それなりに立派な人物画」と書いたのはさらに着彩の出来映えによって魅力が増すことを期待しているからだ。

 実を言えば私自身、一作ごとにテーマに合わせ最適な透明水彩の美しさを活かす新たなを工夫している。
 トップページ、「美緑(みりょく)空間へようこそ!→」で募集している「美緑空間アートギャラリー」のメンバーの皆さんにはその最新の結果を逐次お知らせする。
 また逆に皆さんが私の方法を試してみた結果を報告していただければさらに、中身はさらに充実するだろう。

  登録方法は下のメール欄にあなたのアドレスを入れて登録ボタンを押すだけ。
  あなたの参加をお待ちしている。

私の人物画作法…受賞のお知らせ

 私の人物画が2021マレーシア国際アートコンペティションにおいて「TOP 80 PAINTING AWARD」を受賞した。今回は世界60か国623作品の中から選定された賞とのことで非常に光栄に感じている。
 もちろんこのブログで説明した私の人物画作法によって描いている。美緑(みりょく)空間アートギャラリーのメンバーにはもちろん作品の応募や制作に関する知識を真っ先にお伝えする予定だ。
 お楽しみに。


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27件のコメント

[…] 魅力的な女性を描く。 美しい女性を見て感動するのは誰でもできる。だが、その女性の魅力を自分の手で画帳に表現することは絵を描く人にしかできない。そしてこの楽しみは絵を描かない人には永遠にわからないのだ。 しかし実は人物画を描こうとすると、たちまち直面する問題がある。初めての個展で人物画を出品したとき、友人の最初の質問はほとんど「モデルは誰?」だった。 つまり、風景は自分で好きに対象を選べるが、人物はそうはいかない。相当の「大家(たいか)」と呼ばれる画家でも好みのモデルを探すのに苦労しているそうだ。 私の解決法は近所の「人物画教室」に通うこと。来ている人が全員でモデル料を分担するので安く済むからだ。もちろん、モデルさんも、服装も、ポーズも自分の望むようにはならない。それでも画力の向上に枚数を描く事は絶対に必要だ。大いに利用させてもらっている。(私の人物画の描き方に興味のある方はこちら→https://miryoku-yoshine.com/how-to-draw-a-portraitpainting/) […]

[…]  さて、そんな訳で今一つ人気が出なくとも、延々と人物画をブログにアップし続けていたが異変が起きた。何と私の「人物画」が売れたのだ。二度目の個展に出品した作品、タイトル「山紫水明」というチャイナドレスを着た女性の絵だ。 確かにこの時この絵は非常に評判が良かった。この時の来場者のコメントを総合するとどうやら絵が売れた理由は4つあるようだ。 ①デッサン、色使いなど技術に基本的な破綻がないこと ②ポーズや表情も含め魅力的な女性であること ③絵の背景と人物に明確な関連があること ④落ち着いた独特の色調であること  ①は以前にも述べたように、「継続は力なり」ということの裏返しだ。本人の努力で何とかなる一方で②はモデルさんの技量と器量による。だからと言って「当たり前」と済まさないほうがいい。何人もの婦人像を描いているとわかるのだが、一つのポーズで同じ姿勢が取れないという基本ができていないモデルさんが実に多いのだ。まして、いい表情が作れるモデルさんは貴重だ。売れる人物画はいいモデルさん無しには絶対にできないと思っている。 ③は背景をどうするかということ。初心者は背景を最後に塗る人が多い。それでは背景と人物が別のものになってしまう。「イレーヌ嬢」は深い森の中にいるような幻想的な背景。きっと妖精のような少女にふさわしい背景をルノワールは必死に考えたに違いない。その点この時のモデルには「チャイナドレス」という強烈なイメージがある。だから背景には中国の森、川、建物のイメージを合成して描きこんだ。 そして次の④は実はこの頃から意図的に取り組んでいたものだ。通常水彩画は鉛筆の線をあまり残さない。なぜかというと、水彩画の特徴である淡い、「にじみ」や「ぼかし」のテクニックを殺してしまいかねないからだ。私はその常識に逆らって敢えて鉛筆の線を重ねてできる面の上に水彩絵の具を重ねることにしている。だから本来ならチャイナドレスの赤はもっと鮮やかに見せられるのに、私の場合は敢えてグレーのグラデーションの中で赤を見せている。だから画面全体は落ち着いた色調になるのだ。(私のこの人物画の制作プロセスに興味のある人はこちら→を参考にしてほしい。) 人物画を好きな人は多い。でも有名な画家が必ず描くモティーフでもある。それだけにプロの描く人物画は自分だけの描き方を探すことが大切だと思っている。 […]

[…] ■人物画を描く時(私の人物画の描き方についてはこちら→) 私が描く人物画はまず鉛筆で明暗を取り、それから固有色を重ねてゆく。風景画のようにプルシャンブルーで完全にグリザイユを施すことはしない。 なぜかと言うと、特に女性の白っぽい肌を描く時は下地のプルシャンブルーがきつすぎるからだ。 鉛筆ですでに微妙な明暗を施してあるので、大切なのはベースとなる肌色だ。そこで私のパレットでは肌色専用ゾーンが確保してある。 風景画を描くときにあまり使っていなかったパレットの左上のゾーンだ。 一番左上は肌色の明るい部分を、ウィンザーイエローとパーマネントローズを混ぜて作り、その右隣を肌色の暗い部分としてパーマネントアリザリンクリムソンとウィンザーイエローディープ(これも後からの買い足し)とプルシャンブルーを混ぜて作っている。 そしてもう一色買い足した大切な色がある。それは「ローズドーレ」というピンク色だ。これは私にとって人物画の顔を描く時に必須の色だ。 通常ピンク色が欲しいときは、赤色(例えばパーマネントローズ)を水で薄めれば良いとされる。 だが私の場合はその方法ではだめなのだ。なぜかというと先に述べたとおり下地全面に鉛筆線を施すので、頬や唇の赤み、服のピンクなどを描くとき、水を加え過ぎると下地の鉛筆のグレーが出て暗くなりすぎる。かと言って赤絵具の水を減らすと「ピンク」ではなく、「赤」になってしまい、厚化粧したような顔になってしまう。 それに比べこのローズドーレという絵具は、彩度の高いピンク色でかつ透明度が高い。だから変に微妙な水分調整する必要もなく、下地の肌色を生かしながらほんのりと赤みを加える時にとても重宝しているのだ。 […]

[…]  今回、髪を描くときのこの悩みをこのレンブラント・オーバル筆が解決してくれることがわかった。 まず髪の塊を描くときは当然、筆の根元の平筆で一気に塗ることができる。素晴らしいのはそのまま長い髪の先端まで描画できることだ。 何故ならまず絵具の含みがいいので、途中でパレットに筆を戻す必要がない。さらに髪の毛が細い塊になり始めたら、筆を斜めにひねる。そうすると描画する幅が狭くなる、髪の流れに沿ってそのまま描き、髪の先端は筆を横にして描けば極細の線でフィニッシュできるという訳だ。 私の人物画作法は先に鉛筆で明暗を描きその上に透明水彩を施すやり方だ。(技法についての詳細はこちら→) だから筆の毛先が硬いと、絵具を塗ったときに鉛筆の粉を拾って色が濁る時がある。この筆は毛がとても柔らかいのでそんな心配をする必要も全く無い。 まさに私に取っては完璧な筆と言っていいだろう。 […]

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[…]  ①図は私が描いたとある人物画の制作過程、鉛筆でのデッサンを終えたところだ(私の人物画の描き方に興味のある方はこちら→)。 プロのモデルさんをアトリエで描いているので背景はアトリエの床と壁だ。実はこの絵、着彩時に背景をどうするかでかなり悩んだ。ご覧のように服装は夏真っ盛り。アトリエの壁をそのまま描くことはナンセンスだ。かといって全く抽象的に色だけを施すのも雰囲気が出ない。そこでルノワールの手法、印象派の手法を思い出した。 テーマは真夏の草原。青い空と輝く草原、涼げな緑陰。具体的なイメージを抽象的に表現すればいいのだ。そうして完成したのが右の絵だ。 やはりルノワールは偉大だった。 […]

[…] ・道具については「水彩画入門!これだけ揃えれば十分?→」・色塗りの基本テクニックは「水彩画入門 色塗りの基礎技法を覚えよう!→」・人物画の描き方については「素描をデッサンだけで終わらせない!私の人物画作法とは→」・風景画の描き方については「ペンと水彩で描く風景画の魅力とは→」 […]

[…]  上の鉛筆による女性像は練習としての鉛筆デッサンではない。私の水彩画の通常の制作過程(詳細記事はこちら→)なのだ。少しだけ説明しよう。 世の多くの「水彩画教本(人物編)」を開くと、鉛筆の線はあくまで縁取りとして、軽くあたりを取るのに使うと書いてある。そして教本の主体は水彩絵具による肌色の出し方と明暗の色変化を教えることだ。 それに対して、私は対象の立体表現と明暗を鉛筆デッサンの世界で完結させる。そしてその上に肌色、髪の色、服の色等の透明な固有色を重ねていくのだ。完全なフルカラーの作品だが実は下地全面にほとんど鉛筆の線が施されている。とても時間のかかる技法なのだ。 […]

[…]  水彩画の教本を開いてみると、人物画を描く場合は、いわゆる「デッサン」として細かな説明がされている。もちろんこのブログでもいくつか記事を書いている(「素描をデッサンだけで終わらせない!私の人物画作法とは→」を参照)。 だが風景画では、実は「下書き」についてあまり触れられておらず、鉛筆の使い方に触れるくらいで、いきなり「塗り方」の解説をしている場合が多い。 […]

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