鉛筆で描く淡彩スケッチのコツ

■鉛筆で淡彩スケッチを描いてみよう

 トップページを見ていただければわかるように、私の風景画はほとんどがペンと水彩で描いたものだ。その経緯は「ペンと水彩で描く風景画の魅力とは→」に書いている。

 線の美しさが活かせることがその最大の理由だが、絵を始めたばかりの初心者にとっては、やはりペンでいきなり描き始めるのは敷居が高い。鉛筆に勝る下書きの道具はないだろう。
 今回はそんな人のために、鉛筆の線の上に水彩を塗る、淡彩スケッチのコツを述べよう。

■消しゴムを使わない!

 このブログの「誰にでもできるデッサン練習方法とは→」でも指摘したけれど、下書き段階では極力消しゴム、練りゴムを使わない方がいい。 

 鉛筆で少し描いては、不安になりすぐ消してまた描き直す。この繰り返しをしていると、いつまで経っても絵は完成しない。だから結果的に練習する枚数も減り、上達も遅いからだ。

■鉛筆は濃く、柔らかく、太いものを使おう!

 私がペンでなく、鉛筆で下描きをするときは、ちゃんとその理由がある。ペンの鋭い線よりも柔らかい鉛筆の線の方が絵の雰囲気に合うと思う時だ。その場合、鉛筆の使い方には実は二つの方法がある。

 一つ目は、私の人物画の作法の延長だ(「素描をデッサンだけで終わらせない!私の人物画作法とは→」)
つまり鉛筆は「線」でなく「面」として使う。4Hから4Bまでの濃さの違うの鉛筆を使い分け、風景の微妙な明暗、材質をモノトーンで細かく描き分ける方法だ。

 この方法は当然ながら透明水彩を塗る以前の鉛筆だけのプロセスに相当時間をかけないといけない。はっきり言って初心者向きとは言い難い。(もし、この鉛筆使用法に興味のある方は「姫路城の桜→」や「鉛筆と透明水彩で描く風景、海に浮かぶ桜島→」の記事を参照してほしい)

 だから今回のように、淡彩スケッチで使用する場合はもう一つの「柔らかい鉛筆の線をモチーフの輪郭線としてそのまま活かす」方法を使う。
 この時は線にある程度の個性がないと絵に面白味が出ない。だから鉛筆は出来るだけ濃く、太めの芯先のものがいい。私は1.3mmのシャープペンシルを使用することが多い。

■実例1:神戸南京町のスケッチ

 ここは休日は観光客が押し寄せる名所だ。中華街の中に入ってしまうと凄まじい人混みでとても絵を描くところではない。むしろ道路の反対側から、日本の門とは全く趣が違う、中華風の門に群がる人々の喧騒を描く方がいいと思った。

 ペンを使うと、建物のアウトラインが目立ちすぎて空気感が薄れる気がして、敢えて下書きに鉛筆を使ったものだ。
 大きさはF0号だが、水彩紙(ラングトン)を使っている。鉛筆の線を残そうと思ったので、着彩は私の他の絵に比べると薄めである。

 もちろん消しゴムは使っていないし、そもそも多少の線の歪みは気にしない。「面白い!」と思って鉛筆を握ってから下書きにせいぜい20分、着色にも1時間とかかっていない。

 実はこのスケッチはその年の私の年賀状に使用した。年賀状は鉛筆による淡彩スケッチの使い方としては、手軽、タイムリーで味があると言う意味で最適だと思う。

■実例2:京都鴨川のスケッチ

 有名な「鴨川をどり」など伝統芸能が行われる西洋風の近代建築と先斗町の木造建築が川辺に並ぶ風景だ。こちらも建物一軒一軒にそれほどみるべきものはなく、主役は川縁に憩う人達だ。

 建物をペンで描くとのんびりとした河原の雰囲気が死んでしまう・・・そんな気がして下書きに鉛筆を使ったものだ。
 やはり鉛筆の線を活かすため、絵具は薄めに塗り、明度と彩度は落としたくなかったので、極力色を重ねずに仕上げている。

 大きさはSM(サムホール)水彩紙はやはりラングトンである。鉛筆の下書きは30分、水彩の着彩も1時間ほどで仕上がったと思う。これも私の絵としてはとても短時間で仕上がった。「スケッチ」をそのまま仕上げるには淡彩スケッチは最高の方法だと思う。

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