大抵の人は京都で風景画を描こうとすると、東山の寺院群を目指す。もちろん世界遺産でもあり、スケッチするのに不足はない。
だが問題はあの人出だ。
清水寺や産寧坂(三年坂)や祇園の町並みは常に観光客の群衆がひしめいている。とてもスケッチブックを広げられる状態ではない。私の描く水彩画に京都が少ないのはそれが理由の一つである。
今回は京都の人混みにうんざりしている人のために、それなりに、じっくりと「風景画」が描けるとっておきの場所を教えよう。
それは京都3条通りの「近代建築群」だ。以下にその概要を記す。水彩画を描く際の参考にして欲しい。
目次
1.みずほ銀行京都中央支店
2.京都中京郵便局
3.京都文化博物館
4.日本生命保険京都三条ビル
5.SACRA(旧不動貯金銀行京都支店)
6.京都ダマシンカンパニー(旧家辺時計店)
7.まとめ
■みずほ銀行京都中央支店
京都駅から地下鉄烏丸駅または烏丸御池でおりる。いずれの駅からも歩いて行ける。
出発点は烏丸通りと三条通りの交差点にあるみずほ銀行京都中央支店だ。明治末期に建てられた建物だが、見た目は随分と新しい。なぜかというと、どうやら解体後、外観だけを再現したレプリカ建築のようだ。中身は完全な最新の銀行建築である。
しかし明治の有名建築家「辰野金吾」(「甦った? 首都東京の風景を描く!→」を参照)の設計図を正確に再現しているようなので、スケッチする価値は十分にある。交差点の角に建っているので、水彩画にするのにも申し分のない構図が取れるだろう。
■京都中京郵便局
交差点から三条通りを東へ歩く。これも明治末期の建築。この建物も内部は新築されたが、外壁は石も煉瓦も当時のままのものを保存している。だから先のみずほ銀行のように不自然な新しさはない。
三条通りはあまり広くない。だから建物を中心とする風景画は引きが取れなくて描きづらい。だがこの中京郵便局はやはり交差点にある。最低限の引きは取れるだろう。レンガの赤、石の白、屋根の緑と、水彩画としても美しい配色だろう。
■京都文化博物館
これも「辰野金吾」の設計だ。近代建築では数少ない「重要文化財」だ。外部はもちろんのこと、内部も明治時代のまま。旧日本銀行としての立派なインテリアが残されている。
一階部分は無料公開されているので是非内部も見学すると良い。外部も内部も是非水彩画として仕上げてみたい、いい建物だ。
■日本生命保険京都三条ビル
さらに三条通りを東へ歩く。とても間口の狭い石張りの建物が見えて来る。こちらは大正時代の建物。ただし外観だけ保存されていて、内部はすっかり現代建築のようだ。
さらに東へ歩こう。石張りの建物がSACRA。大正時代の建物である。かつては銀行だったが内部が全面的に改築され、今は商業施設である。しかしそのおかげで誰でも自由に内部に入ることができる。
突き当たりの木造の凝った装飾のある階段など当時のデザインをあちこちに見ることができる。
■京都ダマシンカンパニー(旧家辺時計店)
SACRAビルの建つ富小路通りの交差点を超えると右手に見えるのが京都ダマシンカンパニー。煉瓦造の奇妙なデザインの建物だ。
正面の三連続アーチが目を惹くが、横に扁平のアーチは力学的には違和感がある。尤もそれが個性的、装飾的な時計店としての主張なのかもしれない。
この建物は交差点に建っておらず、引きがなくてスケッチはかなり辛い。2階がセットバックしているのがせめてもの救いだ。
■まとめ
いかがだろう。今の日本で明治、対象の建物がこれだけの密度で建ち並ぶ通りを私は他に知らない。
京都の水彩画を静かに、楽しんで描きたい人、一度訪れて見てほしい。
P.S
このブログの参考記事は以下の通り。興味のある人は参考にしてほしい。
- 風景画を描こうと思うが、いい場所がないと言う人へ。
「ここが描きたい日本の風景→」に私がスケッチした場所をリスト化して紹介している。 - スケッチ旅に興味のある人は
「スケッチ旅の初心者へ…必携の小道具とその使い方とは?→」を読んでほしい。 - 京都の風景を水彩画にする
「風景画のコツ・・・構図と距離感→」
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