淡彩スケッチで描く韓国 景福宮

韓国 ソウル 景福宮

 私が一人で海外スケッチ旅に出かけたのは韓国のソウル。この時スケッチ旅行での英語の重要性に気づいたのは以前に書いた通り(詳細はこちら→)。
 この時の旅は日本発の往路も韓国発の復路もともに早朝出発という観光には最悪の飛行機。2泊した割には絵を描く時間は中1日しかないというスケジュールだった。

 私は本来旅先のスケッチとはいえ、その時のイメージを大切に、帰ってからもじっくりと描き込んで作品にするタイプ。スケッチを単なる練習、記録として考える気はない。
 だが実をいうと、この時は、つまり時間のないことが明確にわかっている時には、最初からいわゆる「淡彩スケッチ」を完成形とすることもある。
 どういうことかというと、最初から小さな安物のスケッチブックに描くのだ。 
 時間がなければ別に安物でなくても、小さい水彩紙のスケッチブックを持っていけばいいじゃないかと思うかも知れないが、やはり人間の心理はそれほど合理的にできていない。
 作品として仕上げるべき「水彩紙」に向かった瞬間に、どうやら頭から「短時間で」という単語は消えてしまうのだ。
 かつ失敗したらそれなりに高価な紙を無駄にするのではという意識が働いてしまう。かと言ってペラペラのクロッキー帳に描いて、最初から色塗りを諦めるようなこともしたくはない。
 そんな時のために、通常スケッチ旅行に持っていく道具に加え(スケッチ旅行の道具についてはこちら→)小さいスケッチブックも携帯するのだ。

 さてこの建物は、ソウルで一番広い道路、世宗大路を北へ行った突き当たり、世界文化遺産の「景福宮」の中にある。ソウルは日本の都会に引けを取らない、近代的な建築が建ち並ぶ現代都市。
 しかしこの景福宮は都会のど真ん中にある歴史的建造物。しかも敷地はとんでもなく広い。帰国してから調べてみると、面積なんと42万平方メートル。同じく京都のど真ん中にある歴史遺産、京都御所の4倍もあるのだ。
 内部を隈なく見て回るだけで数時間かかるだろう。しかも建築も綺麗に保存されており、私のように建築設計に携わってきた人間にはとても見応えがある。それなのにこの時私に残された時間はわずか2時間ほど。
 結局、冒頭の「興礼門」と呼ばれる建造物の前で20分スケッチしたものの、残り時間は敷地内の建物を駆け足で見て回っただけで時間切れとなってしまった。
 したがって今回は透明水彩の技法について語る内容はほとんど無い。この絵は現地でペンで直接スケッチし、帰国してから淡彩を施したものだ。
 だが、制作時間が短いからと言って、適当に仕上げていいわけではない。第一に紙質が悪いので、重ね塗りはできない。一回の塗りで淡彩の効果を出さなければならない。それなりの苦労がいるのだ。
 具体的にはペンの線を殺さないような淡い色彩を材質感を損なわない色で塗ることだ。黒い線の美しさを強調しようと思えば、濁って明度、彩度が落ちる危険性がある絵具の混色もなるべく避けたほうがいい。
 その意味では淡彩スケッチの時ほど12色の絵具ではなく、最低24色を揃えたほうがいい。(絵具の混色について知りたい人はこちら→)

 私はこの一枚しか描けなかった。だが上の写真のように本当は他にも絵になるシーンが多くある。
 最近日本との関係が悪くなった韓国だが、いい風景画が描けなくなるのはとても寂しい。その意味でも早く関係改善をしてほしいものだ。

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