水彩画で使うペン!あなたならどれを選ぶ?

風景画に使うペンの選び方は?

 ペンと水彩で風景画を描こうと思っている人へ。あなたはどんなペンを使っているだろうか?

 絵画用のペンをインク壺に浸して描くというのが古典的で正当な方法だろう。
 だが現実的に、私のように頻繁にスケッチ旅に出かける者にとっては、やはりさっと取り出し、気軽に描けるペンが欲しい。インク壺を持ち歩くのは正直言って苦痛だ。

 今回は、そんなちょっとめんどくさがり屋の人のために、より簡単で、いい絵が描けるそんなペンは無いか、私なりの経験と、検証結果をお話ししようと思う。

私の使っているペンはこれだ

 私が普段使っているのは太さ0.3mmのサインペンか0.5mmのイラスト用の万年筆のどちらかである。

 前者では以前はホルベインの絵画用油性サインペンを愛用していたが、最近入手できなくなった。どうやら廃番になってしまったようだ。
 サインペンはインクが無くなるとどうせ新しいのを買わないといけないので、最近はその都度、よさそうなものを何本か買って試しながら、スケッチしている状態である。

 後者はtachikawaのLinemerkerを使用している。万年筆タイプなのでインクは交換できる。ただしペン先は高級な万年筆のような耐久性は無く、旅先での私の使い方が荒いせいもあり、ペン自体も一年ごとに買い替えている。

ペンの描き味を比較する!

 まず4種類のペンとそれぞれの線を比較してみた。左からLinemerker0.5mm、uniのPIN0.3mm、STAEDTLERのpigment liner0.3mm、COPICのMULTILINER0.3mmである。

 引いた線のルールを解説しよう。まず標準の太さで水平線を7本引く(左側の〇しるしをつけた線)


 次に上部の区画に細い縦ラインをフリーハンドで引いてい行く。間隔はペンの太さに合わせ自由、隣り合う線がくっつかない程度にできるだけ均質に引いてみた。この線は私が描く古い街並みのにある建具の格子のイメージだと思ってもらえればよい。

 次に下部の区画に細い横ラインをやはりフリーハンドで入れてみた。容量は細い縦ラインの時と同じだ。この線のイメージは平葺き屋根の横線のイメージだ。

 最後に斜めの一点鎖線を太線で引いてみた。

 まずは大きな比較から。一見してわかるのは同じ太さ「0.3mm」をうたっていてもこれだけ差があるということ。特にUNIのPINはLinemerkerの0.5mmよりも太い。

 細線、標準線、太線の描き分けについては、もちろん私個人の力加減で描いているので、きわめて定性的な評価であることをお断りしておくが、それなりに面白い結果が出ている。

 まずLinemerkerについて。万年筆タイプなのでペンの向きと力の入れ具合によって線の太さは敏感に変わるようだ。
 だから同じ標準線を描いたつもりでもペンの角度が違うとその線だけ細くなっている。その分斜め線の太さと細い水平線との差は相当あり、描き分けしやすいという意味では最高である。

 UNIのPINは力を入れると相当太くなる。0.3mmどころか斜め線の一番太いところは1mm近くありそうである。
 このペンは油性だけあって、水彩紙にはことのほかしみこみが早そうで、描き始めと終わり、つまりペンの速度の遅い部分はさらに太くなる傾向がある。
 このペンを使いこなすのは、かなりセンスが要りそうだ。

 STAEDTLERのpigment linerのも比較的よく線の太さを描き分けられる。実はこのペン私はすでに5年以上使っている。もちろん毎日使っているわけではないが、そんなに長く使っているのはこのペンだけである。恐るべき耐久性と言えよう。

 長く使っているので私はこのペンの癖を熟知している。このペンは筆圧では線の太さはほとんど変わらない。太さを調整するのはペン先の速度のみ。
 しかもその再現性が何度描いてもほぼ同じなのだ。だから細い縦ラインは標準線の横ラインよりスピーディーに、太い斜めラインはよりゆっくりと線を引けばよいのだ。

 最後のCOPICについては、最近イラストレイターの間でよく使われているとの評判を聞き、つい最近購入したものだ。だからまだ水彩画を描くためのペンとしては一度も使用していない。

 このサンプルで言えることは4つの中で線の太さの差が一番少ないということだろう。特に顕著なのは斜めの太線だ。自分ではかなり力を入れて描いてみたつもりだがあまりその効果は出ず、4つの中でも一番細い。

 強弱をこのペン一本で着けるのはかなりむつかしそうだ。逆に言えば同じ線の太さが維持できるのでイラストには最適なのかもしれない。

 その他に気が付いたことがもう一つある。一番左Linemerkerは線の強弱については文句ないのだが、線の開始と終わりをよく見てほしい。他の3枚に比べて不揃いであることがわかるだろう。

 これはペン先の形状が起因しているようだ。他の三本はステンレス製の0.3mmの細い芯の先の一点からインクが出る。だからどんな持ち方をしようがペン先はクリアで描き始めの位置を見誤ることは無い。

 だがLinemerkerは筒の先端をカットしたペン形状であり先端が見にくい。かつ角度を変えるとインクが染みだすタイミングがずれる。だから狙った位置から少しづつずれる場合があるようなのだ。

 そういえば、特に小さな絵を描いているとき、「今日はペン先が思うように動かないな?」と思うことがよくあった。その時は「調子が悪いのかな」くらいに軽く考えていたが、どうやら違うらしい。ペン先の接地位置はペンの癖を知って慎重に描く必要があったということだ。

 もっとも、以前にも書いたようにペンと水彩で風景画を描く場合、人間の目はそんな微細な差など気にしない。あくまでも全体のバランスで「この絵いい!」と思うのだ。

 上の4つのペンのうち一番扱いにくそうなUNIのPINを使った作品(上)と一番絵を描くには適していそうなLinemerkerを使った作品(下)が冒頭の2作品である。(比較のために、2作品ともペン描きの状態を載せている。完成作品は「加藤美稲水彩画作品集→」に掲載しておくので、そちらも比較して欲しい。)

 PINの線は太くなることを知っていたので線は一気に引かない。むしろところどころ途切れるようにして、消えかかる部分との対比のおもしろさを絵の中で生かすようにしている。またペンの線を生かすため、水彩は線を消さないように透明色だけを重ねるようにしている。

 Linemerkerの線はペン先の向きや強弱が素直に現れる、曲線でその味が出る。寺の屋根がこの絵のポイントなので迷わずLinemerkerを使用した。微細な強弱のある屋根の線はPINではきっと描けなかったと思う。
 この絵ではペンの線が細いので水彩の明暗の細かなグラデーションと一体として立体感を表現できる。だから左図に比べると色の重ね回数も多くなっている。


 私自身は今のところ、「ペンは絶対にこれ!」とに決めようという気はあまりない。絵の大きさ、モチーフに応じて最も適切なペンを選べばいいと思っている。
 あなたもいろいろなペンを試してみるといいと思う。あなただけの「これは!」というペンとそれにぴったりの表現法を見つけたら最高だ。

P.S.
今回は「ペンの使い方と選び方」にテーマを絞って記事を書いた。「ペンと水彩で描く風景画」について下記に関連するページのリンクを貼ってある。是非参考にしてほしい。

ペンと水彩で描く風景画の描き方についてはこちら
スケッチ旅の道具についてはこちら→
透明水彩の基礎知識についてはこちら→
ペンで建物を描く方法についてはこちら→

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