水彩画上達のための「気になるテクニック」とは?

 水彩画を描き始めた人へ。あなたは上達するために何をしているだろうか?
 「基礎は学んだので、ひたすら枚数を描く。あとは実践あるのみ。」という方は要注意だ。

 失敗から学ぶことはとても大切だと思うが、今の世の中は情報が溢れている。自分に必要な効果的なテクニックを重点的に学べば、それだけ早く上達することは間違いない。

 今回はそんな人のために「上達のための気になるテクニック」について考えよう。

目次

1.水彩画の基礎を再確認しておこう

2.今の自分にないテクニックを探そう

3.事例1:水を引かないファーストウォッシュとリフティング

4.事例2:ウォッシュ直後の垂らし込み

5.事例3:塩を振る

6.まとめ

■水彩画の基礎を再確認しておこう

 このブログでは水彩画の初心者のために以下の記事を描いている。文中に多くの水彩画特有の専門用語が出てくる。まだ理解していない人は必要に応じて読んでほしい。

・道具については「水彩画入門!これだけ揃えれば十分?→
・色塗りの基本テクニックは「水彩画入門 色塗りの基礎技法を覚えよう!→
・人物画の描き方については「素描をデッサンだけで終わらせない!私の人物画作法とは→
・風景画の描き方については「ペンと水彩で描く風景画の魅力とは→

■今の自分にないテクニックを探そう。
 上達のためには二つの方法がある。一つは今の自分の得意のテクニックを磨くこと。

 そのための具体的方法は自分の作品の制作過程を写真にとっておくことだ。自分の作品出来、良し悪しの原因がどこにあったのかを発見することだ。(「何故上達しない?知っておきたい水彩画の正しい着彩手順!→」を参照)

 では自分にないテクニックはどうやって発見したらいいのだろうか?

 もちろん好きな作家の本を片っ端から読んでみる・・・確かにいい方法だがもっと手っ取り早い方法がある。

 皆さんご存知のインスタグラムを利用することだ。ハッシュタグで「#水彩画」「#風景画」「#人物画」などと検索すれば世界中の画家の作品が見られる。

 自分が気に入った水彩画の「気になるテクニック」を見つけて真似をしてみればいい。ありがたいことに最近は制作の動画を公開してくれる作家もいるので大いに参考になるはずだ。

 そんなインスタグラムの作品の中に私が気になっているテクニックがいくつかある。真似してみて、うまくいったもの、いかないものとあるが、自分なりの整理の意味で報告しておこう。おそらく皆さんの役にも立つはずだ。

■事例1:水を引かないファーストウォッシュとリフティング

 最初に下塗りをするとき、私は水彩紙の全面に水を引き、水が十分紙に染みこんんでからファーストウォッシュをすることにしている。その方がムラが出ないからだ。
 ただしこの場合は筆を紙に置いた瞬間に絵具が滲んで広がるので、シャープな線は引けない。

 だからファーストウォッシュが完全に乾いてからシャープな線を引いている。薄い色から濃い色へ徐々にウォッシュとドライブラシを重ねる方法だ。

 この方法はウェットとドライの特質に応じた描き方で間違いのない方法だが、欠点はウォッシュの度に乾かす必要があるので制作に時間がかかることだ。

 ところが作家によっては最初に全面に水を引かず、ドライな状態でいきなり筆でウォッシュしているようだ。
 最初の瞬間、紙はドライなので、ある程度シャープな線が出る。塗ったあとは筆に含ませた水分を紙が吸うので、その上に垂らす色は綺麗に滲む。

 言ってみればウェットとドライを一度に使い分けるやり方だ。特に最初の筆先を上方に、水の垂れる方向を下方に、水彩紙を傾けて塗ると、その効果は増す。

 絵具の垂れた部分に本来塗りたくない明るい部分があるときは、素早く絵具をぬぐった綺麗な筆、またはティッシュで絵具をふき取る。

 自分で試してみると確かに手っ取り早い。特に「明るい色に徐々に濃い色を重ねる」のではなく、最初からある程度「濃い絵具を拭き取って」明るい部分を作るプロセスは制作時間を劇的に短縮してくれる。
 とても効率的な方法だと思う。

 ただし、ファーストウォッシュの時に使う筆が水分をたっぷり含んでくれることと、穂先を紙に触れる時の絵具量のコントロールがとても重要だ。

 だから筆は太めでかつ毛はスクワラルまたはコリンスキーがふさわしい。私はレンブラントのオーバル筆2号を使っているが、普通の筆ならば最低10号以上が必要だろう。

 塗る寸前に筆の穂先をティッシュで軽く拭い、絵具の量をコントロールする。これをせずにいきなり塗ると、いかにドライな状態で塗っても筆が触れた瞬間に大量の絵具が一気に広がり、シャープな線は出ない、触れる瞬間のエッジ部分は細い線で、中央に行くに従い、たっぷりと絵具を塗りつける感じで描くのがいいようだ。

■事例2:ウォッシュ直後の垂らし込み

 例えば一面の草原をウォッシュで描き、乾かないうちに陰の緑を垂らしこむ。あるいは人物の肌を塗り、やはり乾かないうちに頬や首筋の赤、目元の青を垂らしこむ。

 私の場合はそれまでは先のウォッシュが完全に乾いてから、改めて陰色をウォッシュでぼかしながら塗っていた。この方法だと後に重ねる色の筆捌きが仕上がりの決め手になる。

 ところがその作家の動画を見る限り、ウォッシュ直後の垂らし込みの色が仕上げまで生きている。特に人物画には効果的なようだ。

 私もそのテクニックにトライしてみた。結果はとてもいいと感じた。

 ただしこのテクニックは水彩紙の水分の見極めが重要だ。「乾かないうちに」とあるのでウォッシュ直後に垂らし込みをすると垂らし込んだ色が薄く広がって下地の色に負けてしまう。

 かと言って乾きすぎた状態で垂らすと、その部分だけに集中して染み込み垂らした色が勝ちすぎる。しかも垂らした絵具の形がハードエッジとして汚く残ってしまう。
 水彩紙の渇き具合を熟知しないと使いこなすのは難しそうだ。

■事例3:塩を振る

 渓流の岩肌の苔、木の幹につく苔、あるいは木の葉の光と影の移ろいなど、筆先で描くのは困難な細かな色や光と影の変化などには地の色をウォッシュした後、塩を撒くと良い。

 これはどの教本にも載っている有名なテクニックであるが、使いこなすのは難しい。
 特に紙の乾燥具合と塩の放置時間の把握がとんでもなく難しい。

 水をたっぷり含んだ紙の上にすぐ塩を振っても、塩が流れるだけで結晶はできない。乾燥しすぎると、水に溶けないのでやはり結晶はできない。

 半乾きで振るのが良いのだが、その後長時間放置しすぎると結晶が大きくなりすぎて、下地の岩や幹よりも大きくなってしまうことがある。

 正直いうとこのテクニック、私はまだ使いこなせていない。自由に使いこなせるようになったらまたみなさんに報告したい。

■まとめ

 「気になるテクニック」はその時の自分の技量または目指す方向によって違うと思う。
 そしてひつマスターすると新たな気になるテクニックが現れるだろう。その繰り返しが上達の証でもある。

 皆さんもぜひ自分なりの「気になるテクニック」を発見してほしい。

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