水彩画上達法!マスキングインクを使いこなす!

 水彩画を精力的に描き出したあなたへ。
 このブログでお勧めしたような水彩紙、筆、絵具などの「描く」道具についてはもう理解していただいていると思う(カテゴリ:絵画上達法を参照)
だが透明水彩は紙の「白」を塗り残すのが基本。だから絵具から下地を「隠す」道具が必要だ。それが「マスキングインク」だ。その基本的な使い方については「水彩画の道具マスキングインクって何?(詳細はこちら→)」ですでに触れた。この記事を読み進める前に目を通してほしい。
 また、私の作品紹介で以下に具体的な使用例を記しているので、参考にしてほしい。
 「水彩画入門色塗りの基礎技法を覚えよう!
 「ペンと水彩で描く風景画!ミラノ大聖堂を描く秘訣は?
 「水彩で描く風景 角館の武家屋敷
 「水彩で描く風景画 相倉と菅沼の山村
 「水彩で描く風景 世界遺産姫路城
 「水彩で描く風景画 アルハンブラ宮殿」

 上の作品群でマスキングインクを使用する目的は大まかに分ければ二つある。一つはその部分を他よりも明るくする(白くする)こと。具体的には光に反射する雪山や建物の凸部、人物画の鼻や頬のハイライトなどだ。
 もう一つは他の部分と色相を変えること。例えば一面の草原に咲く鮮やかな花などを描く時だ。
 いずれの使い方もマスキングインクを塗るのは絵を描き始める前で、最後まで周りの色から「隠す」のが目的なので「剥がす」のは仕上げの直前だ。つまりごく一部の明度や彩度の変化を表現するための道具と言える。
 だが最近、マスキングインクを単に「隠す」道具でなく、もう少し透明水彩の魅力を引き出すための、積極的な道具として使えないかと考えている。

 ①図を見てほしい。絵の中景となる林の緑を塗ったものだが、ところどころにある明るい葉は先に述べたマスキングインクの使い方そのものだ。まず先に明るい葉の部分をマスキングし、濃い緑を塗った後にマスキングを剥がす。そしてその部分に周りより明るい黄色や緑を塗るのだ。
 比較的遠い風景、中景の木々の表現はこれで十分とも言える。だが近景の木立を描こうとすると、この表現では物足りないのだ。
 そこでマスキングインクを2段階で使うことを考えた。つまり最初にハイライト部分をマスキングしてから、下塗りに複数の色相のグラデーションを描く。その段階で再度、葉をマスキングしてから、濃い緑を置くという方法だ。
 

具体的なプロセスを説明しよう。
②図はまず最初に一番明るい光る葉をマスキングしてから、木立の黄色っぽいゾーンにグラデーションをかけた状態だ。
③図ではさらに葉の緑色のゾーンにグラデーションをかけた。そして完全に乾燥させてから、両ゾーンにそれぞれ葉の形でマスキングインクを塗った状態だ。図の中でグレーに見える葉がマスキングした部分だ。
④図は上でマスキングした葉の周りに影を意識しながら、濃い緑色を塗った状態だ。
⑤図は上の状態から、まず全てのマスキングインクを剥がす。するとハイライトの白、明るい黄色のグラデーション、緑のグラデーションの3種類の明るい葉が浮き出てくる。明暗が不自然に強い部分があるので筆で修正する。今回はさらに単調さをなくすため、マスキングした明るい葉の一部にオレンジ系の色を塗った。

さて①図と⑤図を比べてほしい。同じように木々を描いても、①図はマスキングをはがした時明るい葉の部分が白一色なので、最後においた色ですべてが決まる。それに対して⑤図はマスキングをはがした時点で白と2種類のグラデーションが重なった葉が残り。それをさらに筆で調整することにより、複雑な木立の表現が出来るようになる。マスキングの使い方によってこれほど差が出るのだ。

 マスキングインクは「隠す」だけの道具にあらず。水彩画の上達のために、あなたも試してみてほしい。

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