これぞ和様の建築?平等院鳳凰堂

 建物のある風景を描くなら是非お寺を描いてみよう。何故ならお寺ほど日本人の歴史文化を何気なく語ってくれる最高の証人だからだ。

 日本にあるお寺は主として4タイプあることはご存知だろうか?「和様」「大仏様」「禅宗様」「折衷用」の4つだ。(「お寺を描こう!寺院建築4つの様式を知っている?→」参照)

 今回は「和様」の代表的建築であると同時に世界遺産「古都京都の文化財」17カ所の一つである宇治の平等院を訪ねた。

その日は雨!

 絵描きとしては如何に世界遺産とは言え、単なる観光で終わらせる訳にはいかない。当然ながらスケッチをするつもりだったが、生憎前日からの大雨。平等院の横を流れる宇治川の水嵩もご覧の通り。堤防が決壊するのではないかと真面目に心配したほどだ。

せめて写真を…!

 雨には勝てず、この日のスケッチは早々と諦めて、写真撮影に集中することにした。早速正面の池沿いに建物をじっくりと観賞。

 柱、梁、軒回り、三手先枓栱(ときょう)、平行垂木など「和様」のディテールは規範通りの伝統的デザインである。

 緩やかに反りのある屋根は優美で、屋根飾りは名前の由来となった「鳳凰」だ。いずれも見事としか表現できない。

 そんな建築のパーツには満足するものの、実は鳳凰堂の全景、十円玉に描かれたあの横長の美しいプロポーションの構図を収めるには当時のデジタルカメラには荷が重かった。さらに雨中なので撮影で足場も限られる。

 結局この日はスケッチもできず、写真もご覧のような中途半端なものしか撮れなかった。

もう一つの見所

 朝から雨だったのに、予定を変更せずに平等院に来たのは、スケジュールの都合もあったのだが、もう一つ理由がある。

 それは鳳凰堂の裏側に建てられた「平等院ミュージアム鳳翔館」だ。設計は栗生明氏。当時話題の建物だったので、どうしても見たかったのだ。

 平等院に関連した展示品もそれなりに興味深かったが、私の目を引いたのは、当時としては画期的なこの平等院のコンピューターによる3次元モデルだった。

 プレゼンテーションに使えるまでに作り込んであったので、相当に手間がかかったに違いない。違和感があったのは、建物が全て朱塗りであったこと。そう、創建当時の状態は朱塗りだったのだ。

今度こそ、スケッチを!

 さて、最初の平等院訪問ではスケッチ出来なかった。いつかスケッチをと、機会を窺っていたが、やっとその日が来た。今度は快晴。雨の心配はない。だが、たどり着いてびっくり。なんと門が閉ざされている。

 門の前の張り紙を読むと「大改修のため閉館」…というわけでこの日もスケッチは出来なかった。

 さてみなさんは私をがっかりさせた、今回の改修内容をご存知だろうか?単なる雨漏りの改修ではない。なんと外観までも一新してしまったのだ。いや「一新」と言う言葉には御幣があるかもしれない。

 私が違和感を感じたというあのコンピューター映像と同じ「朱塗り」に「戻った」のだ。朱塗りの鳳凰堂はまだこの目で見ていない。いずれスケッチしてこのブログで報告したい。お楽しみに。

P.S.
■平等院の「和様」とは全く異なる風変わりな寺院がすぐ近くにある。黄檗山萬福寺である。文化の違いを身近に感じられるはずだ。平等院の帰りに是非立ち寄ることをおすすめする(「京の寺院を描く…黄檗山萬福寺→」を参照)。

■その他美術に関する基礎知識は「ためになる美術講座→」を参照してほしい。

SNSでもご購読できます。

コメント

コメントを残す

*

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください