気になる美術イベント・・・六甲ミーツ・アート2019

 このイベントは2010年から毎年、秋に行なわれている。名前の通り、現代アートを六甲山の自然の中で展示することにより、人の出会いを生み出そうという試みだ。
 神戸市は近年人口減が著しい。インバウンドによる観光客も大阪や京都に比べれば寂しい状況だ。地元神戸住民として、また同じアートに携わる人間としては大いに気になるイベントである。
 実はこのイベントに参加するのは今年が初めて。私自身のリサーチ不足もあって今回、十分に堪能したとは言えないが、来年参加する方へのアドバイスも含めて「個人的」な感想を報告しよう。

 まず作家について。招待作家と応募作家がある。入賞作品にはそれなりの賞金があるが、単に参加が認められた段階では制作実費くらいしか出ないようだ。新人作家はコスト的には辛いかもしれない。
 主催は六甲山観光株式会社、阪神電気鉄道株式会社で特に神戸市の補助はなさそうだ。
 アーチストは42人。展示場所はほとんどが屋外。六甲山頂の低温、多雨多湿、強紫外線、強風に2ヶ月間さらされる。作品にかなりの強度、耐久性が要求されそうだ。
 賞の審査員の一人は建築家の三分一博志氏。直島のプロジェクトが有名で、今回ライトアップされている六甲枝垂れも彼の作品だ。
 鑑賞の注意点はは昼間しか見られないものと夜しか見られないものがあること。したがって、六甲山頂に泊まりがけで行く人、ほんとに近くに住んでいる人でない限り、1日で全作品を見ることは困難だ。また17:00以降は閉鎖される場所もあるので、夜景を見るついでにと思った作品が見られないということもある。施設、展示作品の公開時間を調べて計画を練ることが大事だ。
 期間中の任意の2日間にわたり、どの施設にも入場できるお得なチケットがあるのでそれを買うのがいいだろう。
さて私が気に入った作品を独断と偏見で紹介する。

■建築家・吉田甫とプロダクトデザイナー・三上嘉啓による
アートプロジェクト

 地面に真っ赤な菱形の穴が空いている。ポイントは穴に付けられた階段だ。階段があると人は降りたくなる。この穴に人の後ろ姿が重なると、不思議の国への入り口に見える。作者の構想力トアイデアに敬服した。

■藤本由紀夫氏の作品(写真なし・・この作品の良さは写真で語れない)

 森の静寂。椅子がある。ごく普通のデザインだ。「これがアート?」と思って近づき、座ると鼓膜に不思議な旋律が鳴り始める。耳を澄ますと徐々に音源が動いてゆく。大自然に負けない視覚的表現を期待してきた、「観客」の裏をかく仕掛け。センサー技術、音響技術がないとこのアートは成り立たない。作者のアーティスティックな技術に感動だ。

 しかし、改めて、極めて個人的な感想と断っておくが全体的に見れば、作品の出来栄えにはやや失望した。つまり六甲の大自然に対峙して存在感をアピールするような作品は見当たらなかった。
 やはり大きさ、素材、形態どこかに無理がある。要求される仮設的な性格も影響するのだろう。面白い、不思議、という感覚を覚える前に不自然さを感じてしまう。一時建築界に影響を与えた「アースワーク」のような感動を期待したが残念だ。
 ホームページを見ても「現在修理中」の作品がいくつかある。要求される強度や耐久性を考慮した予算、展示方法の検討が必要な気がする。

それでも、見たところ、人出は多く、人気も上々のようだ。地元の住民として、来年以降さらに、盛り上がることを期待したい。

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