水彩で描くみちのくの風景 杉木立の参道

 このブログのトップページに書いたように、美しい日本の風景を描くのは私の絵描きとしてのライフワークのようなものだが、住んでいるのが関西なので、東北地方はどうしても足が遠のく。

 そんな中で宮城県の仙台市近郊は唯一、私が二度訪れることができた場所である。今回はそのみちのくのスケッチ旅を紹介しよう。ただしいずれも純粋に絵を描く旅ではなかったので、取材はやや中途半端であることをお断りしておく。
 紹介する場所は仙台市のいわゆる観光名所と有名な日本三景の松島、そしてちょっと変わった美術館「菅野美術館」の3箇所だ。

 まずは仙台市内。まずは仙台駅からバスで伊達政宗が青葉山の上に築いた仙台城址に行く。仙台のほとんどの観光パンフラットの表紙にある「伊達政宗騎馬像」のある場所だ。そして城の麓を流れる広瀬川沿いを歩く。歴史ある城下町なので歴史ある町並みも多いに違いないのと期待していた。
 しかし残念ながら仙台市は終戦直前に大空襲により市内のほとんどの歴史遺産は破壊されてしまったそうだ。だから、町の中心部はもちろん、青葉山の風景も広瀬川の風景も、城跡も全て戦後の復興後の風景である。もはやここには「日本の風景」は無いと言っていいだろう。残念ながらスケッチブックを開くことはなかった。

 一方で現代建築は見所が多い。「仙台メディアテーク」はその代表だ。設計者の伊東豊雄の狙い通りに、市民に寄り添うコミュニティーセンターとして、機能している。あまりに有名な施設なのでこれ以上の説明は割愛する。興味ある人はホームページなどを見てほしい。
 ここではもう一つユニークな現代建築を紹介する。それは「菅野美術館」。仙台駅から30分程度、東北本線塩釜駅から徒歩10分程度で行ける。

ご覧のようにまず外観がユニークだ。茶色の四角い箱がポツンと建っている。構造もユニークで、建物は外壁の厚い鉄板を折り曲げて出来ているらしい。だから内部には柱も梁も見当たらない。いや1階、2階・・・を区切る床らしきものさえ見当たらない。展示物が高さを変え、角度を変え次から次へと現れる、不思議な空間だ。美術館好きの人は是非行ってみることをお勧めする。

 そして最後は松島。仙台駅から仙石線で約40分。「松島海岸駅」駅で降りれば見所は全て歩いて行ける。
 まずは芭蕉が絶賛したと言われる海岸の風景へ・・・。本来は絶景なのだろう。だが、私の訪れた日は生憎の雨模様。空はどんよりと鉛色で海も灰色だ。美しいはずの島々の緑もご覧のようにのっぺらとした深い緑色の塊にしか見えない。
 それでもせっかくだからと実は一枚だけスケッチした。色も形も見たままに。しかしやはり実物に感動しなくて、いい絵が描けるはずもない。今見てもまったく面白くない。皆さんにお見せするのはやめておく。

 松島には国宝の寺がある。「瑞巌寺」だ。敷地内の主要な建物は伊達政宗が建てたという。特に庫裡は屋根の上の煙出しが外観のアクセントになっており、歴史的価値もさることながらデザイン的にも素晴らしいと感じた。隣接する円通院も庭園が素晴らしい。
 しかし、おそらく関西の人、特に京都や奈良の国宝や世界遺産の寺院を見慣れている人には、寺院そのものにはそれ以上の驚きは特にないだろう。


 私が一番感動したのは国宝の庫裡よりも海辺から瑞巌寺に続く参道の杉並木だ。その木はご覧のように、いずれも天にも届く巨木ばかり。この寺が歴史ある古刹であることは国宝の数よりもこの杉並木が証明していると言って良い。

 冒頭の水彩画は2008年の7月、私が初めてここを訪れ、その時描いたスケッチだ。
 そして2014年10月に2度めにここを訪れた時、この風景がもはやないことを知った。そう、2011年、東日本大震災の津波がこの杉並木を襲ったのだ。
 折れた木ももちろん多いのだが、海水による塩害でその後も枯損が進行しているという。再生を目指す運動があると聞く。その成功と一刻も早い杉並木の復活を祈りたい。

P.S.
今回は絵の解説は特にしていないが、私の風景画の制作方法について興味ある方は 「ペンと水彩で描く風景画の魅力とは」(詳細はこちら→)を参考にしてほしい。
P.P.S.
これからスケッチ旅に出かけようとしている人は、私が風景画を描いた旅先のリストをここを描きたい日本の風景!(詳細はこちら→)」にまとめているので参考にしてほしい。

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