日曜画家の町・・・神戸を歩く

神戸の魅力は異人館だけじゃない?!

 「ハイカラ」で「モダン」な町と言われる神戸。最近は京都と大阪にインバウンドの観光客を奪われ、人口も急激に減りつつあると言う。神戸に住む私としては寂しい限りだが、日曜日になるとスケッチブックをもってうろつく日曜画家がたくさんいる。そんな人のためにスケッチすべき建物と風景をいくつか紹介しよう。
 観光客に人気があるのは「重要伝統的建造物群保存地区」である北野の「異人館通り」が有名だが、それについては別の機会に譲るとして、今回は神戸の「近代建築」をスケッチすべく取り上げよう。

近代建築って何?

 建築にあまり詳しくない人のためにまず「近代建築」を説明をしておこう。 近代建築とは基本的には「古建築」と「現代建築」に対する分類だ。時代的には明治から、戦前に建てられた、西洋風建築と言っていいだろう。 シンプルに3つに分けてみる。

①日本近代建築創世記の作品・・・外国人建築家またはその直弟子が設計した西洋古典様式の建築

 具体的には19世紀のヨーロッパ建築であるネオロマネスクやネオバロックと呼ばれる古典様式の建物であり、主に官庁や銀行で採用された。
 明治維新による「近代化」そのものであり、その歴史的、政治的必然性から、東京や大阪に数多く建てられた。東京の日本銀行や東京駅はその代表である。

 威厳ある、絵に描くにはもってこいの対象だが、残念ながら神戸にはあまり残っていない。数少ない代表例がこの投稿の最初に載せた兵庫県公館である。JR元町駅から徒歩10分程度。 建物外観も内部も庭を含めた外構もほぼ当時のままのデザインが残っている。 是非訪れてスケッチブックを開いて欲しい。
 そのほかには 旧第一銀行神戸支店(現みなと元町駅)、旧三菱銀行神戸支店(旧ファミリア本社)が挙げられる。ただし「みなと元町駅」は今は駅舎となってしまったので、内部は空っぽで張りぼて状態。そして旧ファミリア本社は2019年末に外壁だけが保存された高層マンションになってしまう。この二つとも私はスケッチしているが、残念ながら、ほかの町からわざわざスケッチに来るほどの価値は無くなってしまったと言わざるを得ない。残念だ。

②上記の古典様式をモチーフに日本人設計者が
自由にデザインを深化したもの

 神戸の特徴はちょっといかめしい感じの①の建物よりもの西洋風だけど自由でかっこいい②や次に述べる③の近代建築にある。その理由は多分神戸の立地と生い立ちにある。
 明治の初頭から貿易港として、異国の文化を積極的に受け入れてきたこと、大正から昭和初期にかけては関西の富裕層の粋な文化ゾーンとして発展したことなどが理由だろう。この芸術面の運動は「阪神間モダニズム」とも呼ばれている。

 ②の建物は神戸海岸通り付近に集まっている。最も古い建物は旧居留地15番館。当時のアメリカ領事館であり、異人館風の外観なので正確には日本の近代建築とは言えないかもしれない。ただ「異国情緒」の風景を生み出した貴重な遺産だ。
 この通りに面して、商船三井ビルディングと旧日豪会館があり、今でも現役の事務所ビルとして活躍している。海岸ビルとチャータードビルは商業施設として生まれ変わっている。
 海際を歩けば神戸税関と旧市立生糸検査所が並んでいる。いずれも格調高いデザインだが、洗練された独特な装飾、目新しい曲線と文様など近代的な個性を持っている。どれも建物単体としてはもちろんのこと、町並みとしてスケッチするに最高の素材だ。

③古典様式を否定するゼセッション様式の影響を受けたもの。

この最後のタイプは三宮から東へ、新在家から六甲道にかけての住宅街にある。
 一つは現甲南漬資料館。旧社長邸だ。鉄筋コンクリートで曲線を使用したユニークな外観だが内部は和室、洋室とも当時のデザインが良く保存されており、まさにハイカラな雰囲気たっぷりの建物だ。

 そして最後が御影公会堂。円柱で支えられたまるい頂部が特徴的なモダニズム建築だ。野坂昭如原作、高畑勲監督のアニメ映画「火垂るの墓」の舞台がこの辺りで、まさに映画の画面にこの建物が登場している。
 建物の足元には石屋川が流れ、背景には緑豊かな六甲山が広がる。季節感溢れる風景は休日画家が頻繁に訪れる。
 ここは私のお薦めする隠れた神戸NO.1のスケッチポイントだ。ちなみにグーグル検索に「火垂るの墓」「 御影公会堂」と入力すると私の絵が出てくる。この建物はネット上でも人気が高いようだ。

P.S.
私の描く水彩画について下記に基本的な記事をまとめている。参考にしてほしい。
■ペンと透明水彩を使う本格的な風景画の描き方は「ペンと水彩で描く風景画の魅力とは→」を参照。
■透明水彩の基本を知りたい方は「色塗りの基礎的技法→」を参照。
■建物を描くための透視図法のコツを知りたい方は「鉛筆はいらない!下書きしない風景画の描き方→を参照。
■透明水彩の正しい着彩手順を知りたい方は「何故上達しない?知っておきたい水彩画の正しい着彩手順!→」を参照。
■ペンと透明水彩による風景画の制作プロセスを具体的に知りたい方は「ペンと水彩で描くミラノ大聖堂→」を参照。
スケッチ旅行のノウハウを知りたい方は下記の記事を参考にしてほしい
スケッチ旅行に必要な道具とは
ここを描きたい日本の風景!

P.P.S.
私の水彩画は(加藤美稲作品集→)で一部を公開している。興味のある方は覗いてほしい。

P.P.P.S.
私の絵描き活動全体についてはトップページで紹介しているが、同じ目的で活動してくれる方も募集(現在システム構築中)したいと思っている。興味ある方は参加してほしい。

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