「絵を描くことであなたの人生は充実する!」

■「美緑(みりょく)空間」とは?

 このブログのタイトル「美緑(みりょく)空間」は私の絵描きとしての世界観を表している。

 「美緑」とは生命感のこと、「空間」とは人の存在する場のことだ。 その二つが一緒になった美緑(みりょく)的な空間を描くことが私の創作活動の目的だ。

 ゆえに私の絵には、自然と共にある人や建物は登場するが「人を寄せ付けぬ秘境」は登場しない。誰もが自分の部屋に飾って安らげる、優しい絵を描きたいのだ。

 そして絵は美術館で見るものではない。 自分の身の回りで、いつも目に触れるものでありたい。

 だから出来るだけ多くの人に「アートのある生活を」提供したい。 いずれは世界中の家庭に。

 それが私の夢だ。

■絵描きとは何をする人?

 夢の実現に、何をすべきか。私の絵描き活動を紹介しよう。

異国の情景を求めて旅をする。
 毎年海外へスケッチ旅行に行くことにしている。といっても私の生活にそれほど金銭的余裕があるわけではない。
 ただ、生涯で描きたいと思う場所を、リストアップすると、残りの人生、毎年スケッチに行かないと描ききれないと悟っただけだ。
 だから人生の予算のうちの「海外スケッチ費用」を絶対的なものとしてカウントしている。
 生涯計画のなかで年間20万円程度の旅行費用など、誰でも、きっと何とかなるはずだ。なにしろ朝から晩まで、初めて見る異国の美しい風景を好きなだけスケッチできるのだ。
 これ以上の人生の喜びは無い。(私の体験談はこちら→https://miryoku-yoshine.com/category/journey-world/
 絵の好きな人は自分で、描きたいところをリストアップしてみてほしい。そして生涯のスケッチ計画をしてほしい。
 私と同様、きっとすぐに、来年の飛行機の早割りチケットを予約したくなるはずだ。(海外スケッチ旅の心構えはこちら→https://miryoku-yoshine.com/overseas-sketching-knowledge/

旧き良き日本の風情を求めて旅をする。
 個展の計画をするときは、海外だけでなく、日本の風景もあったほうがいい。
必ずしも見に来てくれるお客様が海外の風景にあこがれているとは限らないからだ。
 私の経験で言えば、日本人なら誰もがあこがれる風景がいい。「ここ、行ったことがある!」とわかるとそれだけでその絵に好感を持ってもらえる。今までに売れた風景画はたいていそのパターンだった。
 日本の旅は年初に一年分の計画をする。行く先は国が選定した「重要伝統的建造物群保存地区」からリストアップしている。現在全国に120箇所ほどあり、私が描いた町はまだ約30箇所に過ぎない。こちらも出来れば生きている間に全て描きたいと思っている。楽しみだ。(私の風景画の描き方に興味のある方はこちら→https://miryoku-yoshine.com/landscape-painting-with-pen-and-watercolor/
 なお私がスケッチした場所と絵描きとしての個人的感想を一覧表(ここを描きたい日本の風景→)にしておいた。これからスケッチ旅行に行こうと思っている人は参考にしてほしい。このリストは現在も作成中で随時更新していくつもりだ。定期的にチェックしてみて欲しい。

魅力的な女性を描く。
 美しい女性を見て感動するのは誰でもできる。だが、その女性の魅力を自分の手で画帳に表現することは絵を描く人にしかできない。そしてこの楽しみは絵を描かない人には永遠にわからないのだ。(私が女性像にこだわる理由はこちら→
 しかし実は人物画を描こうとすると、たちまち直面する問題がある。初めての個展で人物画を出品したとき、友人の最初の質問はほとんど「モデルは誰?」だった。 つまり、風景は自分で好きに対象を選べるが、人物はそうはいかない。相当の「大家(たいか)」と呼ばれる画家でも好みのモデルを探すのに苦労しているそうだ。
 私の解決法は近所の「人物画教室」に通うこと。来ている人が全員でモデル料を分担するので安く済むからだ。もちろん、モデルさんも、服装も、ポーズも自分の望むようにはならない。それでも画力の向上に枚数を描く事は絶対に必要だ。大いに利用させてもらっている。(私の人物画の描き方に興味のある方はこちら→https://miryoku-yoshine.com/how-to-draw-a-portraitpainting/

作品集「美緑(みりょく)空間」

作品集(絵描きとしての活動記録)を執筆、出版する。
 最初の個展のとき私の作品をテーマにした本「美緑(みりょく)空間」を自費出版した。作品制作時の想いを添えている。わかりやすくて面白いとなかなか好評だった。この時は旅の記録が中心であったけれど、今後は多くの人が絵を描きたきくなるような「役立ち記事」を充実するつもりだ。
 そして書籍は個展を開くよりも、より多くの人に美緑(みりょく)空間の世界観を伝えてくれる可能性がある。だからいずれVol.2も発行したいと考えている。

美術館、博物館の作品を観て感性を磨く。
 アートにはインプットが必要だ。
どんな天才芸術家でも作り続けるだけの行為、アウトプットだけを続ければいずれアイデアは枯渇する。そうならないために、インプットつまり美的な刺激が必要だ。
 自分が描くジャンルの絵を見ることだけがインプットではない。敢えて違うジャンルの作品を見ることも多い。(例えばこちら→https://miryoku-yoshine.com/the-wonder-of-the-tea-house/
 刺激は美術館だけではない。歴史的な建造物にも美的感覚は刺激される(例えばこちら→https://miryoku-yoshine.com/ohtu-city-anou/)。

このブログ「美緑(みりょく)空間」で情報発信する。
 私がブログを始めたのは約10年前だ。個展を開く自信も、具体的戦略も無かったころ、なんとなくブログなら自分の感性を発信できるのではないかと考えたのだ。
 だがネットによる情報発信効果は私の予想を超えていた。例えば、最初の個展を開いた当時、訪れる人は私の知り合いばかり。案内状を見て作品を目的に来てくれる人はほとんどいなかった。
 ところが前回の個展は、半数近くがSNSを含めたネット情報をみて来てくれたお客様だった。つまり知り合いだから来たのではなく、絵を見たいから来た人が大半だったのだ。
 ネットを利用した情報発信は今やアーチストに欠くことのできないもうひとつの武器だと思っている。
ちなみに私はSNSでも情報発信している。フェイスブックでは失敗作も含め活動状況を、インスタグラムでは主に海外への発信を意識している。それぞれのURLは以下のとおりだ。
・フェイスブックhttps://www.facebook.com/yoshine.kato
・インスタグラムhttps://www.instagram.com/painter_yoshine

■個展を開くだけで満足してはいられない!?

2度目の個展風景

 幸い、過去3回の個展は好評だった(と思っている)。自分の作品を見てもらい、感想を聞き、見知らぬ人とコミュニケーションが出来る。
 実に楽しい。喜んでもらい、絵が売れれば収入も得られる。金額の多寡ではない。サラリーマンの給料とは一味違う報酬だ。
 でも実は気がついた。このまま個展を繰り返すだけの活動でいいのだろうかと。もちろん私個人はそれなりに楽しく充実した人生だ。
 しかししょせんは私一人の活動。絵が売れればその作品はお客様一人の物になり、「より多くの人に」見てもらうことは出来ない。
 まして「全ての家庭にアートを」提供することなど永久に出来ない。もちろん大作家の作品ならば画商が企画し、バイヤーを世話し、相当の高値で売るという従来の商業的形態はある。
 だが、そんな高値売買の、限られた時間と場所と人脈が支配する世界では、普通の家庭が、いや世界中の家庭で「絵を飾って生活を楽しむ」ことはできないのだ。

■ブログ「美緑(みりょく)空間」を訪れたひとへ

 そこで提案がある。たぶんこのブログを訪問してくれた方は、絵を見るのが好き、あるいは自分でも少し描く、あるいはすでに相当描けるセミプロの人だろう。
 絵を見るのが好きな人はまず自分で描いてみてほしい。少し描ける人は、画力をつけて、リビングに飾ってもらえるレベルになってほしい。セミプロの人は、個展を開いて作品を少しでも多くの人に見せて、感動させてほしい。
よく考えれば「全ての家庭にアートのある生活を」提供するのは私だけである必要はない。
 感動させる人が多ければ多いほどいいのだ。

■アートギャラリー「美緑(みりょく)空間」のメンバー募集

 先の提案は、言い換えれば、私の個人的活動目標を皆さんに押し付けるというものだ。
 なんて身勝手な。
 そこで考えた。ネットの持つ情報発信力の可能性は先に述べたとおり。この際このブログを利用して私のような絵描き活動をしてくれる仲間を集めたい。
 名前は絵を描いて見せる場なのでとりあえず「美緑(みりょく)空間アートギャラリー」とし、そのメンバーを募集したいと思う。
 入会資格は絵が好きなこと。それだけだ。当然会費は無料だ。自分で絵を描き、いずれは絵描きとして活動をするために必要な情報をこのギャラリーメンバーで共有したい。具体的な内容はメンバーになってから・・・。

メール配信その他のシステムは現在構築中だ。もうしばらく待ってほしい。

P.S.
 私のブログには以下の6つのカテゴリがある。
スケッチの旅 日本編
スケッチの旅 海外編
絵画上達法
絵描きとして生きるには
ためになる美術講座
加藤美稲Painter_Yoshineはどんな人?
加藤美稲Painter_Yoshine 作品集水彩画
 どれも絵を描こうと思う人にとって有用な記事だと自負している。しかし残念ながら私の経験または意見を一方的に発信するだけのものだ。

また仮に来訪者とメールアドレス交換をして個別に意見交換するとしたら、必ずしも私の考えに賛同しない、不特定多数の人に対応しなければならない。
 これでは、相当の手間がかかり本来の活動目的とずれてしまう。だからこのブログとは別に、世界観を同じくする特定の仲間とサークル的な活動をする場を設けたいと思ったのだ。
 ギャラリーメンバーは最低限自分で絵を描き、上達し、人に見せて、喜んでもらうことを目指してもらいたい。もちろん私の知識と技術の提供は惜しまない。しかし単なる画力向上が目的ならばそのための出版物はいくらでもある。ここではむしろメンバーとのコミュニケーションを大切にしたいと考えている。
 私の作品の制作プロセスやそれについての個別の質問を受けようと思う。これから絵を描くという人には大いに参考になるはずだ。すでに画力のある人は、作品を見せてもらい、メンバー間でのテクニック自慢をしてもらってもいいだろう。
 メンバー全体の実力が上がってくれば、ネット上で展示会を開くのもよい。いずれは(適正価格で)売れる仕組みも作り、世界中に広がれば「美緑(みりょく)空間」の本来の夢の実現に近づくことになる。どんなメンバーが集まるかもわからないので、 具体的な方法は未定だが、メンバーが集まれば意見交換して構築してゆく予定だ。

水彩画上達のための「気になるテクニック」とは?

 水彩画を描き始めた人へ。あなたは上達するために何をしているだろうか?
 「基礎は学んだので、ひたすら枚数を描く。あとは実践あるのみ。」という方は要注意だ。

 失敗から学ぶことはとても大切だと思うが、今の世の中は情報が溢れている。自分に必要な効果的なテクニックを重点的に学べば、それだけ早く上達することは間違いない。

 今回はそんな人のために「上達のための気になるテクニック」について考えよう。

目次

1.水彩画の基礎を再確認しておこう

2.今の自分にないテクニックを探そう

3.事例1:水を引かないファーストウォッシュとリフティング

4.事例2:ウォッシュ直後の垂らし込み

5.事例3:塩を振る

6.まとめ

■水彩画の基礎を再確認しておこう

 このブログでは水彩画の初心者のために以下の記事を描いている。文中に多くの水彩画特有の専門用語が出てくる。まだ理解していない人は必要に応じて読んでほしい。

・道具については「水彩画入門!これだけ揃えれば十分?→
・色塗りの基本テクニックは「水彩画入門 色塗りの基礎技法を覚えよう!→
・人物画の描き方については「素描をデッサンだけで終わらせない!私の人物画作法とは→
・風景画の描き方については「ペンと水彩で描く風景画の魅力とは→

■今の自分にないテクニックを探そう。
 上達のためには二つの方法がある。一つは今の自分の得意のテクニックを磨くこと。

 そのための具体的方法は自分の作品の制作過程を写真にとっておくことだ。自分の作品出来、良し悪しの原因がどこにあったのかを発見することだ。(「何故上達しない?知っておきたい水彩画の正しい着彩手順!→」を参照)

 では自分にないテクニックはどうやって発見したらいいのだろうか?

 もちろん好きな作家の本を片っ端から読んでみる・・・確かにいい方法だがもっと手っ取り早い方法がある。

 皆さんご存知のインスタグラムを利用することだ。ハッシュタグで「#水彩画」「#風景画」「#人物画」などと検索すれば世界中の画家の作品が見られる。

 自分が気に入った水彩画の「気になるテクニック」を見つけて真似をしてみればいい。ありがたいことに最近は制作の動画を公開してくれる作家もいるので大いに参考になるはずだ。

 そんなインスタグラムの作品の中に私が気になっているテクニックがいくつかある。真似してみて、うまくいったもの、いかないものとあるが、自分なりの整理の意味で報告しておこう。おそらく皆さんの役にも立つはずだ。

■事例1:水を引かないファーストウォッシュとリフティング

 最初に下塗りをするとき、私は水彩紙の全面に水を引き、水が十分紙に染みこんんでからファーストウォッシュをすることにしている。その方がムラが出ないからだ。
 ただしこの場合は筆を紙に置いた瞬間に絵具が滲んで広がるので、シャープな線は引けない。

 だからファーストウォッシュが完全に乾いてからシャープな線を引いている。薄い色から濃い色へ徐々にウォッシュとドライブラシを重ねる方法だ。

 この方法はウェットとドライの特質に応じた描き方で間違いのない方法だが、欠点はウォッシュの度に乾かす必要があるので制作に時間がかかることだ。

 ところが作家によっては最初に全面に水を引かず、ドライな状態でいきなり筆でウォッシュしているようだ。
 最初の瞬間、紙はドライなので、ある程度シャープな線が出る。塗ったあとは筆に含ませた水分を紙が吸うので、その上に垂らす色は綺麗に滲む。

 言ってみればウェットとドライを一度に使い分けるやり方だ。特に最初の筆先を上方に、水の垂れる方向を下方に、水彩紙を傾けて塗ると、その効果は増す。

 絵具の垂れた部分に本来塗りたくない明るい部分があるときは、素早く絵具をぬぐった綺麗な筆、またはティッシュで絵具をふき取る。

 自分で試してみると確かに手っ取り早い。特に「明るい色に徐々に濃い色を重ねる」のではなく、最初からある程度「濃い絵具を拭き取って」明るい部分を作るプロセスは制作時間を劇的に短縮してくれる。
 とても効率的な方法だと思う。

 ただし、ファーストウォッシュの時に使う筆が水分をたっぷり含んでくれることと、穂先を紙に触れる時の絵具量のコントロールがとても重要だ。

 だから筆は太めでかつ毛はスクワラルまたはコリンスキーがふさわしい。私はレンブラントのオーバル筆2号を使っているが、普通の筆ならば最低10号以上が必要だろう。

 塗る寸前に筆の穂先をティッシュで軽く拭い、絵具の量をコントロールする。これをせずにいきなり塗ると、いかにドライな状態で塗っても筆が触れた瞬間に大量の絵具が一気に広がり、シャープな線は出ない、触れる瞬間のエッジ部分は細い線で、中央に行くに従い、たっぷりと絵具を塗りつける感じで描くのがいいようだ。

■事例2:ウォッシュ直後の垂らし込み

 例えば一面の草原をウォッシュで描き、乾かないうちに陰の緑を垂らしこむ。あるいは人物の肌を塗り、やはり乾かないうちに頬や首筋の赤、目元の青を垂らしこむ。

 私の場合はそれまでは先のウォッシュが完全に乾いてから、改めて陰色をウォッシュでぼかしながら塗っていた。この方法だと後に重ねる色の筆捌きが仕上がりの決め手になる。

 ところがその作家の動画を見る限り、ウォッシュ直後の垂らし込みの色が仕上げまで生きている。特に人物画には効果的なようだ。

 私もそのテクニックにトライしてみた。結果はとてもいいと感じた。

 ただしこのテクニックは水彩紙の水分の見極めが重要だ。「乾かないうちに」とあるのでウォッシュ直後に垂らし込みをすると垂らし込んだ色が薄く広がって下地の色に負けてしまう。

 かと言って乾きすぎた状態で垂らすと、その部分だけに集中して染み込み垂らした色が勝ちすぎる。しかも垂らした絵具の形がハードエッジとして汚く残ってしまう。
 水彩紙の渇き具合を熟知しないと使いこなすのは難しそうだ。

■事例3:塩を振る

 渓流の岩肌の苔、木の幹につく苔、あるいは木の葉の光と影の移ろいなど、筆先で描くのは困難な細かな色や光と影の変化などには地の色をウォッシュした後、塩を撒くと良い。

 これはどの教本にも載っている有名なテクニックであるが、使いこなすのは難しい。
 特に紙の乾燥具合と塩の放置時間の把握がとんでもなく難しい。

 水をたっぷり含んだ紙の上にすぐ塩を振っても、塩が流れるだけで結晶はできない。乾燥しすぎると、水に溶けないのでやはり結晶はできない。

 半乾きで振るのが良いのだが、その後長時間放置しすぎると結晶が大きくなりすぎて、下地の岩や幹よりも大きくなってしまうことがある。

 正直いうとこのテクニック、私はまだ使いこなせていない。自由に使いこなせるようになったらまたみなさんに報告したい。

■まとめ

 「気になるテクニック」はその時の自分の技量または目指す方向によって違うと思う。
 そしてひつマスターすると新たな気になるテクニックが現れるだろう。その繰り返しが上達の証でもある。

 皆さんもぜひ自分なりの「気になるテクニック」を発見してほしい。

水彩画入門 色塗りの基礎技法を覚えよう!

  水彩画を描き始めた人へ。あなたは次の言葉を知っているだろうか?
「平塗り」
「ウォッシュ」
「ウェット オン ウェット」
「バックラン」
「リフティング」
知らない言葉が多いのではなかろうか。いずれも水彩画の「塗り」に関する基礎用語だ。

水彩画は誰もが子供の頃から馴染んだ、扱いやすい画材だ。だからと言って、基礎的な知識もなく、全くの直感だけでいい絵が描けるほど、単純な世界でもない。このブログの目的はトップページに書いたように、他人に喜んでもらえるような絵を描くことだ。そのためにはそれなりに基礎の理論とテクニックが必要だ。

絵具や水彩紙の理論については「絵具の選び方」「絵具の歴史と科学」や「初めに買うべき道具」「水彩紙とは?」の記事を参照してほしい。
 デッサンについてはとりあえず「誰でもできるデッサン練習法」と「顔のデッサン、5つの勘違い!」を読んでほしい。
 今回の取り上げるのは水彩画ならではの「色塗りの基礎技法」だ。特に透明水彩の世界では先に挙げたように、案外専門用語が多く戸惑うこともある。人により定義も若干違うようだが、基礎となる考え方に大差はない。一通り理解しておくと、あなたの制作に役立つだつだろう。

続きを読む

絵描きのための「インプットブック」とは?

 このブログを読んでいる方は絵の好きな人ばかり。毎月、いや毎週のように展覧会に行っているかもしれない。

 そんなあなたに質問だ。展覧会終了後のチケットの半券、あるいは印刷された作品目録などはどうしているだろうか?

 私の場合、とりあえず机の引き出しにしまい、きちんと分類してファイリングしようなどと思っているうちに、日常の書類の出し入れに紛れて、いつに間にか失くしてしまうということが多かった。

水彩画入門!これだけ揃えれば十分?

 今から水彩画を始めようとする人の最大の悩みは多分「道具」だろう。

 このブログではこだわりの道具、お値打ちの道具、買ってはいけない道具などの記事を個別に書いている。今回は改めて水彩画入門編として、目的に応じた必要十分な道具を考えたい。

続きを読む

風景画の下書きはどう描いたらいい?

 皆さんは風景画の下書きをどうやって描いているだろうか?

 水彩画の教本を開いてみると、人物画を描く場合は、いわゆる「デッサン」として細かな説明がされている。
 だが風景画では、実は「下書き」についてあまり触れられておらず、鉛筆の使い方に触れるくらいで、いきなり「塗り方」の解説をしている場合が多い。

 理由はおそらく風景画では人物画ほどデッサンの正確さを必要としない。それよりも色彩豊かな自然の描写、その表現方法に主眼を置いた方がいいということだろう。

続きを読む

デッサン練習中!それでも上達しない理由は?

 デッサンを一生懸命練習してるけど、上達しない。いつも顔が似ていない。何故?そんな経験はないだろうか?

 もちろん似顔絵教室でなければ、「似ている」必要はない。むしろ、「誇張して」いい絵にすればいい。
 あとは顔の基本比率と陰のつけかたの「基本練習」あるのみ・・・講師にそんなことを言われて納得し、再びデッサンの練習に励んでいる・・・。
 そんなあなたへ。

 とても真っ当な指導で王道だと思う。

 でも実は、真摯に、繰り返して練習することが、無意識に上達を阻害することがある。今回はそんなデッサンの上達を阻む要因と対処方法について書きたいと思う。

続きを読む

ペンと水彩で描く風景画の魅力とは

 透明水彩で風景画を上手に描く方法は?

 透明水彩で風景画を描くとき、その技法は大雑把に言って2つある。 下書きの線を生かして水彩するものと、線は最小限、下書きにとどめ、色だけで表現するものだ。
 前者はいわゆる「淡彩スケッチ」と呼ばれ、いろいろな教本を見ると、柔らかい(2Bくらい)鉛筆で下書きし、薄めの透明水彩で色つけをするという方法が主流だ。
 後者は透明水彩独特の重色によるグリザイユ画法(「水彩画にふさわしいグリザイユ画法とは→」を参照)とぼかしや滲みを生かした表現を多用し、鉛筆の線は最後はほとんど消してしまうことを推奨しているようだ。最近の透明水彩を使う画家の作品もほとんどがこちらの方法だ。

続きを読む

水彩画にふさわしいグリザイユ画法とは?

グリザイユ画法で描かれた油絵 「横たわるオダリスク」

 皆さんは「グリザイユ画法」という言葉を聞いたことがあるだろうか?

 水彩画教室、特に初心者用の教室ではあまり教えてくれない。だがこのブログでは頻繁に登場する、水彩画を描くにあたってとても有用な技法なのだ。
 今回はこの「グリザイユ画法」についてまとめてみる。

目次

1.グリザイユ画法とは?

2.油絵におけるグリザイユ画法

3.水彩画におけるグリザイユ画法

 3.1シンプルな水彩グリザイユ画法

 3.2下塗りの効果を活かしたグリザイユ画法 

4.水彩画グリザイユ画法の注意点

 4.1不透明色を塗ってはいけない!

 4.2色を重ねすぎてはいけない?

5.まとめ

■グリザイユ画法とは?

 グリザイユ画法とは一言で言えば、先にグレーの諧調で明暗を表現し、その上にモチーフの固有色を重ねて、明暗と材質感両方を表現する方法である。ただしこの画法を使いこなすにはある程度の知識とコツが必要だ。以下に具体的に述べよう。

■油絵におけるグリザイユ画法

 皆さんが子供の頃使用していた、いわゆるマット水彩(学童用水彩絵具)を使っていた頃のことを思い出してほしい。
 下の色に新しい色を重ねると、下の色は消えてしまう。これを不透明絵具と言う。
 実は古くからあるヨーロッパのテンペラ画も、フレスコ画もガッシュも日本画もこの不透明絵具で描かれた絵画である。

 不透明絵具で描かれた絵の出来は最終的に一番上に塗る色の巧みさに左右されると言っていい。だがその常識を覆し、絵具に「透明」な世界を持ち込んだのが「油絵」である。

 不透明絵具は基本的に顔料を高密度で塗るもの。だから一番上の顔料の色だけが反射して私たちの目に入る。(透明絵具の歴史と科学については「絵具の知識 透明水彩は何故美しい?→」を参照のこと)。

 一方油絵では顔料を油に溶かすことにより、顔料自身の透過光と反射光、油層の透過光、反射光が混ざり合って目に入る。
 つまり下の色の上に新しい色を重ねても下の色が透けて見えるようになったのだ。これを「透明絵具」という。

 グリザイユ画法とはこの油絵の透明な性質を利用した技法である。具体的に説明しよう。
 まず先に白と黒の絵具を混ぜグレーの絵具を作る。正当な技法ではグレーの階調を3種類→5種類と徐々に増やしてゆき、まずモノクロの絵を完全に仕上げる。

 そして絵具が完全に乾いてから上にモチーフの固有色を透明な油絵具で薄く塗ってゆく。何層にも薄い絵具層を重ねることにより、画面に複雑な表情を生み出すことができるのだ。
 冒頭に掲げた私の好きなアングルの「横たわるオダリスク」はその代表例として伝えられている。

■水彩画におけるグリザイユ画法

 私は若い頃ずいぶんこのグリザイユ画法を使って油絵を描いていた。その作品は今や所在不明でお見せすることは出来ないが、この画法が私に一番合っているとそのころから思っていた。

 だから水彩画を描き始めた時も、初心者用水彩画教本にある「薄い色から」あるいは「遠くの色から」塗るという描き方ではなく、グリザイユ画法を使ってで水彩を描いてみようと思ったのだ。

■シンプルな水彩グリザイユ画法

 最初に考えたのは、油絵のグリザイユ画法をそのまま使うことだ。
 つまり水彩紙にいきなり白と黒を混合したグレーを塗っていくやり方だ。

 だが実は水彩の場合はこの方法はよろしくない。なぜかというと、油絵の場合は油と絵具の層を何層でも重ねられるので、いったん暗くなった部分も上に白を塗れば改めて反射面ができる。

 ところが水彩画のグリザイユ画法では明るい部分はあくまで水彩紙の「白」い面で反射した光が明るい面になる。
 いきなりグレー系の色を塗ると、その下の白い反射面を消してしまうことになるのだ。

 だから透明水彩の場合は、白と黒の顔料量を調節したグレーではなく、水分の多少つまり顔料の濃度を調整して明暗を出すのが良いようだ。

 この方法を使うと明るい部分は顔料密度が薄いため、下地の白が反射され、水彩画らしい瑞々しさを保つことができる。さらに特定の色相の濃淡でグリザイユを施すと、上に色を重ねた時、混色による色よりも色相の範囲が広がり、表現がより豊かになるというメリットがある。(詳細は「絵具の知識 透明水彩は何故美しい?→」を参照してほしい)

  私の場合はプルシャンブルーでグリザイユの明暗を表現することが多い。またインテリアを描くときにはセピアの濃淡を使用したこともある。

 油絵の作品の色調はグリザイユの上に重ねる透明色の重ね方で決まる。ところが透明水彩の場合は、グリザイユに何色を使うかで絵の色調が決まってしまう。この基本色の選択が作家によってかなり違うのもこの辺りに理由がありそうだ。
 では「水彩シンプルグリザイユ画法」の具体的なプロセスを説明しよう。

 上図はペン描きが終わった状態。モチーフは有名なスペイン、グラナダの「アルハンブラ宮殿」だ。ペンはいつものようにサインペン。水彩紙はラングトンF6号だ。
 なお、今回のメインテーマではないので割愛するが、透視図法を使って簡単に建物を描く方法については「鉛筆はいらない!下書きしない風景画の描き方→」を参照してほしい。

 ②図はプルシャンブルーの濃淡で画面全体にグリザイユを施した状態だ。山の頂部分が薄いグリーンに見えるのは、山の色を意識してグリーンを塗ったたわけではない。
 山頂を覆う真っ白な雪を強調したかったので、マスキングインクで紙面を保護したからだ。
(詳細は「マスキングインクって何?→」を参照してほしい。)

 上が完成図だ。プルシャンブルー一色で描いた明暗の上に、樹種の違いによる色、建物などの固有色を重ねている。

 特別に「影の色」を混色によって作らなくても、下地のグリザイユによる明暗が固有色と重なって優しく、自然な陰影表現ができることがわかるだろう。

 そして最後にマスキングインクを剥がすと、純白の雪が表現できるというわけだ。

■下塗りの効果を活かしたグリザイユ画法

 先に述べた「シンプルグリザイユ画法」では基本的に「ウェット オン ドライ」という画法、つまり乾いた紙面に筆で濃淡を描いた。だから水彩画独特のにじみやグラデーションを使うことができない。林の緑も筆先のぼかしによるものだ。

 そこで最近の私は上述のシンプルなグリザイユ画法に、水彩画の特質を活かすちょっとした改良を加えている。それはグリザイユを施す前に絵の狙いに合わせた色調のグラデーションを施しておくことだ。

 上の絵はグリザイユに先行して、下塗りとして3つのゾーンにグラデーションを施し、その後にグリザイユを施した段階である。

 具体的にプロセスを説明しよう。

 まず空のゾーン。朝の光に反射する水面と空のグラデーションである。
 使用した色はインディアンイエロー、トランスルーセントオレンジ、コバルトターコイズ、コバルトブルーである。

 次に明るい空と対照的に陰の塊となる右側の建物のゾーン。
 使用した色はウィンザーバイオレットとプルシャンブルー。やはりグラデーションを施して塗っている。

 そして残る地面や明るい建物のゾーン。
 使用色はインディアンイエローとウィンザーレッドである。

 この段階では細かなパーツの色調の差は意識していない。いずれのゾーンも水をたっぷり使い、にじみやぼかしの効果を最大限に利用したウェット オン ウェットで描いている。

 そして完全に下塗りが乾いてから、軒下や植え込みの影をプルシャンブルーとウィンザーバイオレットの混色でグリザイユを施している。

 明暗を表現するのに「シンプルグリザイユ画法」用いたプルシャンブルーを単独で使用せず、バイオレットを混ぜたのは。この絵では「陰」の部分に「青」をあまり感じさせたくなかったからだ。

 バイオレットを加えているので、軒の部分はより無彩色に近い陰になっているのがわかるだろう。
 先のシンプルグリザイユ画法よりも水彩画らしいグリザイユ表現ができていることがお分かりだろう。

 次に、この上に固有色を置いてゆく。民家の外壁にはローシェンナー、植え込み部分にサップグリーンを薄く塗り、全体の調子を確認している。
 重ねた色数はごくわずかであるにもかかわらず、下塗りにグリザイユを施してあるので、色数以上の複雑な表現になっていることがわかるだろう。

 この絵の大半はこの段階で完成しているのだが、建物の表現はもう少し手を入れる必要がある。

 空や海のような自然の造形と違って、建物にはシャープな線がある。その線を境に明暗や色相の違いを描き分ける必要があるのだ。

 そのためには再びウェット オン ドライでエッジを表現し、さらにそれを柔らかくぼかすために、部分的にウェット オン ウェットで描き加える・・・。あるいはドライブラシで濃い色を強調する。これを何度も繰り返すことになる。

 何度も水を引き、ウェット状態を作ると、先に影を入れた濃い色がだんだん薄くなる。そんな時は全体のバランスを見ながら、さらに陰を濃くする。
 こうして完成したのが下の絵である。

■水彩画グリザイユ画法の注意点

 ここまで水彩画におけるグリザイユ画法のプロセスを説明してきたが、油絵にはない注意すべき点がある。

■不透明色を塗ってはいけない!

 グリザイユの下塗りが終了したら、上に塗る色は透明色とすること。せっかく明暗の調子を整えたのに、その上に不透明色を重ねるとその明暗を台無しにしてしまう。

 油絵ならば、部分的にグレーを重ねさらに透明色を重ねるという方法もあるが、透明水彩ではほぼ修正は不可能と考えていい。絵具の選択は慎重にすべきである。

 例えば先の絵で私が建物の基本色として重ねた「ローシェンナー」は透明色であるが、同じ茶色でも「セピア」や「インディアンレッド」は不透明なので、使ってはいけない。

 尤も、下地の色の彩度が強すぎると感じた時は部分的に敢えて不透明色を使うということはある。(水彩絵具の透明度については「水彩画の基本!知っておきたいグリザイユ画法と絵具の透明度→」を参照してほしい)

■色を重ねすぎてはいけない?

 透明水彩の場合は、たとえ透明色であっても、何層も重ねると顔料の密度が濃くなり、紙の白が完全に隠れてしまう。
その瞬間から画面の彩度が極端に落ち、いわゆる「濁った」絵になってしまう。
 言い換えると、「その瞬間」を見極めた時がその絵の完成ともいえる。

■まとめ

 水彩画をある程度学んだ人はぜひこの「グリザイユ画法」にチャレンジしてほしい。
 ただし文中に使用した「ウォッシュ」、「ウェット オン ウェット」など聞き慣れない用語、あるいは透明色、不透明色の科学的な理解など基礎知識を知っておくと、より理解が深まると思う。このブログでは関連する記事をいくつか書いている。
 文中に貼ったリンクはもちろん下記のリンクも是非参照してほしい。

透明水彩の用語と基礎知識→

ペンと水彩による風景画の描き方→

水彩画によるミラノ大聖堂の描き方→

絵具の選び方→

絵具とパレットの使い方については→

透明水彩で描く人物画 デッサン編!

この鉛筆デッサンの目的は何だかわかるだろうか?

 「人物画の基礎練習!」と思った人は不正解。私は単なる練習のために安くはない水彩紙に時間をかけて描かない。

 「似顔絵!」ちがう。そんなに似せるための誇張はしていない。

 「鉛筆画の作品!」と思った人も不正解。鉛筆画を生業とするアーチストの作品をみてほしい。おそらくはこの鉛筆画よりももっと強弱が強く、濃いところはほとんど真っ黒であろう。

 正解は「水彩画の下塗り」だ。私の人物画の作法は上図のように鉛筆でグレーの色調を整え、その上に透明水彩を塗るというものだ。以前、鉛筆の線だけで仕上げた絵とその上に透明水彩絵具を施した絵を比較して大まかな制作プロセスを紹介した。(「素描をデッサンだけで終わらせない!私の人物画作法とは→」を参照)

続きを読む