水彩で描く風景画 播磨の小京都

 数年前のこと。今年のスケッチ旅はどこに行こうかと考えていた時、ふと書棚にある一冊の本が目に留まった。「関西日帰り旅」とある。懐かしい。社会人になりたての頃、初めて住む関西に少しでも早く馴染もうと買い求めたものだ。
 今はインターネットで探すので、この本を見なくなって久しかった。パラパラとめくると、何やら印がついている。

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水彩画入門!作品を効率的に保存するには?

 絵を本格的に描きだしたあなたへ。当然だが、作品が溜まってくる。最初はスケッチブックごと適当に保存していてもいい。私もそうだった。しかし数年たってみると、いい加減に保存していると紙質によっては黄ばんでくるものもある。(水彩紙の基本的な説明はこちら→)。私の経験でいうと、しわや折り目のついたものまであった。
 これでは絵描きとは言えない。自分の作品を少しでも世の多くの人に見てもらうために、原画の保存はもちろんのこと、SNSやブログへの投稿、個展でのプレゼンテーション事情を考えると、作品のデジタル保存も重要だ。
 そんなわけで、今回のテーマは「作品の保存」だ。今私が最善と思っている作品保存法について書こうと思う。

■完成した作品の原画の保存

 油絵の保存ならばとても場所を取る。キャンバスフレームに厚みがありかさばるからだ。実は若い頃描いた油絵は現在、私の手もとに一枚もない。若い時の住宅事情では保存ができなかったからだ。
 だが幸い水彩画は紙の厚さのみ。基本的には油絵ほど苦労することはない。私は大半を市販の書類用クリアファイルに入れている。これができるのは、以前にも勧めたように私は作品のサイズをF0、SM(サムホール)、F6の3種類に統一しているからだ。(その理由はこちら→)
 だからF0サイズはA5サイズ、SM(サムホール)サイズはA4サイズの百円均一店で売っているクリアファイルに余裕をもって、かつ無駄なく収まっている。一覧性も良い。本棚に並べている限り紫外線やほこりにさらされることもない。
 ただ付け加えるならば、最初はブログを書く時に思い出しやすいように、描いた制作順にファイリングしていたが、個展の準備、SNSで発信するためのスキャニングなどで結構出し入れが多く、通しナンバーをつけない限り管理できないことがわかった。
 だから最近は、海外の風景と日本の風景、および次回個展用などアクティブな作品と大まかに3種類に分けてファイリングしている。

 F6サイズの原画は、残念ながら安価なクリアファイルが無い。手に入りやすいのはA3サイズのファイルだが、短辺方向がやや長い。B3サイズはちょっとかさばる。それに普通の家庭の本棚では大きすぎて収まりが悪い。
 そこで私は、まずB3サイズの透明な袋に6号の作品を一枚づつ入れ、周囲をを折り込んでおく。そしてそのまま、引き出しラックに重ねて入れている。クリアファイルに比べれば一覧性に劣るが、上から作品が見られるので、必要な時に取り出しやすい。そして引き出しごとに、人物画、日本の風景、海外の風景などに分類して収納している。

 ただし実は今悩んでいるのはそれら以外のサイズだ。私はトップページに書いたように、より多くの家庭のリビングに飾ってもらえるような絵を描いてゆくつもりなので、大作はあまり描かない。
 描いても枚数は少ないので丸めて保存しておけばいいと思っている。問題は最近人物画をF8で描くことが多くなってきたことだ。半身とある程度の表情を描き込もうと思うとF6では表現しきれなくなってきたからだ。F8の大きさは452mm×379mm。
 本来ならF6を入れている引き出しに入ればいいのだが、通常の引き出しラックの奥行きは外寸が400。つまり内寸はF8サイズの短辺よりも小さくなってしまい、F8は入らない。
 やむを得ないので、今は本棚の一角をF8専用に大きく開け、特殊サイズの薄いクリアファイルに入れている。収納量があまりないのでいずれ別な方法を考えるつもりである。

■作品のデータ保存について

 作品をブログ、SNSへ掲載したり、個展の案内ポスターや招待状、パンフレットを制作するときなど、今は作品の画像データは必須である。きちんとデジタル化し、保存しておきたい。
 ただし使用目的に用途によってデータの解像度や機材を使い分けないと、余計な手間とコストがかかってしまう。IT関連の操作に不慣れな人のために簡単なコツを教えておこう。

 まずSNSに絵描き活動をアップする場合は、製作途中の画像なども使用するので、高精緻なデータは不要だ。それよりもスピードが大事だろう。私はそんな時はiPhone又はiPadのカメラで撮影している。その際、画像の歪みを簡単に修正してくれる「genius  scan」というソフトは必須だ。いちいちデスクトップパソコンで修正したくないだろうからだ。iPhone、iPadからソフトを通して撮影し、機器にあるデフォルトの写真アプリに移動して保存できる。

 ただし最近の iPhoneは解像度が高いので実はSNSにアップするにはもう少しサイズをダウンした方がいい。72dpi、800×600ピクセル程度が適切だ。
 そしてiPhone、iPadに溜まった写真データを一括してサイズダウンするには「magic  resize」というアプリがいい。変換後、原画を削除するかどうか、原画を保存しサイズダウンしたファイルだけを別のフォルダに保存するかといった細かなオプション選択ができる。
 一方ポスターや葉書など印刷用のデータは350から400dpiの高い解像度が要求されるのでa4サイズまでは私の部屋のフラットベッド型スキャナーを使っている。そして念のためtifファイルとjpgファイルの両方で保存している。

 悩ましいのはやはりF6サイズの作品だ。A3サイズまでは外注してもそれほど高くないのだが、先程述べたようにF6は短辺方向がA3からややはみ出る。全画面をスキャンしようとすると、高価な大型スキャナーが必要になるらしく、外注値段が極端に跳ね上がるのだ。

 従って今のところ私はパンフレットや葉書の作成など、自分で妥協できる程度にトリミングしてデータ化している。
 だが今後は、作品の販売は原画ではなく、ジークレー版画印刷を中心にしようと思っている。そうなると、データは作品そのものなのでトリミングはできない。またデータ化する業者と印刷業者を分離すると作品の再現性に問題が出る。
 従ってコストは相当かかるが作品の撮影からジークレー印刷までを一括で発注し、データを受領、保存という方法にしようと思っている。

 私の画家活動の究極の目標はトップページに書いた通り「すべての家庭にアートある生活を提供する」ことだ。だから多少手間とコストはかかっても、作品を気に入ってもらった人に人でも作品が提供できる、このデータ保存方法が最良だと感じている。

世界遺産興福寺と東大寺を描く

 奈良には世界遺産「古都奈良の文化財」として、以下の8つの文化遺産が含まれる。東大寺、興福寺、春日大社、春日山原始林、元興寺、薬師寺、唐招提寺、平城京跡である。私の絵描き活動の「古き良き日本の風景」を描くにはとても都合の良い街なのだ。

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金沢・・・その本当の魅力とは

 「懐かしき日本の風景」を求めて能登半島の輪島市(詳細記事はこちら→)~金沢市を旅した。石川県には重要伝統的建造物群保存地区が5箇所もあり、スケッチの効率がいいのだ。そのうち金沢市の3ヶ所の魅力をまとめてお伝えしよう。

主計町茶屋街

 まず主計町(かずえまち)。江戸時代から続く茶屋街だが重要伝統的建造物群保存地区の面積はわずか0.6ha。全国118箇所の中で最小だ。通りを端から端まで歩いてもほんの5分ほど。建物も明治から昭和にかけて作られたもので特に様式的にすばらしいとは思えない。一体どこに魅力があるのだろう?

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創作を刺激する絵描きのための読書法

 絵描きに限らず、すべてのアーチストには創作のための新たなインプットが必要だとトップページに書いた。このブログの「ためになる美術講座」ではいくつかの美術館、博物館での展示から受けた刺激を私自身のインプットとした実例を記事にしている。
 だが、実をいうとそんなにしょっちゅう美術館巡りをするわけにはいかない。それはこの「美緑空間」を読んでくれている、水彩画を愛する皆さんも同様だろう。
ならば、どこから、いつ刺激を獲るか?

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北前船の町で見たものは

能登半島をひたすら北へ

 五月。風は涼しく、陽光も心地よい・・・休日はゆっくり家で・・・などとは言っていられない。もうすぐ梅雨、スケッチが出来なくなる季節なのだ。その前に少しでもスケッチをというわけで能登半島をひたすら北へ、石川県輪島市門前町「黒島」に向かった。ここは「重要伝統的建造物群保存地区」に平成21年選定されている。江戸時代、北前船の船主が住んだ町として栄えた。今回の目的はこの有名な海辺にある江戸の町並みをスケッチすることだ。

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絵描きのための生涯資金計画

 私の絵描きとしての活動はトップページで書いているとおりだが、海外スケッチ旅も、個展開催も、本の出版も当然ながらそれなりに費用が必要だ。
 しかし私は本格的な絵描きとしての活動は初めて間もない。当然そちらからの収入はまだ少ない。でも、「世界中の家庭にアートのある生活を」という私の理想に邁進するには、活動をやめるわけにはいかない。ならば資金を何とかしなければならない。
 というわけで今回は資金の話をしようと思う。ただし当然だがお金の話、資金計画なるものは、個人の状況によってその計画に個人差が出る。
 まして私は建築の知識と絵の知識はそれなりに持っているが、ファイナンシャルプランナーでも、金融マンでもない。
 だから私が今まで勉強した知識、参考図書、その概略と私見などを述べることにする。絵描きとしての将来の資金計画に不安のある方の参考になれば幸いである。

 まず私自身の資金に関する前提条件を述べておこう。私は「今から絵描きを目指す人のために」で記したように、会社の定年と同時にいわゆる熟年離婚をした。
 従って、その時までにの貯金も、退職金も前妻と折半にした。それだけならいいが、当然住む家も別々に必要なので、もう一軒マンションを購入し、新たなローンを抱えた。
 さらに前妻は専業主婦だったので私が将来もらえる年金も半額近くに減らされてしまった。つまり、将来の資金計画を真剣に考えないと、絵描きになるどころではなかったのだ。
こんな状況で私が学んだことがいくつかある。私と同じように将来の資金計画に不安を抱える人のために、それを順に述べよう。

■現状の収入と支出を把握しよう。
月の収支を集計し年単位でいくらの赤字、黒字かを把握しよう。

■現状の資産と借金を把握しよう。
資産とは貯金、株、不動産などをいう。借金は住宅ローン、カードローンなど。

両者を比較すると4パターンのタイプに分かれるはずだ。あなたは以下のどのパターンに当てはまるだろうか。
①年単位の収支が赤字となり、資産は借金の方が多い人。
②年単位の収支が赤字となり、でも借金よりは資産が多い人。
③借金の方が資産より多いが、年単位の収支は黒字の人。
④借金はあるが資産の方がそれを上回っており、年単位の収支は黒字になる人。

それぞれのパターンでどうすべきだろうか考えよう。
①のパターンの人
 この方は残念ながら、将来資金計画を論ずる段階に至ってない。まず、収入を増やす、生活を切り詰めることをして、最低限年単位で黒字にすることをすぐにでも実行すべきだろう。
②のパターンの人
 親から遺産をもらって、暮らす人はこのタイプ。資産がたっぷり有れば実はこの方が理想の絵描きかもしれない。資金計画も単純なので、ここでの議論から割愛する。
③④のパターンの人
 ③は40歳過ぎの標準サラリーマン、④は定年前のサラリーマンの家庭が典型的なパターンだろう。そして私自身も若い頃は③、定年前は④だった。だから私の例で対策例を述べよう。

 実は私は40歳の頃から、将来の資金計画をずっと立てて来た。毎年年初に、昨年の年間収入、年間支出、資産、借金を算定し、何歳になったら自分の純資産(資産-借金)がマイナスになってしまうか、わかりやすく言うと生活のための貯金が底をつくかを計算し続けて来た。

 ここで皆さんにアドバイスしたい。
 大切なことはまず現状を把握すること、そして将来の姿を予測することだ。闇雲に不安を抱えるだけでは問題はけっして解決しない。そして一番大切なことはこの将来計画で、長く生きるためだけに、自分のやりたいことの資金をケチらないことだ。

 私の場合、将来にわたって海外スケッチ旅をするとか、個展をするとか、美緑(みりょく)空間の理想実現のための投資費用を見込むとか、最初から何歳の時にいくら、あるいは毎年いくらとエクセルに必要金額を記入してしまう。だからアウトプットは「何をあきらめるか」ではなく「何歳まで生きられるか?」だ。
 40歳頃は将来何があるか分からないので、退職金はあてにせずシミュレーションした。78歳と出た。だがこの頃はいずれ好転するだろうと気にもしなかった。

 55歳を過ぎて子供も就職し、退職金予測、年金予測も正確に投入すると、やっと85歳と出た。ほっとしたのも束の間、離婚後の数値を入れると、何とまたまた78歳までしか生きられないと出た。

 大切なのはこの数字を継続して追いかけることだ。 もちろん人により、貯金も生活のグレードも、夢の実現に必要な金額がちう。 だが毎年の数字を見れば今から何をすべきか、何を変えるべきかを考えることが出来る。
 あなたも是非自分の人生を計算してほしい。計算に当たって私が参考にしたのは以下の本だ。
 ・後藤弘著 「サラリーマンの生涯資金計画」
考え方が素晴らしい。しかしちょっと古い本なので今の経済情勢には合わない。同様の趣旨の本を探した方が良いと思う。
 ・松本晃一著 人生の計算(パソコンで読む究極のライフ・シミュレーション) エクセルの人生シミュレーションシートの作り方を教えてくれる。税制などが今と異なるが、基本は同じだ。私は20年前からずっとこのシートを毎年メンテしてシミュレーションしている。

 夢のための資金は削らないと書いたが、私は日々の生活は徹底して削ろうと思った。新聞や雑誌の「節約術」特集などは時代に合った税制やクレジットカード、各社のポイント付与率などがタイムリーに記されていて、とても参考になった。
 そして要点はスマホのメモファイルにまとめて普段から見られるようにしている。

 年金、保険などについての最新情報及びそれにあわせた節約術は荻原博子著 「年金だけでも暮らせます」に役立つ情報が網羅されている。
 ただしこの著者は政府、銀行など、いわゆる体制側の発言をかなり批判しており、「投資は不要」を強く主張しすぎているので注意が必要だ。

 経済論に基づく投資及び資産運用全般については高橋洋一氏、小林慶一郎氏、三橋貴明氏、藤巻健史、大前研一氏らの著作が最近の経済動向を捉えて、私たちがどうしたらいいか示唆をくれる。彼らは何冊も本を出しているので、出来るだけ新しい著作を読むといいだろう。
 ちなみに私はこれら経済関連の本は自分では買わない。全て図書館で借りる。すぐに情報が古くなるからだ。そしてその時代に応じて彼らの結論も少しずつずれてくる。判断はあなた自身でする必要がある。

 それで、私は結局どうしたか?
 今年の年初の私のシミュレーション結果はいまの夢を追っても「95歳までは生きられそう」だった。理由は簡単に言えば二つある。

 一つは資産が増えたこと。前妻と分けた退職金を貯蓄ではなく投資に向けたせいだ。特に結果的に見ると日本の株式投資を減らし、アメリカ、又は世界への投資銘柄を増やしたことが良かったようだ。やはりこの超低金利の時代、私のように78歳までしか生きられないという結果が出たものはにとって、貯蓄だけに頼っていては、資産は増えないというのは正論だ。
 ただし大半の人は荻原博子氏の言うように政府や銀行に「騙されやすい」ことも事実で、損をした人も多いはずだ。対抗するためにはある程度の経済の勉強、情報収集は必要だ。
 そしてもう一つの理由は再婚したことだろう。経済活動をする二人が一緒に住むと、日常の共有による合理化が出来るし、年金を含む税制の優遇措置が受けられるからだ。

 絵描きは絵さえ描ければ幸せ・・・などとは言うまい。絵は感性が大切。でも人生は理論と計算が大切なのだ。

近江商人を育んだ町とは・・・

 この日訪れたのは滋賀県東近江市五個荘金堂町。1998年に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。私がスケッチした22番目の保存地区の町でもある。
 この町は有名な近江商人発祥の地といわれている。江戸時代の商家豪邸と富農の民家がならぶさまはまさにその文化と歴史を教えてくれる。
 家屋が並ぶ道沿には生活用水として利用されている水路が流れ他の町並みとは一味違う風情を与えている。

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ペンでスケッチ! 旅先の風景 明治神宮 

 デッサン力をつける一番簡単な方法は・・・以前にこのブログの記事で書いたとおり、「自分の日常をアトリエにすること」だ(詳細はこちら→)。
 具体的に小さなクロッキー帳(または安物のスケッチ帳)をいつも持ち歩くことだ。仕事で出張に出かけても、電車の待ち時間をぼーっと過ごすのではなく、目の前にあるものをスケッチすればいい。

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