油絵に熱中した青春時代

 暗黒の(?)高校時代(「人生最初の選択とは→」を参照)と浪人時代を送った人間が、目指す大学に入ったら、どんな日常を送るのか?私の答えは実に簡単。

「好きなことを好きなだけやる」

 特に高校時代出来なかった絵を描こうと 「美術部」に入った。もちろん高校時代から続けていた「剣道部」にも入った。

 歴史や美術や数学が好きだった私にとって「建築」の授業はどれも楽しかった。特に設計製図の授業は面白く、提出直前まで製図室で徹夜することも度々あった。

 昼間は授業、夕方から剣道部、終わってから家庭教師のアルバイト、帰ってきて美術部の部室で100号の油絵を描き、深夜を過ぎると製図室で図面を引き、明け方下宿に戻って寝て、また授業に出る。

 ・・・学問とスポーツと芸術と(時々恋も)まさに青春時代そのものだった。

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人生最初の「選択」とは

私にとって高校時代は暗黒時代だった。

いわゆる旧制一中の受験校だったので、毎日が競争、試験の繰り返し。授業が嫌でたまらない。すっかり劣等生になってしまった私が唯一逃避できたのが部活の剣道だった。 成績もほとんどビリになるまで急降下 これではだめだと、剣道部の活動を控えようと決心したとたん、部員の投票の結果キャプテンに指名されてしまう。
そんな訳で部活もやめられず、

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フランス絵画お勧めの一枚は?

絵画史においてもっともフランスが輝いたのはやはり19世紀だろう。日本では印象派が一番人気だが、

私はバルビゾン派の方が好きだ。

印象派の絵はご存知の通り光の表現が特徴的だが、私にとってはちょっと自然味が強すぎる。もう少し人間味がほしいのだ。だから印象派の少し前の時代19世紀中頃、ミレー、コロー、クールベに代表されるバルビゾン派の絵が好きなのだ。特にコローは古典的なテクニックに支えられながらも、庶民に寄り添った日常的な題材を、落ち着いたグレーの色調で、ロマン溢れる情景に仕上げてくれる。私が学生時代毎日油絵を描いていたころ一番意識していたのもコローだった。今はもっぱら水彩画を描いているが、水彩であんな絵が描けないかといつも思っている。

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北欧デザインを探す?ストックホルムの建築

 「いつ頃から日本にこんなに「北欧デザイン」という言葉が飛び交うようになったのかは知らない。
 だがマリメッコ、ムーミン、アラビア、イッタラ、イケア、サンタクロース・・・など、我が家(妻が買い揃えたものばかりだが・・・)でさえ、北欧デザインのアイテムが相当ある。(マリメッコとアラビア陶器についての展示会の報告はこちら→
 そして休日の午後、リビングで見るビデオは「カモメ食堂」だ。
 デザインにそれほど緊張感はない。でも色も形もちょっと個性的で面白い。毎日の暮らしそのものを飽きることなく楽しめる。
 そんな「北欧デザイン」を堪能する旅に出た。北欧食器とスカンジナビア料理は妻にお任せ。私の担当は主に建築だ。まずはスウェーデン、ストックホルムの有名な建物を紹介しよう。

 スウェーデンは町中が海と湖と水路に囲まれた緑豊かな町だ。まずストックホルム・アーランダ空港からバスに乗って市内に入る。
 到着するのはストックホルム中央駅だ。ストックホルムの見所を3つに分けると、この駅を中心とする市街地と、海を渡った旧市街ガムラ・スタン、そして郊外だ。
 郊外は西に直線距離で10kmのところにドロットニングホルム宮殿、南に8kmのところに「スコーグスシュルコゴーデン」(通称森の斎場)がある。
 ドロットニングホルム宮殿は残念ながら時間の関係で行けなかった。「森の斎場」は市街地から電車で行ける。少し建築をかじった者なら誰でも知っているだろう。グンナール・アスプルンドの設計だ。
 十字架を目指して草原と森をゆく・・・。わかりやすい、北欧の土地にふさわしいコンセプトがそのまま建築に昇華したようだ。
 なお、陶器が好きな人は市街地から東へ約20km、地下鉄とバスを乗り継いで約1時間。イッタラのアウトレットセンターがおすすめだ。

 市街地にある建物で一番有名な建物はストックホルム市庁舎だろう。何といってもノーベル賞の記念晩餐会はここで行われるからだ。
 デザインは赤褐色のレンガ積みで窓開口は小さく、重々しい。窓の装飾や、屋根頂部の尖塔は中世、ルネッサンス、バロック?よくわからないが上品かつクラシカルなデザイン。
 だが建てられたのは1923年なので、れっきとした近代建築だ。何よりメーラレン湖に浮かぶ姿が抜群に美しい。

 市街地にはもう一つ外せない建物がある。これもアスプルンドのデザイン。「ストックホルム市立図書館」だ。
 図書館というと日本では真四角な建物を思い浮かべるが、この図書館の平面形状はなんと円形だ。
 一般的な図書館の設計プロセスとしては、書棚のサイズと配置から始まって、閲覧室や書庫の収納のしやすさを考えれば確かに四角い形状が望ましい。
 だが一方で閲覧者が図書館に来て一番ワクワクするのはずらりと本に囲まれる緊張感ではなかろうか。その意味ではここの来館者はロビーから階段を上がると、いきなり吹き抜けの閲覧中央ホールに出る。そして360度、何層も積み上げられた本に囲まれる、暗くはない。ハイサイドライトからたっぷり自然光が入るからだ。幸せな経験に浸る。
 このデザインのせいなのか、国民性なのかわからない。とにかく皆本当に静かに本を読んでいる。これぞ静かな暮らしに密着した北欧デザインの図書館!

 最後に旧市街、ガムラ・スタンに向かう。それには地下鉄を利用するが、ストックホルムの地下鉄は駅デザインがユニークなことで有名だ。
 幻想的かつ現代的なデザインだ。「世界一長いアートギャラリー」という異名もあるらしい。これも北欧デザイン!と言いたいところだが、少しペインティンがくどい。シンプルデザインを期待した人には少し残念かもしれない。

 さて旧市街であるガムラスタンは現代的な北欧デザインの町ではない。だが、「美しいの」一言に尽きる。この町はスターズホルメン島という小さな島に建っている。水に囲まれた環境の良さも町の美しさの理由だろう。
 町の歴史は中世に遡るらしいが、増築、改築を重ねた各建物の詳細はよくわかっていないらしい。
 地下鉄の駅の西側にリッダーホルム教会がある。シャープな尖塔が美しい。

 橋を渡り、駅の東側に行くと、「貴族の館」と呼ばれる建物がある。
 建具周りのクラシカルな装飾が面白い。さらに東に行くと有名な「ストックホルム宮殿」。
 南に行くと「ストールトルゲット広場」にカラフルなドイツ風建物が並ぶ。
 さらに南に行くと、ドイツ教会(ルーテル教会)。煉瓦積みの外壁の上に載る尖った緑色の銅板屋根が印象的である。

 時間のない旅だったが、なんとかリッダーホルム教会をスケッチする時間だけは確保できた。このブログの作品集、「街角スケッチ」に掲載しておいた。興味ある人は覗いてみてほしい。

ジャズライブの魅力をスケッチ!

 以前にこのブログの別の記事で「デッサン力を磨く一番の方法は、自分の日常をアトリエにすること」と書いた(詳細はこちら→)。冒頭のクロッキーは私自身のそのアウトプットの一枚で10年以上前に描いたものだ。
 今回はそんな私の日常をスケッチした体験談をお伝えしよう。

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京都の近代建築を描く 明治古都館とは?

 京都をスケッチすると言えば、通常は清水寺、金閣寺、銀閣寺などのお寺か祇園などの町屋だろう(お薦めのスケッチ場所はこちら→)。国宝の建築物も多くある。だが実は明治以降にできた洋風建築にもスケッチしたくなる建物が多いのだ。
 今回取り上げるのはその中でも有名な「京都国立博物館 本館」だ。ホームページを見ると現在は「明治古都館」と名称を改めているようだ。

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旅のイラストを使ってプレゼント!

 このブログの本当の目的はトップページにあるように水彩画の魅力を伝えることにある。だから 水彩画の描き方 やスケッチ旅の道具心構えやなどの記事を書いている。

 しかし毎回、旅先で作品を完成させる時間があるわけでもない。白黒のペンで殴り書きのようなスケッチしかできない時もある。きっと絵を描くのが好きなみんなさんも事情は同じに違いない。ではそのイラストはどうするか?
今回は私の旅先でのイラストを友人へのプレゼントに使った例をお話しよう。

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失敗しない個展の開き方 VRを使おう!

VRで確認した個展の風景

 このブログの記事、「失敗しない個展の開き方」(詳細はこちら→)では、案内状、パンフレット、芳名帳、オープニングパーティーなど初めて個展を開催する人のために基本的な注意事項を描いた。今回はその後、私が知った便利な技術VR(ヴァーチャルリアルティ)の利用法、コツを教えよう。

 実は最初の個展でとても苦労したことがあった。オープン前日の飾り付けだ。その理由は2つある。一つは安い画廊代のせいもあるが、飾り付けに関して画廊の主人が全く無関心、無知識であったことだ。
 だから飾り付け作業を全て一人でする羽目になった。安くあげる学生のグループ展ならば、確かに画廊の人は何もしてくれない。だが皆で飾り付けるグループ展と違い、個展での飾り付けの責任はその作家にある。と思って一人で飾り付けを始めたが、実際にやってみると、恐ろしく効率が悪い。
 例えば一枚絵を掛ける。水平になっているか、あるいは隣の絵と高さが揃っているかなど、一枚一枚脚立から下り、離れて、チェックし、修正のためにまた脚立に上り・・・・これを延々と繰り返さねばならない。
 絵の照明も同様だ。明るさ角度の操作と絵に当たる光具合のチェックをそれぞれ全部一人で確認しないといけない。最初の個展の時は、そこまで頭が回らず、飾り付けに3時間以上かかってしまった。
 初めて個展をする方、展示に慣れた画廊の方が飾り付けに参加してくれるかどうか必ず事前に描く人することをお薦めする。
 私の場合、2度目、3度目の個展の時は慣れた画廊のスタッフが手伝ってくれた。絵の水平、間隔、高さ、ネームプレートなど適切に、素早く調整してもらいとても感謝している。

 そして今回の本題はここからだ。
 絵の配置を適切に指示するためには事前の計画が重要だ。最初の個展の時、事前に配列は決めておいた。
 だが実際に並べてみると、不都合が起きた。絵のバランスが悪いのだ。具体的に言うと、例えば人物画。
 当初から人物画だけまとめて展示しようと思っていた。だが知らぬ間に、赤い服の女性像が連続して並んでいたり、顔の向きが揃いすぎて不自然であったりするのだ。
 風景画も日本の風景と海外の風景をそれぞれまとめようと思っていたのだが、似たような構図、色調の絵が並んで、単調な展示に見えたりする。だから現地であわてて順序を入れ替えたりする必要があった。
 いずれも事前の検討不足だ。

 だが事前に全作品をチェックできる、ギャラリーと同じ大きさのアトリエがあるならともかく、普通の絵描きではそこまでの精密な事前チェックは無理だ。
 そこで考えた。幸い私には建築の知識がある。2度目の個展からは3次元の立体モデルを使って事前検討をするようにしたのだ。
 まず予めもらった画廊の図面から、3次元の立体モデルで画廊を作る。そして展示する絵の大きさの額の立体モデルを必要な枚数だけ作る。
 次に展示作品をスキャナー又はカメラで撮影しJPGファイルを準備する。そして各額のオブジェクトプロパティを開き、画像を自分の描いた絵のファイルにリンクさせる。ソフトにより若干の差はあると思うが基本の操作は同じだろう。
 パソコン上で画廊の空間と絵の配置を満足するまで徹底してシミュレーションし、配置を決める。そして最終チェックはVR用に変換したファイルをVRメガネで見ると、まさに画廊を歩くようにして配置のチェックが出来る。
 冒頭の絵はその一シーンを撮影した物だ。
 いざ飾り付けの当日はこの立体モデルから各壁面の姿を切り出して印刷し、画廊の人に渡せば、何も指示しなくても、作業が進められるというわけだ。

 VRは実によくできている。今から個展を開こうとしている人は是非試してほしい。これからの絵描きはデジタル技術にも強くなる必要があることを実感している。

イタリアをスケッチする ローマ編

 2013年夏。ついに憧れのイタリアにやって来た。絵描きになることを目指し、「人」と「建物」をテーマに絵を描くと決めたのだが、本場イタリアの建築をこの目で見ていないことに実は引け目を感じていた。古典建築をスケッチする喜びをじっくりお伝えしよう。

絵描きになることを目指し、「人」と「建物」をテーマに絵を描くと決めたのだが、本場イタリアの建築をこの目で見ていないことに実は引け目を感じていた。古典建築をスケッチする喜びをじっくりお伝えしよう。

共和国広場

とても休んでなんかいられない

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