奇妙なデザイン!バリ島の風景をスケッチ

これぞ異国の風景?

 トップページ(美緑(みりょく)空間へようこそ!→を参照)で、私の活動の一つは誰もが憧れる「異国の風景を描く」ことだと書いた。世界中の家庭に私の水彩画を飾ってもらおうと思えば、そこに自分の知らない世界を表現するのが一番の近道だと思うからだ。

 日本人の私には、ヨーロッパの風景はまさに憧れ、「異国の風景」だ。だがある意味、普段からTVや雑誌、旅行のパンフレットなどで、有名な風景は目にしており、なじみが深いと言える。

 ならば、あまりなじみのない、言い換えれば「奇妙な」風景があるのはどこだろう。私が今まで目にした(それほど多くはないが)経験で言えばそれは「ヒンズー教」の文化だ。そして実は私が生まれて始めて体験した「海外」の文化だった。

バリ島にやって来た!

 冒頭のスケッチは三十数年前、インドネシアのバリ島に行った時のスケッチだ。インドネシア自体はほとんどがイスラム教徒のようだが、バリ島だけは90%の人がヒンズー教徒だという。だから小さな島になんと3万ものヒンズー教寺院があるらしい。

 久しぶりに見たこのスケッチ、どこを描いたのか思い出せない。有名な「タマン・アユン寺院に似ているが、少し違う・・・というわけで、最初はその3万もあるヒンズー寺院のどれかだろうと思っていた。

 ところがこの記事を改めて描こうとしてインターネットを調べていると、その時停まったホテル「ヌサドア・ビーチ・ホテル」の広大な敷地(とんでもなく広いのだ!)を撮影した一枚の写真にヒンズー教の寺院らしきものが映っている。
 拡大すると私のスケッチと建物のディテールがほとんど同じだった。なんのことはない。ここはホテルの中だったのだ。

 そういえばホテルの周りの土地は自由にうろつける雰囲気の場所は無く、オプショナルツァーを待つ間にペンとスケッチブックをもってホテル内を散策したことを思い出した。その時のスケッチだったのだ。

 ちなみにさらに調べると、手前の方にある、2体の石像は「ラクササ」というインドネシア独自のヒンズー教徒の「魔よけの像」らしい。そして現在のホテルの写真にはこの位置に石像は無い。

 どうやら30数年の間に、どこかに移設されたようだ。こんなエピソードが起こるのも若いころに「スケッチ」しておいたからだ。皆さんも、荒っぽくても、下手でもいい。やはり常に気になったものをすぐにスケッチする癖をつけるといいと思う。(街角スケッチ参照→)

ボロブドゥール寺院へ

 さて上の写真が、実はこの旅で私が行きたかった「ボロブドゥール寺院」だ。高校のころ世界史の教科書で学んで以来、ずっと行きたいと思っていた場所だ。

 この時の記憶では密林の奥、とんでもない僻地にあったように思う。確かホテルを出たのは早朝、帰ってきたのはかなり遅い時間だった。そんな場所に言葉のわからない日本人が一人で行けるわけもなく、ガイド任せのツァーだった。当然スケッチの時間など取れるはずもなかったが、今思えば残念でしょうがない。

 この寺院はバリ島に多い、ヒンズー教ではなく、インドネシアでは貴重な仏教の寺院だ。しかしご覧のように日本の仏教寺院とは全く違う。でもこの異様な風景は文句なしにすばらしいと言える。デザインのユニークさ、仏教の施設としての巨大さも、周囲を包むジャングルもまさに「異国の風景」にふさわしい。

 この遺跡は1991年、世界遺産に登録され、一気に人気が高まった。当時は一人スケッチ旅などできるはずもない場所だったが、ひょっとすると今は事情が改善されているかもしれない。次に訪れる機会があれば今度こそ水彩画に仕上げたいと思っている。

P.S.
「異国の風景」を書いた記事はカテゴリ「スケッチの旅海外編→」にまとめてある。今から旅を計画する方の参考になるかもしれない。