北欧デザインを探す?ストックホルムの建築

 いつ頃から日本にこんなに「北欧デザイン」という言葉が飛び交うようになったのかは知らない。

 だがマリメッコ、ムーミン、アラビア、イッタラ、イケア、サンタクロース・・・など、我が家(妻が買い揃えたものばかりだが・・・)でさえ、北欧デザインのアイテムが相当ある。(マリメッコとアラビア陶器についての展示会の報告はこちら→

 そして休日の午後、リビングで見るビデオは「カモメ食堂」だ。
 デザインにそれほど緊張感はない。でも色も形もちょっと個性的で面白い。毎日の暮らしそのものを飽きることなく楽しめる。

 そんな「北欧デザイン」を堪能する旅に出た。北欧食器とスカンジナビア料理は妻にお任せ。私の担当は主に建築だ。まずはスウェーデン、ストックホルムの有名な建物を紹介しよう。

 スウェーデンは町中が海と湖と水路に囲まれた緑豊かな町だ。まずストックホルム・アーランダ空港からバスに乗って市内に入る。

 到着するのはストックホルム中央駅だ。ストックホルムの見所を3つに分けると、この駅を中心とする市街地と、海を渡った旧市街ガムラ・スタン、そして郊外だ。

 郊外は西に直線距離で10kmのところにドロットニングホルム宮殿、南に8kmのところに「スコーグスシュルコゴーデン」(通称森の斎場)がある。

 ドロットニングホルム宮殿は残念ながら時間の関係で行けなかった。「森の斎場」は市街地から電車で行ける。少し建築をかじった者なら誰でも知っているだろう。グンナール・アスプルンドの設計だ。

 十字架を目指して草原と森をゆく・・・。わかりやすい、北欧の土地にふさわしいコンセプトがそのまま建築に昇華したようだ。

 なお、陶器が好きな人は市街地から東へ約20km、地下鉄とバスを乗り継いで約1時間。イッタラのアウトレットセンターがおすすめだ。

 市街地にある建物で一番有名な建物はストックホルム市庁舎だろう。何といってもノーベル賞の記念晩餐会はここで行われるからだ。

 デザインは赤褐色のレンガ積みで窓開口は小さく、重々しい。窓の装飾や、屋根頂部の尖塔は中世、ルネッサンス、バロック?よくわからないが上品かつクラシカルなデザイン。

 だが建てられたのは1923年なので、れっきとした近代建築だ。何よりメーラレン湖に浮かぶ姿が抜群に美しい。

 市街地にはもう一つ外せない建物がある。これもアスプルンドのデザイン。「ストックホルム市立図書館」だ。

 図書館というと日本では真四角な建物を思い浮かべるが、この図書館の平面形状はなんと円形だ。

 一般的な図書館の設計プロセスとしては、書棚のサイズと配置から始まって、閲覧室や書庫の収納のしやすさを考えれば確かに四角い形状が望ましい。

 だが一方で閲覧者が図書館に来て一番ワクワクするのはずらりと本に囲まれる緊張感ではなかろうか。その意味ではここの来館者はロビーから階段を上がると、いきなり吹き抜けの閲覧中央ホールに出る。そして360度、何層も積み上げられた本に囲まれる、暗くはない。ハイサイドライトからたっぷり自然光が入るからだ。幸せな経験に浸る。

 このデザインのせいなのか、国民性なのかわからない。とにかく皆本当に静かに本を読んでいる。これぞ静かな暮らしに密着した北欧デザインの図書館!

 最後に旧市街、ガムラ・スタンに向かう。それには地下鉄を利用するが、ストックホルムの地下鉄は駅デザインがユニークなことで有名だ。

 幻想的かつ現代的なデザインだ。「世界一長いアートギャラリー」という異名もあるらしい。これも北欧デザイン!と言いたいところだが、少しペインティンがくどい。シンプルデザインを期待した人には少し残念かもしれない。

 さて旧市街であるガムラスタンは現代的な北欧デザインの町ではない。だが、「美しいの」一言に尽きる。この町はスターズホルメン島という小さな島に建っている。水に囲まれた環境の良さも町の美しさの理由だろう。

 町の歴史は中世に遡るらしいが、増築、改築を重ねた各建物の詳細はよくわかっていないらしい。
 地下鉄の駅の西側にリッダーホルム教会がある。シャープな尖塔が美しい。

 橋を渡り、駅の東側に行くと、「貴族の館」と呼ばれる建物がある。
 建具周りのクラシカルな装飾が面白い。さらに東に行くと有名な「ストックホルム宮殿」。

 南に行くと「ストールトルゲット広場」にカラフルなドイツ風建物が並ぶ。
 さらに南に行くと、ドイツ教会(ルーテル教会)。煉瓦積みの外壁の上に載る尖った緑色の銅板屋根が印象的である。

 時間のない旅だったが、なんとかリッダーホルム教会をスケッチする時間だけは確保できた。このブログの作品集、「街角スケッチ」に掲載しておいた。興味ある人は覗いてみてほしい。



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2 件のコメント

  • […]  そんな私が初めて描く気になった建物が冒頭の絵、シドニーオペラハウスだ。設計者は有名なヨーン・ウッツォン。北欧の建築界の巨匠であるグンナールアスプルンドに学んだ。言わば北欧デザイン(このブログの記事はこちら→)の実践者でもある。 この建物は確か、私が高校の頃の美術の教科書に載っていたと思う。つまり建築界だけでなく、芸術界でその美しさが認められていた建物である。 シドニー湾に浮かぶ白いヨットのような姿は本当に美しい。ハーバーブリッジと並ぶ構図も素晴らしい。調和の取れたシドニー湾の美しさに惹かれて知らぬ間に3枚のスケッチを残していた。 オペラハウスの美しさの秘密はまずその立地だ。日本の第2国立劇場(オペラハウス)のコンペが話題になった時、国際コンペとして「シドニーオペラハウスと比べ立地、景観が貧しい」と批判があったことを思い出す。 海に浮かぶ白い建物・・・まずこれだけで相当下手な設計でない限り、十分絵になる。だがそれだけでは、普通の現代建築だ。美しさの最大の秘密はやはりその特異な形態だろう。 この建物、普通の観光写真では一体に見えるが、実は3つの建物に分かれている。レストラン棟、大ホール棟、中ホール棟だ。 それが岸から見ると重なり合って一体の美しい姿となる。まるで魔法のようだ。 もっともあの壁と屋根の曲線を実現するための構造計算と施工は魔法では解けない。とんでもなく複雑な難工事であったらしい。鉄とコンクリートで(比較的)簡単に設計、施工できる現代の建物とはやはり一線を画している。 […]

  • […]  私がデンマークのスットクホルムに旅した時(「北欧デザインを探す?ストックホルムの建築→」を参照)のことだ。ペン画だけのスケッチ( リッダーホルム教会 )を描いたが、紙質が悪いので、水彩画としての作品にはならない。もちろん旅の思い出としては十分なのだが、そのままノートの中のメモで終わらせるのもちょっと悔しい。 […]

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