ちょっと風変わり?伊勢神宮お膝元の町並みデザイン!

伊勢河崎町の町並みとは?

 水彩で描く風景画・・・今日のテーマは伊勢の町並みだ。
この町はご存知のように伊勢神宮の町として昔から賑わってきた。近鉄、JR両伊勢駅から南へ10分ほど歩くと 外宮(げくう) 、北へ15分ほど歩くとこの河崎町の町並みがある。

 河崎町は、市内を流れる勢田川の水運で栄えた町で今でも川沿いにいくつもの蔵が並ぶ。
 灘の酒蔵からこの町まで、伊勢神宮にお神酒として奉納する(私の愛飲する)「白鷹」をはじめ多くの酒が運ばれたそうだ。そのせいか、酒屋を覗くと今でも灘の酒が多いようだった。

何処が風変りなのか?

 さていつものように町並みの絵を描こうとすると、ちょっと勝手が違うことに気が付いた。冒頭の写真をよく見てほしい。この記事のタイトルに「風変り?」と書いた理由がお分かりだろうか?
 正解は屋根の向き。ここは全国的に珍しい、「妻入り」の民家が並ぶ町並みなのだ。

 建築にあまり詳しくない人のために言葉の説明をしておこう。建物の「切妻屋根」の三角が見える方向から入る形式を「妻入り」といい、屋根の軒の方向から入る形式を「平入」という。そして全国的、歴史的には圧倒的に「平入」の町並みが多いのだ。

 その理由は諸説あるが、家を道に沿って家を並べて建てようと思った時、妻入りでは家と家の間に流れ落ちてきた雨水を処理する空間が必要となるため、町並みとして効率的でないことが最大の理由だろう。

 右上の写真はそんな家の隙間が路地となり勢田川への通路を兼ねている。妻入りの町並みの必然性から生まれた風景だと言えなくもない。
 それではなぜ河崎町は妻入りなのか?正確にはわからないらしい。だが「伊勢神宮が平入なので、 民家を同じ平入にすることは 恐れ多くて できない」という風説は、伊勢神宮にお参りした直後にここを訪れた私にとって、まんざら嘘とも思えない気がした。

瓦の飾りにも注目して…

 もう一つこの町の特徴は軒先にユニークな飾り瓦を載せた民家が多いことだ。火災から家を守るための意味があり最下段の「亀」のように水にちなんだものが多いそうだ。

 この河崎町の町並みは、実は国の「重要伝統的建造物群保存地区」ではない。理由はよくわからないが、かつての武器であった「水運」はいまでは使えないため、どうしても民家はカフェや展示館としてしか生きてゆけない。

 すると建て替える家が増え、伝統的な町並みが崩れるという負の連鎖の結果なのだろう。
 確かに私がスケッチしようと歩いていても、スケッチブックの端から端まで民家が(3軒ほど)並ぶ構図は殆どなかったと言っていいい。

 水彩画を描きたい者の勝手な物言いではあるが、このブログで描いた「水郷の町をスケッチする 佐原→」のように、川沿いの風景も復活させてもらえればありがたいのだが・・・・。

P.S.
このブログの参考記事は以下の通り。興味のある方は読んでほしい。


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2件のコメント

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