水郷の町をスケッチする 佐原

 私が住むのは、いつもこのブログで触れているが、関西、神戸市だ。京都、奈良、滋賀の有名地は言うに及ばず、地元の神戸、姫路でも世界遺産や重要伝統的建造物群保存地区が数多くある。だから私がトップページに記した「古き良き日本の風景」を描くのにそれほど不自由を感じたことはない。

 しかし、実は首都圏にはこうした町並みはとても少ない。重要伝統的建造物群保存地区は東京、神奈川は皆無、埼玉と千葉が一件ずつ選定されているだけだ。今回スケッチに訪れたのはそんな関東圏でも貴重な重要伝統的建造物群保存地区である千葉県香取市佐原(さわら)の町並みだ。

 しかし「首都圏」だからと言って普通に関西から新幹線で往復できるかというと、相当難しい。同じ千葉県でもかなり遠い。何しろ東京駅に着いてから先、たっぷり2時間以上かかりそうなのだ。
 私は幸い千葉県に他の用事もあったので、普段あまり使わない成田空港国内線を利用した。これなら空港から鉄道だけでJR成田を経由してJR佐原へ1時間もかからない。駅からは歩いて15分ほどで町の入り口に着く。

 まず県道55号(通称香取街道)を忠敬橋に向けて歩くと、冒頭の写真のように数軒の商家が並んでいる。平入の2階建で美しい格子窓は調和が取れている。外観だけ保存して、内部は土産物に変身する町並みが多い中で、此処は今でも昔からの商売を営んでいるようだ。
 ちなみに道路が狭いのでデジカメだと民家が3軒しかレンズに入らない。だが下の私のスケッチを見てほしい。ぴったり5軒が収まっている。人間の目は画面に納めようと思えばいくらでも広角レンズに切り替わるようだ。

 さて、この町最大の見所は忠敬橋の下を流れる小野川沿いの街並みだ。佐原は古くから「水郷の町」と呼ばれている。利根川の水運を利用して運ばれた荷を佐原で荷下ろしし、江戸や近郊の町に運んだという。
 先に述べた香取街道沿いの家屋の保存状態はそれほどよくない。数軒残っているだけだが、小野川沿いはとてもよく江戸の街並みが残されている。木造の「樋橋(とよはし)」、船着場とそこに降りる階段(だし)も昔のままに整備されており、観光船も運行されている。河沿いに並ぶのはかつての米問屋、醸造業の建物で蔵も多い。まるで映画のセットのようだ。当然、私はこの 樋橋(とよはし)を画面に入れてスケッチをした。

 しかし一方でこのことは、この風景が現実の生活感と違うことを意味している。JRが通り、佐原の水運拠点としての意味はもはや無くなった今、この光景を維持するには、外観だけ保存にならざるを得ない。今では中身はレストラン、土産物、記念館と言った用途が多かったように思う。

 私がここを訪れたのは2010年9月。そして半年後2011年3月に東日本大災害がありこの街は壊滅的な被害を受けたらしい。そして一時は町並み保存運動をやめようとの意見もあったという。だが住民たちの熱意もあり、今は見事に復活しているとのことだ。
 そしてこの記事を書く前にインターネットで「佐原の町並み」を調べると、2018年に「北総四都市江戸紀行・江戸を感じる北総の町並み」として「日本遺産」に認定されたという。住民たちの努力が報われたようである。スケッチするにふさわしい関東の貴重な町として発展してくれるとありがたい。

P.S.
私の水彩画は加藤美稲作品集(詳細はこちら→)で一部を公開している。興味のある方は覗いてほしい。
私の描く水彩画についてもっと知りたい方は下記の記事を参考にしてほしい。
ペンと水彩で描く風景画の魅力とは
鉛筆はいらない!下書きしない風景画の描き方
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