樹林に浮かぶシンデレラ城をスケッチ! ノイシュバンシュタイン城

 ドイツの古城を描く旅もいよいよフィナーレだ。ローテンブルクを経てロマンチック街道の終点がフッセンだ。この町には有名な城が二つある。 ホーエンシュバンガウ城 、そしてノイシュバンシュタイン城だ。これらはバイエルン王国の親子2代の王が築いたものらしい。有名なのは後者で、シンデレラ城のモデルになったと言われるほどだ。

 この城を絵にするお薦めの場所が3か所ある。まず最初が冒頭の絵にある、私がスケッチした場所だ。
でも実はこのシーンは普通の観光客はなかなか気付かない。なぜかというと、ここまでたどり着くのが大変で、「絵」どころではないからだ。
 この城は観光客にとても人気がある。入城するためには、まず麓の観光案内場で入場チケットを買わねばならないが、窓口が一つしかない。当然30分から1時間、列に並ぶことを覚悟しなくてはいけない。
 次に通常、山頂の城へは山の中腹までバスに乗る。ところがこのバスがとても少ない。だからここでまた30分以上並ぶことになる。そして城まではこのバスを降りてからまた20分ほど歩かねばならない。
 早く行きたいのに、なかなかたどり着けないもどかしさ・・・。イライラが極限に達しようかとする瞬間、突然緑の樹林が開け、白亜の城が登場する。それが冒頭のシーンなのだ。
 普通の観光客ならば、とりあえずの目的地が見えて、ほっとしてひたすら先を急ぐに違いない、でも私たちはこんな絶妙のシーンを見逃してはいけない。
 空は快晴。気持ちの良いそよ風、森の鮮やかな緑に囲まれて心ゆくまでスケッチしよう。

 私の絵の解説をしておこう。いつものように、ペンと透明水彩絵具で描いている。影はやはりプルシャンブルーによるグリザイユだ。
 ただしお気づきかと思うが、いつもよりグリザイユのプルシャンブルーが薄めだ。(グルザイユ画法についてはこちら→
 なぜかというと、あまりに初夏の緑が鮮やかなのでプルシャンブルーの「青み」を抑え、サップグリーンの色合いをより強く出そうと思ったからだ。
 特に影の部分でブルーを濃く塗ると、ほとんど緑は感じられなくなってしまう。今回は、そのかわりに影の一番濃いところはペンの線の密度を多くして明度差を表現している。

 やっと城に到着する。しかし実は入場チケットは入場時間に指定がある。大抵の人は余裕を見て早く着くのだろう。時間まで城の入口を迂回して城の広場で時間をつぶす。
すると現れるのがこのファサード。壁面にはいかにも中世の城らしいパーツがずらりと並んでいる。スケッチするのに文句はないだろう。お薦めだ。
 さてやっとチケットに記された入場時間が来て、いよいよ城の内部へ入る。ところが内部は中世の城の室内というよりは豪華な宮廷生活のインンテリアだ。写真は撮影禁止だったのでお見せできないが、ここまで苦労してきた割には印象は弱く、あまり感銘を受けなかった。残念だ。

 城を出てマリエン橋に向かう。観光案内ポスターに登場する一番有名な姿はこの橋の上から撮影したものだ。ご覧の通り息をのむ美しさ。まさに圧巻だ。
 ただし、スケッチする方は要注意。何しろ狭い橋の上に観光客がひしめいている。写真だけならともかく、ここでスケッチブックを広げるのはちょっと骨が折れることを覚悟しておいた方がいい。

 上の写真は帰り道に山の中腹から、もう一つの城、 ホーエンシュバンガウ城 を見下ろしたものだ。こちらは ノイシュバンシュタイン城 にくらべると武骨な感じがする。
 だがそれにはちゃんと理由があるのだ。このホーエンシュバンガウ城は14世紀ころに建てられたというれっきとした中世の城。マクシミリアン2世がそれを宮殿にコンバージョンしたものだ。だから見張り塔も銃眼や小さな窓も 、いくさのためだけに作られた「 本物」だ。それに比べるとノイシュバンシュタイン城は ルートヴィヒ二世が 中世の城にあこがれて外観をそれらしく造った、「偽物」の城なのだ。
 しかし「シンデレラ城のよう」と言われる彼の美的センスはけっして馬鹿にできない。何故ならこの城は現代にいたるまで観光客や絵描きを惹きつけ、 その観光収入が今もここバイエルン州の財政に多大な貢献をしているからだ。

SNSでもご購読できます。

「美緑(みりょく)空間アートギャラリー」メンバー募集中(登録無料)

美緑(みりょく)空間アートギャラリー
メールアドレス  *

コメントを残す

*

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください