透明水彩で描く人物画 デッサン編!

この鉛筆デッサンの目的は何だかわかるだろうか?

 「人物画の基礎練習!」と思った人は不正解。私は単なる練習のために安くはない水彩紙に時間をかけて描かない。

 「似顔絵!」ちがう。そんなに似せるための誇張はしていない。

 「鉛筆画の作品!」と思った人も不正解。鉛筆画を生業とするアーチストの作品をみてほしい。おそらくはこの鉛筆画よりももっと強弱が強く、濃いところはほとんど真っ黒であろう。

 正解は「水彩画の下塗り」だ。私の人物画の作法は上図のように鉛筆でグレーの色調を整え、その上に透明水彩を塗るというものだ。以前、鉛筆の線だけで仕上げた絵とその上に透明水彩絵具を施した絵を比較して大まかな制作プロセスを紹介した。(「素描をデッサンだけで終わらせない!私の人物画作法とは→」を参照)

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人物画の基礎 クロッキーの道具と描き方

人物クロッキーのすすめ

 巷のカルチャーセンターの初心者教室の受講者作品展を見に行ったことがあるだろうか?

 一番多いのが静物画つぎが風景画だ。「人物画」は上級者コースにならないと描かれないようだ。当然だろう。人物画は風景画よりもむつかしい。

 何故かというと、風景画は多少デッサンが狂っても、その風景を見ていない人には、その差がわからない。
 ところが人物画はデッサンが狂うと、たとえそのモデルの人物に会ったことがない人でもすぐに「おかしい」とわかってしまうからだ。

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水彩画で使うペン!あなたならどれを選ぶ?

 ペンと水彩で風景画を描こうと思っている人へ。あなたはどんなペンを使っているだろうか?

 絵画用のペンをインク壺に浸して描くというのが古典的で正当な方法だろう。
 だが現実的に、私のように頻繁にスケッチ旅に出かける者にとっては、やはりさっと取り出し、気軽に描けるペンが欲しい。インク壺を持ち歩くのは正直言って苦痛だ。

 今回は、そんなちょっとめんどくさがり屋の人のために、より簡単で、いい絵が描けるそんなペンは無いか、私なりの経験と、検証結果をお話ししようと思う。

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絵具の知識 透明水彩は何故美しい?

■透明水彩は何故美しい?

 プロの水彩画家が描く水彩画はなぜ美しいのだろう。もちろん絵の才能があるから。だがそれよりももっと直接的、絶対的な差がある。

 それは子供の頃使っていた、マット水彩絵具(学童用半透明水彩絵具)ではなく、プロ用の透明水彩絵の具を使っているからだ。

 まず発色がよく美しい。透明感がある。どういうことかというと、マット水彩絵の具は絵具を重ねると基本的に下の絵具は消えてしまう。

 しかし透明水彩絵の具では下の色は消えず上に塗った色と澄んだ状態で重なり合うということだ。特に水彩紙の上に塗ったときの美しさには不思議な感動さえ覚える。今回はその感動は何故起きるのか調べてみた。

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誰でもできるデッサン練習法とは

 デッサンに自信がないという人へ。どんな練習をしてますか?

 大半の人が「デッサンだけの練習なんてしていない」と答えるのではなかろうか?
 特に「絵が好き。でも自分で描くのはちょっと・・・」という人。この人たちは「失敗したらどうしよう」という気持ちが隠れているようだ。

 だから人物のデッサンをしても、風景のスケッチに出かけても消しゴムを手放さない。ちょっと失敗するとすぐに消しゴムで消してしまう。だからそもそも練習にならないのだ。

 そうはいっても人前で絵を描くなんていう行為は何年もしていない人にとって自信の無いデッサンを見せることに抵抗があるのだろう。ならばどうしたらいい?

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顔と手のデッサン、おすすめの教本は?

 あなたは人物デッサンの基本となる顔の描き方、基本の比例関係を知っているだろうか?

 カルチャーセンターの中には案外「個性重視」で本人の好きなように描かせて何も教えないところもあると聞く。あるいは親切な講師がいるところは、以下のような基本くらいは教えてくれるだろう。

「まず顔を小さい方を下にした卵として描く。目は頭のてっぺんと顎下の中央線上にある。目の上の眉を目との関係で決めたら、眉と顎下端の半分の位置が鼻の下である。」

 しかし人物画は難しい。上の理屈を覚えている程度ではうまく描けない。
 風景画なら余程、遠近法の理屈(「鉛筆はいらない!下書きしない風景画の描き方→」を参照)を無視しない限り、デッサンの狂いを指摘されることも、酷評される事もない。

 しかし人物画は目、口、鼻、耳の位置と顔の大きさの基本比率を間違えると、モデルに似る似ない以前に、人の顔に見えなくなってしまう。

 しかも、厄介なことに、この「基本比率」はどうやら素人にもわかるらしい。絵を描いたことの無い人にも「おかしい」ことだけは指摘できるのだ。本当に人間の目は不思議だと思う。

 先に書いた「目が頭の半分の位置にある・・・」というルールは正しい。私も長い間これを頼りにデッサンをしていた。だがこのルールはあくまで人間の顔を正面から見た時にのみ通用する。

 だから顔を傾けたりすると途端に適用しにくくなる。例えば斜め上を見た人を考えよう。2つの目は卵形の円形ラインに沿って、並ぶことになるが、もともと人間の顔と卵とは膨らみ方が違うので、もはや目があった水平ラインは何の役にも立たない。

 しかも首の付け根や、あごの形や耳のつき方は卵を想定して基本比率を想定していてはたぶん描けない。だから結局、最後は「モデルをよく見て描きなさい」ということになる。

 モデルが優秀で動かない人ならば「よく見て」描けるが、基本のできていないモデルを描くと悲惨だ。最初に顔を描き、デッサンが全部終わる頃には顔の向きが最初とまるで変っていたりする。

 基本比率が通用しない角度の位置で描いていると、どこを修正したら良いかわからなくなる。

 だからモデルが多少動いても、正確な顔が描ける方法、手順はないかと探りたくなる。実はそれを教えてくれる本がある。 冒頭に写真を掲げた、A・ルーミス著「やさしい顔と手の描き方」だ。

 出版は1977年と記載されている。随分と昔の本だが、今でもAmazonで在庫を気にすることなく手に入る。余程人気があるのだろう。

 私も読んでみた。図解が必要なので、詳しい解説は避けるが、今まで覚えていた方法と違う点は2つある。一つは顔のデッサンで最初のガイドラインになるのが目ではなく眉だということ。

 もう一つは頭の外径は卵形ではなく球形の両サイドカット型に顔の平面をくっつけた形だということ。

 著者はこの理論を人間の頭蓋骨から導いたという。この方法の一番良い点は顔の基本比率が正面から見たときだけでなく、立体として詳細に理論を展開できることだ。

 もちろん練習が必要なのだが、彼の理論を突き詰めれば、どんな角度の顔も自由自在に描けるという。私もその理論を現在習得中だ。ただ頭をサイドをカットした球と捉える感覚がまだ身についていない。

 私の場合、顎下の位置を決めたときに、頭の球体を実際より小さく描きがちで、結果的に眉と目の位置が上がり過ぎ、面長の顔になる傾向にあるようだ。
 この失敗については「顔のデッサン3つの教訓!なぜ似ない?→」を参照してほしい。

 そんな注意点はあるものの、解剖学を前提にかかれているだけあって、本の内容全般にとても説得力がある。

 もし今から、顔の基本的な比率について知りたい、何か本で勉強したいと思う人がいるなら、是非この「やさしい顔と手の描き方」を読んで欲しい。きっと役に立つはずだ。

P.S.
今回は顔のデッサンをするときの本について書いたが、人物画の描き方については以下の記事を書いている。参考にしてほしい。
素描をデッサンだけで終わらせない!私の人物画作法とは→
顔のデッサン、5つの勘違い→
顔のデッサン3つの教訓!なぜ似ない?→
私の人物画が売れた訳→
手のデッサンはむつかしい?→
透明水彩で描く人物画 デッサン編→
忘れがちな人物デッサンのコツ→
人物クロッキーの道具と描き方→
水彩で描く人物画!ここに注意!

■カテゴリ絵画上達法→
■私の作品の実例は加藤美稲水彩画作品集→

私の人物画が売れた訳は・・・

 2度目の個展の時、それまであまり評判の良くなかった私の人物画が初めて売れた!
何故だろう?本心は買っていただいた方に聞かないとわからない。だが、私なりに最初の個展以来、人気の無い人物画(「失敗しない個展の開き方→」を参照)にこだわって工夫を重ねた点がいくつかある。今回は「売れた訳」を推測しようと思う。あなたの絵描き活動にもきっと役立つはずだと思うから。

さてその前に、なぜ私が人物画、それも女性像を描くかということに触れたい。

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顔のデッサン3つの教訓!なぜ似ない?

人物画はモデルに似ていなくても良い!?

 「人物画は似顔絵ではないからモデルに似てないことを気にしなくていい」。確かにその通りだ。その理由は「顔のデッサン練習中!?知っておきたい五つの勘違い」で述べた。

 しかしこのブログの目標(トップページ→参照)は少なくとも、人に喜んでもらえる水彩画を描くことなので、依頼者から肖像画を頼まれた時、「全く似ていない」のでは困る。

 そこで今回は先の5つの勘違いを理解したうえで、やはり、それなりに似せるために、守るべ3つの教訓について、自戒の念こめて記そうと思う。

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近代建築をまとめてスケッチ! 京都三条通り

 大抵の人は京都で風景画を描こうとすると、東山の寺院群を目指す。もちろん世界遺産でもあり、スケッチするのに不足はない。

 だが問題はあの人出だ。

 清水寺や産寧坂(三年坂)や祇園の町並みは常に観光客の群衆がひしめいている。とてもスケッチブックを広げられる状態ではない。

 今回は京都の人混みにうんざりしている人のために、それなりに、じっくりと「風景画」が描けるとっておきの場所を教えよう。

 それは京都3条通りの「近代建築群」だ。以下にその概要を記す。スケッチの参考にして欲しい。

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鉛筆で描く淡彩スケッチのコツ

■鉛筆で淡彩スケッチを描いてみよう

 トップページを見ていただければわかるように、私の風景画はほとんどがペンと水彩で描いたものだ。その経緯は「ペンと水彩で描く風景画の魅力とは→」に書いている。

 線の美しさが活かせることがその最大の理由だが、絵を始めたばかりの初心者にとっては、やはりペンでいきなり描き始めるのは敷居が高い。鉛筆に勝る下書きの道具はないだろう。
 今回はそんな人のために、鉛筆の線の上に水彩を塗る、淡彩スケッチのコツを述べよう。

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