失敗しない個展の開き方 その2 VRを使おう!

VRで確認した個展の風景

個展開催の注意事項、再確認!

 そろそろ「個展を開きたい」という人のために、「失敗しない個展の開き方→」という記事で案内状、パンフレット、芳名帳、オープニングパーティーなど初めて個展を開催する人のために基本的な注意事項を描いた。
 まずは改めて確認してほしい。

個展の飾りつけは大変!

  実は最初の個展でとても苦労したことがあった。
 オープン前日の飾り付けだ。通常貸し画廊では、展示の時画廊のスタッフが手伝ってくれる場合と、ほったらかしの場合がある

 私の最初の個展の時は、画廊代が安くて、画廊の主人もあまり絵に熱心でないようで、展示の段取りは「勝手にやってください」とのこと。
 
 皆で飾り付けるグループ展ならば問題ないが、個展は大抵自分だけ。仕方がないと思って一人で飾り付けを始めたが、実際にやってみると、恐ろしく効率が悪い。

 例えば一枚絵を掛ける。水平になっているか、あるいは隣の絵と高さが揃っているかなど、一枚一枚脚立から下り、離れて、チェックし、修正のためにまた脚立に上り・・・・これを延々と繰り返さねばならない。

 絵の照明も同様だ。明るさ角度の操作と絵に当たる光具合のチェックをそれぞれ全部一人で確認しないといけない。
 最初の個展の時は、その苦労にまで頭が回らず、飾り付けにたっぷり3時間以上かかってしまった。

 初めて個展をする方、展示に慣れた画廊の方が飾り付けに参加してくれるかどうか必ず事前に確認することをお薦めする。

 私の場合、2度目、3度目の個展の時は慣れた画廊のスタッフが手伝ってくれた。絵の水平、間隔、高さ、ネームプレートなど適切に、素早く調整してもらいとても感謝している。

手間を省く新手法発見!

 そして今回の本題はここからだ。
 絵の配置を適切に指示するためには事前の計画が重要だ。初めて開いた「加藤美稲水彩画展」の時、一応事前に絵の配列は決めておいた。

 だが実際に並べてみると、不都合が起きた。絵のバランスが悪いのだ。具体的に言うと、例えば人物画。
 当初から人物画だけまとめて展示しようと思っていた。だが知らぬ間に、赤い服の女性像が連続して並んでいたり、顔の向きが揃いすぎて不自然であったりするのだ。

 風景画も日本の風景と海外の風景をそれぞれまとめようと思っていたのだが、似たような構図、色調の絵が並んで、単調な展示に見えたりする。だから現地であわてて順序を入れ替えたりする必要があった。
 いずれも事前の検討不足だ。

 だが事前に全作品をチェックできるような大きさのアトリエがあるならともかく、普通の絵描きではそこまでの精密な事前チェックは無理だ。

 そこで考えた。幸い私には建築の知識がある。2度目の個展からは3次元の立体モデルを使って事前検討をするようにしたのだ。

 まず予めもらった画廊の図面から、3次元の立体モデルを作る。そして展示する額の立体モデルを必要な枚数だけ作る。
 次に展示する水彩画作品をスキャナー又はカメラで撮影したJPGファイルを準備する。そして各額に自分の描いた絵のファイルをリンクさせるのだ。
 ソフトにより若干の差はあると思うが基本の操作は同じだろう。様々な教本があるので興味のある人は参照してほしい。

 パソコン上で画廊の空間と絵の配置を満足するまで徹底してシミュレーションし、配置を決める。
 そして最終チェックはVR用に変換したファイルをVRメガネで見ると、まさに画廊を歩くようにして配置のチェックが出来る。
 冒頭の絵は個展の開催前にその一シーンを撮影した物だ。

 いざ飾り付けの当日はこの立体モデルから各壁面の姿を切り出して印刷し、画廊の人に渡せば、何も指示しなくても、作業が進められるというわけだ。

 VRは実によくできている。今から個展を開こうとしている人は是非試してほしい。これからの絵描きはデジタル技術にも強くなる必要があることを実感している。

P.S
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