建築デザインに見るシンガポールの不思議

 シンガポールを訪れた。
今回は画家としてではなく「建築」関連ビジネスである。だがひと言で言うと、とても不思議で魅力的な町だ。その町の文化、文明は真っ先に建物に現れるという。いくつかを紹介しよう。

 不思議さの根本はたぶんこの国のもつ「多様性」だ。その一つは世界に名だたる金融、商業、ハイテク産業都市としての顔。町は最新のデザインの建築があふれかえっている。

 一番有名な建物がこのマリーナ・ベイ・サンズ

最上階のプールからの絶景が雑誌などで取り上げられているから、だれもが知っているだろう。昼の顔はもちろんだがこの界隈は夜の顔もおしゃれだ。マリーナ湾ではこのホテルを中心にレーザービームによるショーが行われる。

 パークロイヤル・オン・ピッカリングホテル

 建物に取り込まれた植栽の緑が半端じゃない。建物と植栽が主役を競っているようにさえ見える。

 シンガポールの最大の弱点は水がないこと。飲み水は大半がマレーシアから供給されている。だからどんな高級ホテルにもバスタブは無いと聞いた。この建物が素晴らしいのは外観のデザインだけではなく、水資源の効率化、再使用のシステムが優れていることで、環境や資源関連の賞をいくつも取っているらしい。

 ユニークな形態の集合住宅「インターレース」や…

 高級住宅だけあって、ガードが固く中には一般人は入れない。だが周囲からの写真だけでも雰囲気はわかるだろう。

 そして名前は知らないがユニークなオフィスビルと学校。私が訪れた後も世界中の有名建築家の作品が次々と出来ているようだ。時代の最先端の建築を集約してみられるという意味では、シンガポールは最適な町だろう。

宗教建築が面白い

 一方、水彩画を描こうと思うと、その国の伝統的な建物とその風景をスケッチしたくなる。ところがこの国の多様性がここにも表れている。キリスト教、道教、イスラム教、ヒンズー教これら4つの宗教が共存する珍しい国家だ。

 ヒンズー教寺院

 そのうちの一つ。日本ではほとんど見ることのない、珍しいヒンズー教寺院。しかも建物を埋め尽くす彫刻は極彩色で飾られている。かつてインドネシアでヒンズー寺院を見たことがあるが、色彩的にはこんなに派手でなかったような気がする。

道教寺院

 名は天福宮(シアン・ホッケン寺院)。中国本土では本格的な道教寺院はあまり残っていないらしいので、文化的にとても貴重な建物だ。反り返る屋根の上の龍が印象的だ。

イスラム教寺院

 マスジッド・アブドゥル・ガフール寺院。確かにイスラミックなアーチが特徴だが建物は黄色と緑でカラフルに彩られている。私が見たイスラム寺院、スペインのアルハンブラ宮殿(「スペインをスケッチする。 グラナダ編→」を参照)やコルドバのメスキータ(スペインをスケッチする セビリアとコルドバ→」などはこんなに派手ではなかった。シンガポール仕様なのだろうか。

 
 「多様性の国」シンガポール。今まで水彩画を描こうとしてその雰囲気に悩むことはほとんどなかった。
 実はこの町をいくつかペンでスケッチしたものの、どのように水彩画にまとめたらよいか悩んでいるのが現実だ。
 読者の皆さん、是非あなたの意見を聞かせていただきたいと思っている。

P.S.
私の海外の旅の記録(「スケッチの旅海外編を参照)、その時描いた水彩画(加藤美稲水彩画作品集→を参照)、ペンによるスケッチ(「街角スケッチ→」を参照)は別にまとめているので、これから海外へのスケッチ旅を計画している人には参考になるかもしれない。のぞいてみてほしい。


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