水彩スケッチ旅…ミュンヘンの見どころは?

 マインツ→ラインの古城(「ライン川の古城を2日でスケッチする方法とは?→」を参照)ケルン→ヴュルツブルク(「ヴュルツブルクの3つの建物…スケッチするならここ!→」を参照)ローテンブルクあのローテンブルクを魅力的にスケッチする方法→」を参照)ニュルンベルク→アウグスブルク→フッセン(「あなたなら何処をスケッチする?ノイシュバンシュタイン城→」を参照)と歩いてきたドイツスケッチ旅の最後の都市はミュンヘンだ。

 ここまで順調にスケッチを続けてきたのだが、連日10~20km歩き続けた疲れが出たせいか、この日は微熱を感じていて体調が今一つ。スケッチブックを抱えて歩くのは無理そうだった。
 とは言っても最後の日にホテルで寝ていては絵描きとして恥ずかしい。そう思ってとりあえずカメラだけを持って事前に調べておいた建築だけでも回ることにした。

 宿泊したホテルは幸いミュンヘン駅からすぐ近く。交通の便がいいのが救いだった。

白亜の大聖堂!へ


 まず歩いて向かったのはミヒャエル教会。ルネサンス様式の白い教会だ(写真上)。
内外観共に美しい。だがこの体調でスケッチブックにこのディテールを描き切る自信はなく写真のみで扉をで出る。残念!

荘厳!ネオゴシックの新市庁舎

 ミュンヘン旧市街で一番の見どころは「新市庁舎」だろう。
「新」と名がついているが、建築年は1909年。100年以上も前の、ネオゴシック様式の堂々とした建築だ。中庭もご覧のように市民に開放され、レストランで食事もできるようだ。
 柱、アーチ、窓飾り、尖塔のディテールは素晴らしい。こちらも体調と時間があればスケッチしたいところだが、やはり断念。

あの豪華なレジデンツ!?

 次に向かったのが、新市庁舎とともに様観光の目玉である「レジデンツ」。「バイエルン王家の華麗な建築とインテリア、宝物館が見られる」とガイドブックにあるが、スケッチはもちろんのこと、じっくり見て廻る気力は無く、広場のレストランでしばしの休息。

 もはやカメラの構図を考える余力もなく、ご覧のように正面写真の上部には日よけのテントが映ってしまった。

 時刻は12時。ミュンヘン駅に戻る途中で先ほどの新市庁舎の前を通る。すると時計塔の扉が開き音楽とともに人形が動き出した。
ドイツ最大の仕掛け時計で人形は32体あるそうだ。

ノブレスオブリージュとは?

 ここはニンフェンブルク城。ミュンヘン駅から電車で30分ほどの距離にある。
 壮大!…入口から建物までの距離の長いこと。しかも建物の奥にはさらに広大な庭園が広がっている。その広さは20ヘクタール。
 甲子園球場5個分の広さである。庭園内には池、川、噴水、狩猟所がいたるところに配され、樹木も豊かで自然の森のようである。

 驚くことにこの城は個人の所有であり、何と無料で開放されている。
 富と権力のある貴族は、社会に奉仕する義務がある…これをヨーロッパではノブレスオブリージュ(仏: noblesse oblige )といい、この城はその精神を体現したものだそうだ。

 さて熱っぽい体で園内を歩き回り、帰国してから描く水彩画に何とか役立つ写真をと思い、撮影した写真が上の2枚である。

 いずれも通常の観光写真とは少し違う構図になっていることにお気づきだろうか?
ポイントは水平線が画面の上方にあり、下部の中景と近景の面積が大きいことである。

これには当然理由がある。これらの写真は単独で水彩画にする気はなく、人物画の背景として使おうと思ったからである。
つまり水平線の位置は構図上、私がモデルを見る目線の高さとなるように撮影したのである。

 それぞれ人物を配した完成した水彩画が上図である。

 体調最悪のミュンヘン・・・それでも絵を描くのは楽しいものだ。