高雄に残る和風建築のデザイン

 台湾はご存知の通り1894年の日清戦争以来第2次世界大戦で日本が敗れるまで日本の領土だった。旧日本軍の武道場などは中国にとっては負の遺産なのか、ほとんどは壊されるか、他の用途に転用されているらしい。

 だがここ高雄の武徳殿はいまだに武道場として使われている。私が訪れた時はヨガの練習の最中(②図参照)であったが、道場の隅には竹刀が置いてあった(③図参照)。
 今でも日本との武道の交流試合があると聞く。中国本土は別として、台湾の日本人に対する感情はとてもいい。その証をこんな道場にも発見でき、心が和む。

 武徳殿の場所は駁ニ芸術特区(詳細は記事はこちら→)から西へ歩いて15分ほど。是非足を伸ばすことをお薦めする。
 入口前に特大のガジュマルの木が立っている(①図)。道路からかなりレベル差があるので階段とデッキでアプローチする。正面の入り口は唐破風のついたとても日本的な凝ったデザインだ(④図)。ガジュマルの木で隠されているのが実に勿体無い。
 外壁はレンガ造りで屋根は瓦葺き(多分)。敷地が狭く周囲からは見えないが入母屋造りだという。

 日本でもない、中国でもないオリジナルの建築デザインもいくつかある。
 例えば外壁面の装飾だ。見る限りでは、どうも矢尻をデザイン化したものようだ。
 そうだとすればとても日本的なのだが、私の限られた知識、経験ではこんなデザインはみたことがない。皆さんの中でルーツを知っている人がいたら是非教えてほしい。
 最後に実に珍しい、取っておきの「デザイン」を教えよう。
 実は私の1番のお気に入りは前庭にある「石灯籠」だ。

石灯籠

 上図は私のスケッチだ。本当は時間がなかったので、この武徳殿は何もスケッチする気は無かったのだが、あまりに奇抜なデザインに感動して思わずペンを執ってしまったのだ。
 機能的に「灯籠」であることはわかるものの、私の知る限りこんな灯籠は初めてだ。この際と思い、インターネットで石灯籠の基礎知識を調べてみた。
 石灯籠の構成は上から順に、玉、笠、火袋、受鉢、柱、地輪と6つの部分に分かれる。そしてそれぞれ日本的「らしい」標準デザインがある。それと比較してみよう。
 まず通常ある大きな「玉」がほとんどない。、ひらぺったい、単なる蓋のようだ。「笠」はあるが通常先端がこんなに反りあがっていない。これも中国の宗教建築の影響だろう。
 「火袋」、「受鉢」もやや装飾過剰。だが何より驚いたのは「柱」。なんと柱が曲がっているのだ。こんな柱など日本では見たことがない。
 そして「地輪」は日本のものは通常なだらかな円形で、ある程度の装飾があるが、こちらは切り出した石そのままを使用しているようなラフなデザインだ。
 設計者は不明だが、その想像力は賞賛に値する。

 なおこの建物は1999年に市定古蹟に指定され、2003年から2004年に修復工事が行われ、今に至っているとのことだ。

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