「この水彩画を私の部屋に飾りたい。売ってもらえませんか?」
絵を描く者にとって、これほどうれしい言葉はないだろう。金額の多寡ではない。
「絵として魅力がある」と認められた証だからだ。
ではそんな言葉をもらえる絵とはどんな絵だろうか?
「個性的」「情熱的」「値段が安い」「技術力が高い」・・・どれもそれなりにありそうだ。
でもいかにあなたの絵が個性的で十二分に情熱を燃やした作品であり、リーゾナブルな値段設定であったとしても、基礎的な画力が不足していると思われると、多分先の言葉はもらえない。
では一通りの技術をマスターしていれば大丈夫かというと残念ながらやはりそれだけでは無理のようだ。
おそらく飾りたいと思わせる絵(特に水彩画において)には共通点がある。誤解を恐れず思いつくものを列挙してみよう。
売れる絵(水彩画)の条件とは?
- 全体の雰囲気が明るい(あちこち色を重ねすぎて、濁った暗い画面になっていないか?)。
- 全体的に華やかな色使いである(怖がって水分の多い薄い色だけの画面になっていないか?)。
- 明暗を強調したドラマチックな絵である(怖がって暗い色が塗れず、明暗の少ない平面的な絵になっていないか?)。
- 構図が面白い(左右対称、平行線の多いつまらない構図になっていないか?)。
あなたの水彩画をもう一度見直していただきたい。きっと自分に不足していると思い当たることがあるはずだ。
冒頭の水彩画はそんな私の経験上の失敗を生かし、「飾ってもらえる水彩画」にするために注意深く筆を入れたつもりの作品である。
何か物足りない!
明るく、華やかに、光と影でドラマチックな水彩画に」・・・。
描き終えた直後はとても満足していた。しかし実は個展の前日、額に入れ最終チェックをしていると、何か物足りなく感じてしまった。
実はこの絵を描いたきっかけは、「路地好き」の妻が私の先を楽しそうに歩く様が印象に残ったからだった。
そこで妻の後ろ姿を控えめに描き入れてみた。
悪くない。
当初のキャプションは「ローテンブルクの路地」にするつもりだった。
これも変更する。タイトルは「君の歩いた道」だ。
こうして出品したこの水彩画。来場者から想像以上にお褒めの言葉をいただき、作品のジークレー版画も複数の方から注文をいただいた。
というわけで、「飾りたいと思わせる絵」の条件にもう一つ追加しようと思う。
それは「人」を描く。そして納得させる「タイトル」をつける・・・そう「物語性がある」だ。
皆さんも是非意識してほしい。
P.S.
今後も水彩画を描く時のポイント、売れる水彩画を描く秘訣などこのブログにアップしていくつもりである。期待していただきたい。
なお今回の関連記事は以下の通り。興味のある人は参照してほしい。
- 関連記事は「絵描きとして生きるには→」
- 他の作品を見たい方は「加藤美稲水彩画作品集→」
- 私の作品を購入したい方は「水彩STORE/美緑空間→」
- 水彩画の描き方について