水彩画の道具、ナイロン筆の面白い使い方

目次

  1. ナイロン筆の特徴
  2. 天然毛筆の特徴
  3. ナイロン筆の使い方
    • 耐久性を活かす
    • 穂先の硬さ、弾力性を活かす
  4. まとめ

ナイロン筆の特徴

 ナイロン筆の特徴は毛の繊維が太く硬いことだ。腰の柔らかさがないので、線の強弱がつけにくい。また一本一本の繊維が太く筆の中に空隙が少ないので筆に含む絵具と水分が少ない。

 だから一度機に広い面を塗ることはできず、度々パレットに筆を運ぶ必要がある。要するに水彩画の基本描画テクニック(「水彩画入門 色塗りの基礎技法を覚えよう!→」を参照)、全般に使いにくいのだ。

天然毛筆の特徴

 したがって、水彩用天然毛の筆を主体に使うことになるが、欠点は痛みが早いことだ。徐々に先端の紙に触れる毛から抜け落ち、不揃いになっていく。はっきりいうと消耗品なのだ。

ナイロン筆の使い方

 そこでナイロン筆の登場だ。ナイロン筆のメリットは耐久性と筆の穂先の硬さだ。この両方の強みを活かす使い方を考えよう。

・耐久性を活かす

 まずは「耐久性」を活かす使い方だ。天然毛が傷みやすいのは、パレットで絵具を溶かす時だ。あちこちの絵具を溶かし、擦り取る際にパレットのエッジで穂先を痛める。

 水彩絵の具の場合は、固形絵具、または乾燥した絵具を水に溶かして使う。だから私は描き始める前にまず、専用のナイロン筆で全部の絵具を水分で軽くとかしておく。

 制作途中でも、大量に新しい絵具が必要なときはまたナイロン筆で絵具を溶かす。そしてパレットで混ぜるときは天然毛の描画用の筆にもち換える。面倒に思えるが、愛用の筆を少しでも長く使おうという私の一工夫である。

・穂先の硬さ、弾力性を活かす

 もう一つのナイロン筆の長所、穂先の硬さを活かす方法を教えよう。

  • 「消す」ために使う
     水彩紙には色々な種類があるが(「水彩画入門!始めに買うべき道具は?→」を参照)、サイジング処理が強く、保水性が低い紙(「 →」参照)に水分を多く含む絵具を塗ると、乾燥するときにその周囲だけが濃く残る現象が起きる。

     この「ハードエッジ」と呼ぶ縁どりは、水彩の偶然性を発揮する魅力的な表現でもあるのだが、多くの場合、周囲の色から浮いた汚いエッジになる。

     それを嫌う人はエッジが出かかった時に、すぐにそれをティッシュや筆でリフティング(拭き取り)しようとするが、そうするとせっかく塗った周囲の繊細な色までを拭き取ってしまうことになる。

     そんな時、私はそのハードエッジが乾くまで待つ。それから冒頭の写真にあるナイロンの平筆の登場だ。
     筆先を水で湿らせ、エッジに沿って穂先を軽く当てる。乾燥してまもなければ、平筆の直線に沿ってエッジの汚い色だけが浮いてくる。

     そこで素早くティッシュで吸い取る。乾燥して時間が経っている場合には穂先を強く水平に、あるいは紙に押し付けるように擦ると綺麗にエッジが浮いてくる。そこでティッシュで吸い取れば良い。

     これはナイロン筆の穂先の硬さを活かす代表的な使い方だ。天然毛では穂先が柔らかいので、少し乾燥が進むともう絵具は取れない。
  • ドライブラシで使う
     私の風景画には多くの草木が登場する(「加藤美稲水彩画作品集→」参照)が、その近景部分はナイロン筆の穂先の反発性を利用した「ドライブラシ」の技法で描いたものである。

     冒頭の写真を見てほしい。実は私はそのために2本のナイロン平筆を準備している。
     一本は先に使った通常の平筆で、細かな穂先をあまり水を含ませずに乱雑に描く。わずかに乱れた線を画面に残す場合に使う。
     もう一本はご覧のように先端をハサミでノコギリ歯状に切っている。こうするとランダムに間隔の空いた葉先が描ける。短い時間で茂った草木を描くのにとても便利である。

     またこのギザギザの平筆でマスキングインクを使うとランダムな細い白抜き線が描ける。
     そう、光に反射する明るい草原を描く時にはもってこいの筆となる。

まとめ

 透明水彩の基礎技法を生かすためには、ナイロン筆はやはりお薦めしない。だが、水彩画を描き慣れ、ハードエッジの処理、ドライブラシの使い方に慣れてくると、ナイロン筆は強力な武器となる。是非試して欲しい。

P.S.
このブログでは以下のような関連する記事を書いている。興味のある方は参照してほしい。



メールアドレス  *

1件のコメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください