絵描きの疑問…東北地方の民家は何故トタン屋根?

黒石市とは?

弘南鉄道 弘南線 車窓の風景

 青森県弘前市から江南鉄道の弘南線に乗る。この電車はレトロな情緒ただよう素敵なインテリアが有名らしい。事実同乗した鉄道ファンが一生懸命写真を撮っていた。
 車窓から見える風景もご覧の通り。のどかな旅が楽しめる。

 北へ30分ほど揺られると「弘南黒石駅」に到着だ。
 この小さな田舎町をわざわざ訪れたのは、もちろんスケッチするためである。今回の狙いは「中町こみせ通り」。例によって国の重要伝統的建造物群保存地区である。

「こみせ通り」を歩く

 駅からは少し歩かねばならない。駅前広場から東へ15分ほど歩き、交差点を右に曲がると町の北端に出る。ここからが「中町こみせ通り」だ。

 歩く人はほとんどいない。同じ「重要伝統的建造物群保存地区」でも京都の町並みとは大違いだ。逆に言うと誰にも邪魔されずじっくりスケッチができるというものだ。

鳴海醸造店

 上の画像はその通りに面する「鳴海醸造店」である。
この町並みの特徴は、通りに面する家屋の全面に屋根付きの通路がついていることだ。この外部に開放された通路は誰でも自由に通れる、町の共用空間(これを「こみせ」と呼び通りの名の由来になっている)である。

 なぜこんな仕掛けがあるのか?
 観光パンフレットを読むと「夏は暑い日差しを遮り、冬は吹雪や積雪から人を守り…」とある。江戸時代から続くの、先人の工夫だということだ。

 その造作は素朴そのものだが、こだわりのインテリアもある。右上の写真を見てほしい。柱にブラケット照明がついている。どう見ても既製品ではない、デザインに凝った特注の照明器具のようだ。
 町の人々の「こみせ」に対する愛着心が現れているように思う。

スケッチするなら!

こみせ通りに面する建物では旧銭湯である「松の湯交流館」と「 中村亀吉酒造 」が有名だ。

また盛家および重要文化財である「高橋家」の両大邸宅が並ぶ様はなかなか迫力がある。

 町の西はずれは「元町こみせ初駒館(写真右上」および「元町火の見櫓館(写真左)」がある。前者は旧酒造であったが現在は公民館的に使われている。
 後者は現役の木造消防屯所。一階の扉を開けるとちゃんと消防車が入ってるらしい。

 なお冒頭の鳴海酒造店の庭園(写真右下)も有名だ。
 その他、私は時間の余裕が無く見られなかったが国名勝である「金平成園」も有名だ。

この地方の屋根は何故金属でできている?

 最後は建築にまつわるクイズを。上の質問に答えられる人はいるだろうか?
 私の経験で言えば通常、今に残る全国の古い町並みの屋根は瓦であることが多い。もちろん瓦が普及する以前の時代は板葺きであったと思われるが、江戸時代以降は全国的に瓦屋根に置き換わっていったようである。

 瓦は耐久性が高く、古くなってもそれなりに渋い味わいを見せてくれる。性能的に板葺きとは比較にならない。

 ところが、この地方(東北地方と広げてもいい)では屋根の材質は殆どが金属なのだ。
 何故だろう。不思議に思い、インターネットで調べると諸説がある。理由は概ね以下のようであった。

  1. 瓦は根雪が載ると水分が浸透して水漏れをおこす
  2. 金属(古くはトタン、最近はガルバリウム)は雪が滑りやすく雪下ろしが楽。
  3. 瓦は金属屋根より重いので積雪に耐える上で不利。
  4. 瓦は凍結により破損する
  5. 瓦屋根よりトタン屋根の方が安い

 それぞれの意見についてちょっと考えてみよう。
①はやや乱暴な意見だ。何故なら瓦には耐水性があり、水は簡単には浸透しない。仮に瓦が水を吸っても通常その下に防水性能のあるシートがあるのですぐに水が漏れるとは思えない。

②もやや疑問だ。雪の滑りやすさも釉薬のかかった瓦ならそれほど金属と変わるとは思えない。

③そもそも雪が1m以上積もる時の屋根荷重は桁違いの重さであり、薄い金属や瓦屋根の重さの差は建築の構造上それほど問題とならない。

④いぶし瓦でない場合あり得る。

⑤その通り。だがコストを気にしないであろう大豪邸でも金属屋根だった?

 と言う訳で、決定的な答えは私も見いだせていない。
ただ言いたかったのは、色々な理由があったとして、スケッチをする者としては、残念ながらトタン屋根はどうしても安っぽく見えてしまう。「日本の風景」に不釣り合いといったらいいだろうか?

 もっとも、それを安っぽく見せないのが、絵描きとしての腕前だとも言えるかもしれないが。
あなたの絵はいかがだろうか?

P.S.
 このブログの関連する記事を以下に挙げておく。興味のある方は参考にしてほしい。

P.P.S.
 今回の記事のタイトルは「スケッチ旅…」。だが私のスケッチは敢えて載せていない。
 旅して風景を描く楽しみを皆と共有したい…という人は是非、下記「美緑(みりょく)空間アートギャラリー」へ。
 他のメンバーとともにあなたの参加をお待ちしている。



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