水彩紙のしわを防ぐには?

 せっかく描いた快心の水彩画!額に入れて飾ろうとしたら表面がしわで波打ち、絵も歪んで見える・・・こんな経験をしたことは無いだろうか?
 今回はしわや波打ちを防ぐ方法、使い方について考えよう。

目次

1.水彩紙のしわや波打ちはなぜ起きる?

2.しわと波打ちを防ぐ方法
 2.1ブロック水彩紙を使う
 2.2木製パネルに水張をする
 2.3硬質樹脂板に載せる

3.自分の制作スタイルに合わせて使い分けよう!

■水彩紙のしわや波打ちはなぜ起きる?

 実はこの現象、多分初心者のころはあまりない。何故なら私がお薦めする水彩紙(「水彩画入門!始めに買うべき道具は?」を参照)、300g/㎡くらいの厚さになるとかなりしっかりしている。だから初心者が水彩絵の具で一塗りしたくらいではしわは寄らない。

 水彩画に慣れてきて、にじみやぼかしやグラデーションなどのテクニックを頻繁に使うようになると、水彩紙に何度も水を引き、ウェット オン ウェットで重ね描きするようになる。

 するとどうしても水彩紙が湿潤状態とと乾燥収縮を繰り返すのでしわや波打ちが現れてくる。そしてゆがみがひどくなると描くラインが歪んでしまい、思うような絵が描けなくなってしまうのだ。

■しわと波打ちを防ぐ方法

 そんなしわと波打ちを防ぐ方法、それぞれの長所と欠点について考えてみよう。

■ブロック水彩紙を使う

 一番手っ取り速い方法である。スケッチブックにはリング式とブロック式がある。後者は一枚一枚周囲水彩の周りを糊で固めたものである。

 使うときはそのまま直接描く。糊は相当に強固なので、その上に何度も水を引いても問題ない。

 保水量の少ない水彩紙の場合は描いている最中に水分が多すぎると表面に水分が浮き、部分的に波打つことがあるが、乾いてくるとたわみは消える。コストもリング式スケッチブックよりも安価な場合が多い。

 欠点は糊がとても強固で描いた絵をはがすときにはペーパーナイフで慎重にはがさないと、絵を破いてしまう。相当注意が必要だ。

 そしてこの手間が、一日に何枚も描くスケッチ旅の時には欠点となる。またはがした絵の携行にも気を遣わねばならない。

■木製パネルに水張をする

 プロの画家の多くはこの方法を使っているようだ。先のブロック式水彩紙の場合は、紙質によって製作途中で部分的にたわむことがあると書いたが、水張してあればそれもない。湿潤状態でも乾燥状態でもほぼしわも波打ちもない状態なのでとても描きやすい。

 欠点は水張と制作後の水彩紙のカットの手間および水張テープの後始末だ。

 一般に水張をした絵をはがすにはカッターナイフでテープの内側に刃を入れ切り取る。だからもしF6号のスケッチブックを平のベニヤに水張して完成後のテープの内側で切ると絵は6号よりも小さくなってしまう。

 だからF6の額に入れようとすると、マット紙を少し小さめにしないと周囲に隙間が出来てしまうことになる。注意が必要だ。

 さらに面倒なのが、水張テープの後始末だ。このテープは非常に強力なので簡単には剥がれない。水で濡らしふやけたところでたわしやスポンジでこすり取るしかない。大きなパネルの場合ははがす作業で周囲が水浸しになる恐れもある。

■硬質樹脂板に載せる

 最近私がよく使っているのがこの方法である。水彩紙の裏面にたっぷり水を塗っておき、樹脂板の上に敷く。さらに上から水を引く。樹脂板と紙の間に空気がないので、この段階で水張りしたのとほぼ同じ状態となる。

 だからそのまま下塗りをして絵を仕上げればよい。下地が樹脂なので密着性がよく、かなり水彩紙の水分が乾燥してもしわはよらない。

 完全に乾燥すればもちろん樹脂板に密着しなくなるが、ほぼしわのないまま乾燥してくれる。

 欠点はドライヤーを使った部分的な乾燥に弱いことだ。ドライヤー部分だけが乾燥するのでどうしてもその部分だけが波打ってしまう。

 これを避けるには、一通りの塗り工程を終えたらドライヤーを使わず次の工程までは自然乾燥させることだ。だから制作に時間がかかることだけは覚悟しないといけない。

■自分の制作スタイルに合わせて使い分けよう!

 以上3つの方法を解説したが、紙の質、大きさに、室内か屋外かなどの条件にもよる。自分の制作方針に合わせて使い分けてもいいだろう。私の方法を紹介しておく。参考にしてほしい。

 私の風景画を描くときのお薦めサイズはサムホールだ。(「スケッチ旅行に必要な道具とは」を参照。)

 このサイズはその厚さに比べてスケッチブックのサイズが小さく、収縮の割合も少ないので、しわもできにくい。

 だから一日に何枚も描ける、使いやすいリング式スケッチブックを使っている。そしてアトリエで仕上げるときはスケッチブックからはがし、硬質樹脂板に敷いて絵を描く方法をとっている。

 一方人物画については一度に何枚も描くわけではないので、F6またはF8のブロックタイプの水彩紙を使用している。描き終えるまではそのブロックのまま使い、仕上がったらぺーパーナイフではがし保存している。

 F20号以上の絵はそもそもスケッチブックが売っていない。ロール紙から必要な大きさを切って買うことになる。

 だからその大きさの木製パネルを準備し水張りするしか方法がない。ちょっとめんどくさいが仕方がないとあきらめているのが実情だ。

P.S.
このブログには文中のリンク以外にも以下のような関連記事がある。興味ある方は参考にしてほしい。

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カテゴリ「絵画上達法
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