お薦めできない教材
「いつまでたってもスケッチがうまくならないんです。いい練習方法はありませんか?」
この質問に、皆さんならどう答えるだろうか?
「〇〇スケッチ練習講座というのがあるよ。受けてみたら?」と答える人がかなりの確率でいると思う。
試しにインターネットで調べてみると、それらのコースの教材は以下の通りだ。
「直線の引き方およびその練習」
「曲腺の引き方と練習」
「イラスト、風景画のなぞり方とその練習」
いわゆる平面のテキストをそのままなぞることで「あなたの芸術的なアウトプットが出来ました」という満足感を売りにしているようだ。
確かにお手本を上からなぞることは簡単にできる。だが次に自分で全然別な絵を描く時の参考になるかと言えば、おそらくまったく役に立たない。
もちろん平面のお手本を否定するつもりは全くない。特に書道などはまさにお手本のパターンから本質を見抜くことが「練習」なのだと思う。
だが「スケッチ」とは元々は、自分のアイデアを視覚化するための初期手段である。
直線や、曲線、お手本イラストをなぞったところで、自分が描きたい立体のモチーフを目の前にすれば、「線」だけを「なぞる練習」は何の役にも立たない。
現地を見た時の自分の感情を線の形と色で表す行為は、そんな練習では決して身につかないと思う。
話を最初に戻そう。「スケッチが上達する、いい練習方法はありませんか?」
答えをシンプルに言うと、「3次元のモチーフを見てスケッチブック上に2次元に表現する行為を繰り返すこと」。
「3日で描けるスケッチ講座!」のような王道は絶対に存在しない。
結局スケッチ上達の秘訣は?
それは「スケッチ以外の時間を削ること」だ。
「えっ?」唐突に思えるかもしれない。でも真実だ。
例えば、夕食全後の数時間をTVを見て過ごす人はそのうち30分をスケッチの練習に充てる。目の前の夕食の献立をさっとスケッチしても良い。
例えば休日はショッピングに出かけるなら、そのうち月に2回ほどは近所の公園にスケッチ行くようにしたらよい。
年一回グルメ旅行に行く人は、鞄にSM(サムホール)のスケッチブックを入れて出かけ、半日だけは食べ歩きをやめて、風景とじっくり向き合う。
数年に一度海外世界遺産旅行に出かける人は、スーツケースに6号のスケッチブックと予備のペンを準備しておく。そしてめざす土産物店の数を減らし、最低一日はその街をスケッチしてほしい。
「そんなの無理!」と思うかもしれない。
もちろん心の中で「他のことをやめてスケッチしたらいい」と考えるだけでは絶対に挫折する。
実行する秘訣は紙に書いて、いつでも見られるようにしておくことだ。スマホの待ち受け画面にするという手もある。
私の場合はまず今後10年程度の水彩画展開催予定を決める。そのために必要な毎年の海外スケッチ予定および国内スケッチ予定を立てる。さらにそれらを水彩画として仕上げる月々の予定を書き入れている。皆さんの場合は、日々の料理のイラストスケッチ目標も加わるかもしれない。
そして翌年の初めに目標が達成できたかチェックするのだ。このチェックはとても大切だ。なぜならその年の中盤は予定通りスケッチが出来なくても、終盤に頑張って盛り返すことはよくある。
成果を確認することで、人が誰でも持っている「目標達成!」意欲を満たすことができるからだ。
スケッチだけのために「線の練習」は不要だ。スケッチを楽しむ時間を作ることが上達の第一歩だと思う。
P.S.
今回は「スケッチ」を取り上げたが、絵の上達法には「道具」「使い方」などいろいろな要素がある。下記に記事をまとめているので参考にしてほしい。
- カテゴリ「絵画上達法→」
- 道具について
- 基礎練習について
P.P.S.
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