旅好きなあなたへ
楽しい旅の思い出は家族や友人、恋人と共有したいもの。
あなたはどんなツールを使っているだろうか?
最も多いのはスマホで写真を撮りフェイスブックやインスタグラムに投稿することだろう。だがそうしてネット上でリアルタイムに流れる写真は目には留まりやすいが、人の記憶には残りにくいものだ。
私ももちろんSNSは大いに利用するが、「これは・・・」と思った写真は後から水彩画にすることがある。
撮っただけの写真は、忘れることがままある。しかし一度絵に描くとその時の情景、思いは絶対に忘れない。脳に記憶が刻まれると言ったらいいだろうか。
今回はそんな思い出の写真から水彩画を制作するコツを教えよう。
「えっ、コツなんかいるの?写真を丁寧に映していけばいいんじゃないの?」と思うかもしれない。
確かにある程度の水彩画の技術があればそれもありだろう。
でも、実は旅先で何気なく取った記念写真をそのまま絵にしても水彩画の作品にはなりにくい。
何故かというと、目的の物を真ん中に映すことばかりが気になり、構図などを気にしなくなるからだ。旅先の風景をバックに友人を撮影した時のあなたの写真を見てほしい。私の言うことがきっと納得できるに違いない。
写真をもとに水彩画を制作しようとすれば、以下の2点に注意する必要がある。
「絵として」良い構図になるように写真をトリミングする
冒頭の左の写真を見てほしい。ここは世界遺産である石見銀山一帯にある大森銀山の町並みである。国の重要伝統的建造物群保存地区でもある。
撮影した時は町の街道と人の往来を中心に据えた。すると当然ながら、構図はご覧のように縦長になる。
仮にこの構図のまま絵にするとしよう。
画面の下部は手前の道と屋根瓦のアップとなり存在感がありすぎる。道や瓦の詳細をいくら正確に描いても絵、特に水彩画にはなりにくいのだ。
ではどうしたらよいだろうか?
応えは右側の水彩画にある。ご覧のように下半分を大胆にカットしてしまったのだ。
実は私がもともとこの写真のシーンを撮ろうと思ったのは、山間の町に朝陽が差し込み、朝もやが町並み覆う風景が美しいと思ったからだ。
つまり自分が感動した風景の原点に返り、「山並み」「朝日」「朝もや」を改めて構図の主役に据えたのである。
画面の光と影を強調しよう
さて左の写真をもう一度見てほしい。
遠景の山々は薄暗く霞み、中景の山の暗部は真っ暗である。
季節は秋なので紅葉が見られるのだが、朝日の影に沈んでほとんど紅葉は見えない。
この言葉通りに水彩絵具を塗ると、全体的に生気の無い沈んだ絵になってしまう。
敢えて言おう。水彩画では写真の通りに描く必要はない。いやむしろちょっと光と影を強調してやろう。
右下の絵、完成図を見てほしい。水彩画として仕上げるために、以下のような工夫をしている。
- 遠景の山並みは実際よりも明るく、青っぽく、朝の空気を表現する。
- 光の当たる山肌は朝日に染まるようオレンジ色を滲ませる。
- 麓の朝もやは現実よりも範囲を広く、明るく存在を強調する。
- 山陰にある町並みの大部分は暗く沈んだ色とし、対比的に朝日の当たる屋根だけを明るくオレンジ色に染める。
- 日向にある紅葉は実際よりも赤や黄を鮮やかに表現する。
いかがだろうか?
「ちょっとトリミングをして」「光と影をちょっと強調してやる・・・」だけで自分だけの水彩画ができ上るのだ。
言い換えればちょっと「絵筆を執る」だけで旅の思い出は確実に、深くあなたの記憶に刻まれるはずなのだ。
P.S.
「水彩画を描いてみようかな?」と思った方はこのブログの以下のページを参考にしてほしい。初心者に優しい記事がそろっている。
P.P.S.
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