「小さな水彩画」の楽しみ方とは?

大きな絵を描きなさい!?

 上の言葉、巷のカルチャーセンターの絵画教室では必ず指導されるという。
一理あると思う。何故なら小さな絵は短時間で小手先のテクニックを使い、それなりに水彩画らしく仕上がってしまう。だから基本的なデッサン力、描画力がおろそかになってしまう可能性があるというわけだ。

 だがそれでも私は敢えてあなたに「小さな水彩画を描く」ことをお薦めする。理由は以下の3つである。

  1. 誰でも、いつでも、手軽に描ける
  2. 修正が簡単、短時間でできる
  3. 飾りやすい

 では順を追って説明してゆこう。

①誰でも、いつでも、手軽に描ける

 大作を描こうとすると、どうしてもアトリエで構図とテーマを練り、慎重に制作のステップや色彩計画を考えて描くことになる。水彩画と言えど気軽に描けないし、制作前の準備や気構えが必要だ。
 だが小さな絵なら散歩のついでに近所の気に入った風景をスケッチできる。普段のあなたに近いテーマが描けるのだ。

 ①図は私の自宅からそれほど離れていない、電車で10分ほどのJR芦屋駅から歩いて行ける「ヨドコウ迎賓館」を描いたスケッチである。
 建物は有名な建築家フランク・ロイド・ライトが設計しているだけあり、旧住宅とはいえ、存在感たっぷりである。内部は公開されているので、興味のある方は是非見学してほしい。

 使用したスケッチブックははがきより少し大きいF0号(18×14cm)、ラングトン水彩紙である。ペンは普通の油性サインペン(0.3mm)だ。
 小作品の良いところは、それほど構図や透視図法を気にしなくても描けるということだ。ご覧のように下描線など引かなくても、それほど苦労はせずスケッチできてしまう。この時は30分もかかっていなかったと思う。

②修正が簡単、短時間でできる

 実は水彩画は「修正」がしにくい。何故なら、いったん透明水彩絵具を塗った個所はそれ以上明るくすることは出来ない。上に絵具を重ねると基本的に彩度も落ちるので華やかさも消えてゆく。

 だが実はこの絵は最初ペンの線を利用した「淡彩スケッチ」として完成させていた(②図参照)。従って画面全体の明度は明るく、水分が多いので彩度も低い。画面が小さいので修正する面積も小さい。

 当初は画面全体の淡いイメージが気に入っていたのだが、額に入れて飾ろうとすると、どうしても額縁の濃い縁取りに負けてしまう。そこで思い切って全面的に筆を入れたのが、③図である。

 明度、彩度の対比を強調して、透明水彩を必要部分に塗り重ねている。イメージはずいぶん変わったと思っている。だが実はこれだけの修正を加えるのに実質1時間ちょっとしかかかっていない。小さい絵はこのように完成後、気になる部分を見つけたら、すぐに、短時間で修正ができるのである。

③飾りやすい

 ④⑤は私の自宅の廊下にこの絵を飾った写真である。ご覧のように小さな0号でも普通のマンションの廊下に飾るには絵の大きさに不足はない。「額に入れた水彩画」は薄暗く、単調になりがちな「廊下」に貴重な「ほっとする空間」を生んでくれると思っている。

 あなたも「小さな絵」をたくさん描いてほしい。そして気に入った一枚が出来上がったら自宅に飾ってみよう。あなたの生活が一変することは間違いない。

P.S.
実は「小さな絵を飾って楽しむ」という私と同じコンセプトに基づいたアート関連会社がある。
Casie・・・アートのサブスク」という。どんな作品があなたに合うのか診断もしてくれる。
まだ自分の絵を飾るほど自信がないという方、作品を買ってまで飾ろうとは思わないという方も気軽に、安価でアートのある生活を堪能できる。覗いてみてはいかがだろうか。
なお私の作品ページもあるのでレンタル希望の方は「加藤美稲作品シートへ→」。

P.P.S.
今回のテーマは「小さな水彩画」だったが、水彩画の描き方そのものを知りたいという方は以下のページを参照してほしい。

P.P.P.S.
 今回はテーマ上、③の画像最終仕上げの制作プロセスは割愛させていただいた。だが水彩画を描く人にとって、このわずか1時間ほどで表現を劇的に進化させる技術はとても大切だ。何を描き、どこを残すか・・・その判断の鍵は「勘」ではなく、論理的なアプローチである。
 下記で募集している無料のメール講座「美緑(みりょく)空間アートギャラリー」のメンバーにはそんな水彩画の論理的なアプローチの大切さを伝えたいと思っている。

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