クロッキーのモデルは?
デッサン力をつける基礎的な練習がクロッキーであることは「人物画の基礎 クロッキーの道具と描き方→」で述べた通り。
しかし、プロのモデルさんを雇うのも、クロッキー会に参加するのもそれなりにお金と段取り、手間がかかる。だが実は手間いらずのいい練習方法がある。それを教えよう。
子供を描こう
ある時、友人の家に呼ばれて遊びに行った。彼の息子はまだ小さかった。目と頭が人並外れて大きい。「この子はきっと賢くなるぞ」と、その子の容貌に惹かれていつものペンとクロッキー帳(「誰でもできるデッサン練習法」参照)を取り出した。
描き始めて、気が付く。子供は1秒たりとじっとしていない。実によく動く。当たり前だ。はなからモデルを務める気などないのだから。
気軽に描き始めたが、最後は必死で彼の動きを追いかけるはめになってしまった。
先の記事で触れたように通常、クロッキーは長ければ20分、短くても2分程度はモデルさんがじっとしていてくれる。だが子供は最短の2分さえもじっとはしてくれない。通常のクロッキー練習よりさらに過酷なのだ。
実はクロッキーでは動き続けるモデルを描く特別な練習がある。それを「ムーヴィング」といって、普通はプロが使う練習方法だ。
気軽に遊びに行って、おしゃべりをして、その合間にプロが使うのムーヴィングクロッキーができる。こんな理想的な練習環境はない。
我が子を描く
すっかり子供のクロッキーが気に入った私だが、かといって、しょっちゅう、子供のいる友人が周りにいるわけでもない。
だからやむを得ず、次のモデルは我が子となる。下の図は誕生直後の病院のベッドでのスケッチだ。さすがにまだ動かない。ずっと寝ていた。
上の図2枚は子供が1歳になったときのスケッチだ。先の子供と全く同じ。よく動く。先の記事でも「クロッキーの道具」について何種類かお薦めしているが、こんな時は迷う時間を与えてくれない、最低限の線しか引けないサインペンがいい。失敗したってしょせん練習だと思えばいいのだ。
皆さんにお勧めする。友人の子供、我が子、あるいは孫をどんどん描くといい。デッサン力上達間違いなし!?
P.S.
気軽に日常の風景をスケッチする・・・私の実践例をこのブログのカテゴリ「街角スケッチ→」に掲載している。ペンを使ったスケッチにしり込みしている人は是非参考にしてほしい。
P.P.S.
スケッチの材料について補足しておこう。最後のわが子誕生のスケッチはいつものペンではなく「パステルペンシル」だ。ペンよりも容易に陰影がつけられるし、鉛筆状なので使いやすいだろうと思い、この時初めて購入した。
だが、使ってみると、パステルの柔らかさは無く、鉛筆のシャープさもない。中途半端な印象がぬぐえず、個人的にはあまり好きな材料ではなかった。結局この時以来私の机の奥にしまいこんだままである。
なお、本格的にクロッキーをするなら「人物画の基礎クロッキーの道具と描き方→」を読んでほしい。特に材料については詳しく記してある。参考になるだろう。
その他参考記事は以下の通り。興味のある方は参考にしてほしい。
■「鉛筆デッサンが教えてくれるもの→」
■「デッサン練習中!それでも上達しない理由は?→」
■「石膏デッサンを練習する意味とは?→」
■「透明水彩で描く人物画 デッサン編→」
■「忘れがちな人物デッサンのコツ→」
[…] つまり、朝起きてから仕事にゆき、眠るまでの空間をアトリエにすれば良い。日常生活の中で気になったシーンをすぐ記すクセをつけるのだ。 仕事をサボれといっているわけではない。当然、あるページには仕事のメモがある。しかしそれ以外のページには、あなたの日常があふれているようにするのだ。 上のクロッキー帳はすべて私の過去の日常の一ページだ。ビジネスの記録はさすがにここに出せないが、それ以外のシーンをちょっと取り出していみた。参考になると思う。 ①図は若いころ、友人に子供が生まれ、遊びに行ったときにその子供をスケッチしたものだ。この子も今は結婚して子供がいる。(詳細記事はこちら→)2図は神戸ジャズフェスティバルに出かけた時のスケッチだ。ベースを弾く演者がかっこよかったな。(詳細記事はこちら→)3図は若いころ、設計のコンペに自主応募しようかと帰りの電車内でスケッチしていたものだ。結局仕事が忙しくてコンペには出せなかったが。4図は仕事が終わって、絵の好きな仲間が集まるクロッキー会に出かけた時のもの。仕事に大きなクロッキー帳をもって出かけるのは気が引けるが、会社のノートがこのクロッキー帳なのだから、便利なことこの上ない。5図はプライベートで旅行に行ったときの宿泊したホテルの部屋をスケッチしたもの。当時ホテルを設計していたということと、河童さんのイラストがいいなと思い結構まねて練習していたのだ。6図は仕事が終わったあと、建築主の接待に付き合って出かけた銀座のクラブの歌手のクロッキー。バブルのころの思い出だ。7図は帰りの電車で正面に座って眠っていた男性のスケッチ。「終電車の風景」だ。8図は上海に出張したときのスケッチ。すべての仕事を終え、帰りの飛行機に乗る前の空き時間を利用して焦って描いたものだ。 […]