明石城の桜を描く

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今年はどこの桜を描こうか?

 私は神戸に住んでいる。毎年桜の季節は満開の日を心待ちにしつつスケッチブックをもって出かける。どこの桜をどんな表現で水彩画にするか、毎年工夫するのも楽しみの一つにしている。

 このブログ「水彩で描く桜の風景 世界遺産姫路城!→」で記事にしたように、神戸界隈で一番の名所はこの姫路城だが、欠点は人が多すぎること。特に近年はインバウンドの観光客が多く、賑わいは半端ではない。

 もちろん花見を楽しむには、多少の賑やかさはあっても良いとは思うのだが、スケッチブックをもって絵を描く者にとっては、すぐ横で宴会をやられるのはどうも苦手だ。

 そこで人の少ない桜の隠れた名所を探し回ることになる。だが桜だけを見るなら、実は近くの公園にも相当立派な桜がある。でもスケッチするとなると、絵の構図上何かインパクトのあるものが欲しい。

明石城でスケッチするならここ!

 それらすべてを満足するのが今回おすすめする「明石城」だ。「姫路城」と同じく「城」と「桜」をテーマにする「日本の風景」が描ける。このブログ「美緑空間」の活動方針ともぴったりだ(「美緑(みりょく)空間へようこそ!→」を参照)

 世界遺産ではないけれど、城壁の隅に建つ櫓(やぐら)は国の重要文化財である。文化的な価値も十分であると付け加えておこう。

 交通の便もよい。JR明石駅から門まではほんの数分。櫓は駅のホームからも見ることができる。

 写真は櫓下の通路から見上げたところ。桜以外の木が混ざっているので「桜に埋め尽くされた」という雰囲気が出ていないのは残念だが、「日本の風景」としては文句ないだろう。私は周りの宴会客を無視してここでスケッチをしている。

 そしてもう一枚はお濠際に1本だけ咲く桜だ。桜の木が密集し花びらだけが視界を覆うさまは誰もがたたえる美しさだ。

 だが歴史を刻んだ灰色の石垣を背景に見事な枝ぶりに合わせて満開の花を咲かせる一本桜もまた美しい。私は迷わずここでスケッチブックを広げ、アトリエで水彩画に仕上げている。

「そうはいっても桜が少ないのでは?」という人へ

 家族と一緒に訪れた時は「絵」になる一本の桜よりも「花見」向きの桜の乱舞が欲しいだろう。まったく心配ない。実はこの明石城、江戸時代初期、関ヶ原で生き残った西国の大名達の監視のために作られた軍事拠点であったため、城の区画は広大で、明治以降施設が解体された今も「明石公園」として面積は55haもある。

 そして区画の奥に「剛の池」があり、その周囲は全て桜である。満開時は先の「視界が花びらだけで覆われる空間」を存分に堪能できるはずだ。
 水彩画であの光景を表現してみたいと思うかもしれない!…だがその写真と水彩画はあえて載せない。スケッチブックをもって自分の目でその美しさを確かめてほしい。

P.S.
水彩画で風景画を描いてみたいという人へ。このブログでは以下の関連記事を書いている。興味ある方は参考にしてほしい。

■スケッチ旅についての便利な情報は

■水彩画の基礎知識については

■風景画の描き方については