歴史の町 長浜を歩く

長浜とはどんな町?

 上の水彩画は滋賀県長浜市でのスケッチだ。豊臣秀吉が初めて城持ち大名になった町として有名だ。当時は「今浜」と呼んでいた。北国街道と琵琶湖の水運を担う交通の要所だけあって、その後も大いに栄えた町である。

 最近は古い建物のデザインを復活、再建した「黒壁スクエア」が有名だ。
JRの東海道線の新快速がこの長浜に停車してくれることもあり、今も交通の便がよい。観光客は年間700万人を超えるという。

長浜をスケッチするなら…

 私も過去に2度ほど訪れたことがある。残念ながらいずれもじっくりと水彩画を描くというチャンスは。無かった。

 一度目は大学の建築学科の同窓会の時。あまり時間もなかったのでその黒壁スクエアが面する北国街道を歩いた。

 長浜はこのブログで何度も登場する国の選定する重要伝統的建造物群保存地区(「ここを描きたい日本の風景!→」を参照)ではない。

 けれどもこの街道沿いにある浄琳寺を中心とする町並みはとてもいい。特に太鼓櫓が絵を描く上ではいいアクセントになっている。上図は同窓会の連中がそぞろ歩きをしている間を見計らって、路上で立ったまま描いたもの。右下に2005/11/12とある。

 帰ってからペン画に軽く水彩を施したものだ。懐かしい。

長浜の見どころ紹介

 2度目はつい最近、妻の要請で「食べ歩き」がメインだった。ガイドブックによれば最近は食べ物でも有名な店が多いらしい。

 実際私が訪れたときも、店の前で数十メートルの順番待ちをする人達を見かけた。興味のある方は長浜市の観光サイトへどうぞ。

 さてその2度目に行ったとき、とても面白い建物群を発見した。といっても建物デザインそのものがそれほど珍しいというわけではない。平入2階建て。窓には木製の縦格子という典型的な日本の町屋スタイル。

 おそらく長浜別院大通寺の門前町としての一種の商店街だろう。面白いのは懐かしい「店構え」だ。昭和の雰囲気がそのまま残っている。順に紹介しよう。

ライオン歯磨き代理店

看板の字体も大正時代か昭和初期を思わせる。2階に掲げた大きな看板の字体も統一されている。

 だがどれも単なる外観の保存ではない。入口横にある「手作りオーデコロン」の看板は現代的な可愛らしい字体だ。添加物のない、健康志向の製品を売る現代的な化粧品、日用品の店としてとして営業しているのだろう。

渡辺時計店

こちらの看板も味がある。もちろん外観だけではない。ちゃんと時計を売っている。しかも昔懐かしいデザインのままの柱時計もある。

油屋

ショーウインドには「はかり売り用油壺」の展示がしてある。説明書きによれば今なお使用しているとのことだ。

 当然、看板のデザインも抜群にすばらしい。炎のゆらめきをイメージした(?)字体もすばらしい。

「合鍵」の店

 さすがに合鍵だけでは商売は成り立たないのだろう。店先には鍋やざるなど日用品が並ぶ。

 でもその並べ方が実に心憎い。すぐにでも店先で客と主人との会話が始まりそうだ。

 長々とこんなコメントを描いたのは、最近の保存された町並みに少し不満を感じているからだ。外観だけそれらしく整えて、中身は観光客相手のレストランやみやげ物店に変身してしまう建物が多すぎる。

 トップページ(「美緑(みりょく)空間へようこそ!→」を参照)にも書いたように私は自然な人の営みが感じられる風景画を描きたいのだ。
ちゃんと人が住んでいる懐かしい町を歩く・・・ここ長浜で素敵な体験をした。

P.S.
このブログでは旅の水彩スケッチをテーマに定期的に記事を書いている。歴史や建物、水彩スケッチに興味のある方は時々覗いてみてほしい。

今回は滋賀県長浜の昔のスケッチ、最近の町並みを紹介した。関連する記事を以下にまとめてある。合わせて読んでみてほしい。

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3件のコメント

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[…] P.S. 滋賀県は重要伝統的建造物群、あるいはそれに値する風景が多い。このブログでは「近江八幡」「長浜」「大津市坂本」「彦根市河原町」を取り上げている。いずれも美しい風景である。是非一読してほしい。 私の描いた風景画はこのブログの作品集(詳細はこちら→)で随時掲載してゆく予定だ。是非覗いてみて欲しい。P.P.S. 私が行ったことのある旅先をリスト(詳細はこちら→)にまとめてみた。私なりに評価も付けたのでスケッチ好きの人は参考にしてほしい。 […]

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