デッサン練習中!それでも上達しない理由は?

 デッサンを一生懸命練習してるけど、上達しない。いつも顔が似ていない。何故?そんな経験はないだろうか?

 もちろん似顔絵教室でなければ、「似ている」必要はない。むしろ、「誇張して」いい絵にすればいい。
 あとは顔の基本比率と陰のつけかたの「基本練習」あるのみ・・・講師にそんなことを言われて納得し、再びデッサンの練習に励んでいる・・・。
 そんなあなたへ。

 とても真っ当な指導で王道だと思う。

 でも実は、真摯に、繰り返して練習することが、無意識に上達を阻害することがある。
 今回はそんなデッサンの上達を阻む要因と対処方法について書きたいと思う。

目次

1.デッサンの上達を阻むものは?

2.目の位置が高すぎないか?

3.顔を傾けすぎていないか?

4.唇は下がりすぎていないか?

5.鼻は高すぎないか?

6.まとめ

■デッサンの上達を阻むものは?

 一言で言うなら、答えは「癖」だ。

 誰にでも癖がある。デッサンの練習をしていてもその癖が出る。そしてデッサンにおいては大抵、癖は悪い結果を生む。

 何故ならそもそも「デッサン」とは個人の感覚を排して、客観的に見たものをそのまま写しとることだからだ。

 「癖」は「客観的に」見ることをおろそかにし、自分の描いた線を「感覚的に」よしとしてしまう。
 だから上達しないし、それをひたすら繰り返す練習では「似る」はずもないのだ。

 特に写真を見てデッサンの練習をする人(「顔のデッサン、5つの勘違い→」を参照)は注意しないといけない。
 写真に碁盤の目のように線を引き、それを目安に写せば必ず「似る」が、自分の癖は発見できない。

 客観的に見る経験とはならず、別のモデルを描くと、また「似ていない」デッサンを増産することになる。

 以下は私自身で発見した「私の癖」である。そして、聞くところによると、どうもデッサンする人に共通する癖のようなので、皆さんも改めて自分の絵をチェックしてほしい。

 癖は早く発見すればするほど、次のデッサンで狂いを減らすことができる。デッサンのプロセスで修正できれば、結果を修正するよりもずっと早いのだ。

■目の位置が高すぎないか?

 「目は顔の中央にある」デッサンする時の基本中の基本である。
 そして人が間違えるのも常である。問題はその間違いがかなりの確率で同じ間違いであることだ。

 私の場合、最初に引いた両眼を結ぶ目のラインの位置は必ず実際よりも高い位置に描いている。理由はわからない。

 だがその癖があるのを知っているので、細かなパーツを描く前に、一旦画面を離れ、この必ず目の位置を確認するようにしている。

 するとほとんどの場合、最初引いた目の高さを示す水平線は実際の位置よりも目一つ分高いのである。

 目の位置が高すぎることに気づかないまま、描き続けると次のような現象が起こる。

 目に合わせて当然眉の位置も高くなるが、鼻下の位置は顎と眉の真中にある。つまり目の位置が高くなると目の水平ラインと鼻下の距離も実際より長くなる。

 このミスをチェックするには自分のデッサンの両方の目尻と鼻下を結ぶ三角形を、実物と比べると良い。
 平均的な人の比率ならかなり扁平の二等辺三角形になるはずだが、目の位置が高いと正三角形に近くなっているはずだ。

 このミスを発見したときの対処方法を間違えてはいけない。
 先の2等辺三角形のプロポーションを守るため、目を下げるのではなく、目の間隔を広げてしまうと、もっと悲惨なことになる。

 顔の幅はすでに決まっているので、異様に目が離れたおかしな顔になってしまう。
 あるいは逆に目の幅に合わせて顔の幅まで広げてしまうと、今度は体に対して顔だけが大きすぎることになる。
 こうなると構図全体を見直すことになりかねない。

 目の高さを間違えると、とても被害が大きいのだ。

■顔を傾けすぎていないか?

 私の場合、モデルが顔を傾けたポーズの時は、ついその角度を誇張してしまう。
 つまり鼻筋を通る顔の中心線を傾けすぎるのだ。多分少しでも面白い構図にしてやろうという欲が無意識に働くのだろう。

 そのまま描き進めると、やはり悲惨な結果を招く。
 現実の目や口などの顔のパーツはそれほど傾いていないので、並びのラインとパーツの角度が違うことになり、「ちぐはぐな」絵になってしまう。

 これを防ぐには両眼を結んだラインと顔の中心線が(ほぼ)直行するという原則を意識するといい。

 鼻筋を通る顔の正確な中心線は押さえにくいが、目の中心線は比較的押さえやすいので、角度も正確に写しやすいからだ。

 なお(ほぼ)直交と描いたのは、モデルを目の前にしてデッサンする場合は、自分の目の高さと、モデルの目の高さが(ほぼ)同じだからだ。

 もしあなたが椅子に座り、モデルが高いステージの上で立ちポーズをとっている場合は両目の水平ラインと顔の中心線は絵の上では直交しない。
 高い建物を見上げた時、軒のラインは建物の外壁垂直線と直交しないことを思い出してみれば、なんとなく納得できるだろう。

■唇は下がりすぎていないか?

 これも大半の人が陥りやすいミスだ。口の位置は鼻下と顎の1/3の位置にあるという基本原則だ。

 だが唇の形、特に上唇のラインを気にしすぎると、そこが1/3の位置になっていまい、結果的に口のラインが下がり気味になる。
 だから最初は唇のラインを無視し、閉じた口の線だけを描くようにすると良いようだ。

■鼻は高すぎないか?

 往々にして魅力的な人とは鼻が高いものだ。そのせいだろうか?鼻のラインは実際よりも高く描きがちである。

 このミスを避けるには、単に鼻筋ラインを追いかけるのではなく、鼻の先の丸みを描いてから目元と線を結ぶと良い。小鼻との関係も掴みやすいはずだ。

■まとめ

 「デッサンの達人」とは一度で正しい線を引く人を指すのではない。

 人は癖によって線を引く。それを知った上で、そのミスをすぐに発見できる人、それが本当の「デッサンの達人」だと思う。

 私もそうありたいといつも思っているのだが・・・。

P.S.
今回はデッサン練習時の癖について書いたが、デッサンの基礎、心構え、人物クロッキーなど下記に参考になる記事を書いている。是非参考にしてほしい。

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